2019年12月15日日曜日

新国立劇場でバレエ鑑賞

こんにちは、ゼミ生のHです。
冬本番にはまだまだですが、本格的に寒くなってきました。例年よりインフルエンザが流行りやすいそうなので、日々の体調管理を怠らないよう気をつけていきましょう。今年も残りわずかです。1年を振り返ってみてどんな年だったか、来年はどんな年にしたいかと考えてみてはどうでしょうか?

幕間にシャンパンで乾杯。
さて、今回は課外活動でバレエ鑑賞に行きました。冬の定番である『くるみ割り人形』を楽しみました。言わずもがなのことですが、チャイコフスキーが作曲したことで知られている一曲のバレエ作品です。私自身はじめてのバレエ鑑賞でした。音楽は所によっては聞き馴染みのある部分と全くのはじめて耳にする部分がありました。以前行った課外活動の音楽鑑賞会で、クラシック音楽には一曲の中にストーリーがあるとレクチャーを受けました。私はバレエはそれを具現化したようなもののように考えていましたが、実際に観てみると意外とストーリーを把握するのが難しく、事前に予備知識を身につけてから行くべきだと少し後悔しました…。キャストの皆さんの演技も素晴らしく、なぜあんなにも体幹がぶれず高く跳べて、さらには大きく足を開き体を維持できるのか、とても魅了されてしまいました。帰ってから家で試してみましたが関節に大きなダメージを与えてしまいました(笑)。はじめてのバレエ鑑賞にしてはものすごく楽しめたので機会があればもう一度別の作品も見てみようと思います。

 今回はバレエ鑑賞会に行きました。もうすぐ待ちにまったフランス研修です。現地では様々な芸術鑑賞を行う予定にっているので、一つの芸術を知るためにバレエ鑑賞に行けたのは暁光だと思います。年内の活動は全て終わりましたが、年明けからのゼミ活動の報告も楽しみにしていてください。

 皆さまいつも相澤ゼミのブログを読んで頂き、誠にありがとうございます。来年も楽しみに活動報告をお待ちしてください。それでは皆さま、良いお年をお迎えください。

2019年12月14日土曜日

2019年度 総合教育演習ゼミ報告会

ゼミ生のAです。今回は12月14日に行われた総合教育演習ゼミ報告会の報告をします。

 この報告会は、社会に出て活躍するための力を身につける教育として行なっているゼミ活動の内容や成果を報告する目的で、毎年12月に行われています。私たち相澤ゼミは活動内容の説明と、読む書く話すの技術向上のために行なっている新書発表をデモンストレーションしました。

グループ学習室での準備作業
 発表前の準備では、図書館のグループ学習室などを借りて何度もゼミ生同士で集まり内容を作っていきました。その際、「どのようにすれば聞き手が飽きることなく楽しめる内容になるか」という点に気をつけながら進めました。途中2回、ゼミの授業の時間を借りて仮発表をしました。1回目の仮発表ではスライドと新書発表両方にたくさんのが改善点が出てきましたが、その指摘を中心に話し合い作業した結果、2回目の仮発表ではゼミ生たちから前回よりとても良くなったとの声を聞くことができました。

本番中。
多くの質問をいただきました!
 相澤ゼミの発表はプログラムの最後の方だったので、それまでは他のゼミの発表を聞いていました。相澤ゼミの報告は活動内容を紹介するものでしたが、私が見た多くのゼミの発表は何かについて疑問を持ち、それについて調べたりアンケート調査を行ったりといった研究内容の報告でした。サブタイトルから興味を惹かれるものが多く、内容も聞いていてとても楽しかったです。発表を聞いて、自分が気になったことを取り上げ満足がいくまで調べ作っていく研究はとても楽しそうで、自分もいつかやってみたいなと感じました。

終了後、みんなで。
 本番の発表では、2、30人ほどの聴衆がいてとても緊張しました。しかし今までの準備やゼミ生からのアドバイスに気をつけながら発表を行っていけば、あっという間に時間は過ぎなんとか発表を終えることができました。授業以外でも忙しい中ゼミ生が何度も集まり一緒にパワポや原稿の内容を考えてくれたからこそできたと思っています。また同じような機会があったら今度は協力してもらった分を返すように、また今回の経験を活かし頑張っていきたいです。ありがとうございました。

2019年12月11日水曜日

世界の国と言葉を知ろう

担当教員の相澤です。毎年秋に学習センターでは、「世界の国と言葉を知ろう」というテーマでランチタイム講座を実施しています。私もコーディネータとして関わっているこの企画。今年は、パリへの海外研修の事前学習も兼ねてゼミ生と共に参加しました。

12/4は、2020年度からベトナム語の授業をご担当いただく清水英里先生を講師に迎え、ベトナム講座を実施いただきました。ベトナムはフランスの植民地であったため、パリにはベトナム系移民も多く住んでおり、多様な文化の一端を担っています。

講座では、写真を使ってベトナムの暮らしの様子をご紹介いただいた後、実際にベトナム語の簡単なフレーズを教えていただきました。ベトナム語には六つの声調があるということで、発音するのがとても難しく感じました。一方で、漢語由来の言葉もあるため、日本語と音が似た語彙もあるとのことでした。私は三度ベトナムに行ったことがありますが、恥ずかしながらベトナム語を口にしたのはこの講座が初めてでした。また遊びに行きたいと思っているので、その時は挨拶だけでもベトナム語を使ってみようと決めました。

エジプトの衣装を借りて
パチリ。
12/11はアラビア語の長渡陽一先生を講師に迎え、アラビア語を話す地域の文化とアラビア語のミニ講座をしていただきました。長渡先生が当地のお茶とお菓子をお持ちくださったので、それを味わいながらの講座となりました。

先生が現地を訪れた時の写真や、レバノンやエジプトのポップミュージックのビデオクリップを見せていただいて、(私の)イメージと違う様子に驚きました。簡単な挨拶も教えていただき、みんなで挨拶をしてみたり。以前アラビア語を受講していたゼミ生のOさんは、滑らかに発音して流石でした。いつかモロッコとレバノンは旅してみたいと思っているので、その時はアラビア語で挨拶したいものです。

言葉を学ぶことは、その言葉を話す人々への何よりのリスペクトの表し方だと思います。今回の講座を通じて、ゼミ生が異国の言葉や文化に少しでも興味を持ってくれたら嬉しく思います。

2019年度後期 第10回

 ゼミ生のOです。今年最後のゼミを行いました。今回は、最初に1214日に行われる総合教育ゼミ発表会の仮発表をしました。その次に前に課題として読んだ芝健介『ホロコースト』(中公新書、2018)から各自が感じた事をディスカッションしました。最後には、前回の授業で出された「ありがとう」と「お疲れ様」の違いについて意見を交わし合いました。


 最初に、発表担当のゼミ生がPowerPointを使ってゼミ生と相澤先生の前で仮発表をしました。仮発表は、今までゼミ生同士が自主的に集まって準備した結果、以前の仮発表よりもさらに上達した印象を受けました。本番では、今まで練習してきた成果を発揮できる事を願っています。

 仮発表の次には、課題図書として読んで来た『ホロコースト』についてのディスカッションをしました。まず、この本を読む目的としてナチスが政権獲得以降に行われたユダヤ人等に対しての「迫害の実態」を知る事にあります。相澤ゼミでは、来年2月にフランス・パリに海外研修に行きます。研修先では、ホロコースト記念碑訪問をするのでかつてヨーロッパで起きた負の歴史を知る為の事前学習という目的です。
 本の内容としては、1930年代のナチス政権後のユダヤ人に対する迫害がどのように行われてたのか、時系列に述べています。当初、ナチスはドイツ国内にいるユダヤ人を「追放」する目的で様々な抑圧を加えます。この時点では、まだ大規模な「虐殺」が目的ではないことが意外に思えます。しかし、1939年にポーランド侵攻でさらに多くのユダヤ人を抱える事になると、次第に「追放」する事が困難になりました。1941年には、当時ポーランドの次に多くのユダヤ人を抱えていたソ連に侵攻します。独ソ戦以降になると、虐殺の対象はユダヤ人のほか障害者、同性愛者、共産主義者、ソ連軍捕虜へと拡大して行く事になります。この様にして、「追放」から「絶滅」へと目的が変わるほか、虐殺対象者の拡大というのがこの一冊からは伺えます。
 ディスカッションでは、「1930年代のユダヤ人は一時的なものだと思っていた」という事や「ユダヤ人の規定は曖昧だった」というような、本を読んだ上での気づきがありました。一方で、「国を持たない民族は弱いのか」や「当時のユダヤ人は人として見られていたのか」というような意見も出ました。

 今回のディスカッションでホロコーストについて考えると、「小さくすれば差別というのは日常にありふれている」という意識を芽生えさせられました。
 最後に、「ありがとう」「お疲れ様」という言葉の意味についての考えをディスカッションしました。そこでは、「お疲れ様」はコミュニケーションや労いの意味があると感じ取れます。一方で、「ありがとう」は感謝の他、「~してくれた事を認めてくれた」時に使う言葉ではないかという意見が出ました。普段私達は全然意識せずに使っている言葉ですが、改めて意味について考え直すと実は「多様な意味」が含まれている事に驚かせられました。

 今回は年内最後の授業でしたが、来年には海外ゼミ研修があるので、今まで読書で身につけた知識を現地で確かめて行きたいと思います。

2019年12月4日水曜日

2019年度後期 第9回

ゼミ生のKです。

今回は (1) ゼミ研究報告会の発表練習、(2) ゼミブログから学ぶ正しい日本語表現の仕方、(3) "ありがとう"という表現と"お疲れ様"という表現の違いについて考えました。

一つ目のゼミ研究報告会の発表練習は、12月14日に行われるゼミ研究報告会での発表を考えました。今回前に出て発表するのは2人ですが、ゼミ生全員で発表を作りたいと考えているため、積極的に意見を出し合いました。まだ発表には時間があるので、よりよいものを作りたいです。

二つ目はゼミブログの記事をもとに、どのような文章が相手に伝わりやすい文章かについて相澤先生からレクチャーを受け、みんなで考えました。同じ意味を持つ単語でも、使い方やニュアンスによって読む側の受け取り方が違うので、気をつけて文章を書きたいと思います。

三つ目は"ありがとう"という表現と"お疲れ様"という表現の違いについて考えました。今回は二つのグループに分かれて、二つの表現を使う頻度、場所や場面、どのような意味を持つのかなどについて話し合いました。両者の違いについて今回だけでは結論が出なかったので、次回も話し合うことになりました。難しい議題ですが思考することが大切だと思います。

2019年11月24日日曜日

クラシック音楽を体験

2019年11月24日、ゼミ生とともに、東京芸術劇場で行われた読売日本交響楽団の演奏会を聴きに行きました。以下は、ゼミ生によるレポートです。

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ゼミ生のKです。
今回は課外活動として読売日本交響楽団の演奏会に行きました。
演目は
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
モーツァルト:交響曲第38番 ニ長調K.504「プラハ」
プーランク:ピアノ協奏曲
ヤナーチェク:シンフォニエッタ
指揮者:トマーシュ・ネトピル、ピアノ:アレクサンドル・タロー

レクチャーの題は
「選択肢多き人生のために」。
このゼミのテーマとまさに
マッチしたメッセージを
伝えてくださいました。(相澤記)
まず私たちゼミ生は読売日本交響楽団職員の方から、クラッシック音楽についてと今回の演目についてレクチャーを受けました。私はクラッシック音楽を聴く時にあまり作曲家の年代を考えたことはありませんでした。しかし、レクチャーを通して、時代ごとに特徴があることを知りました。また、クラッシック音楽には明確な定義がないことも教えていただき、音楽の奥深さを感じました。


次に、演目についてのお話をうかがいました。私が特に聴くのが楽しみになったのは、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」という作品です。大オーケストラのチェコ音楽と聞き、チェコの音楽を聴いたことがなかったのでワクワクしました。この「シンフォニエッタ」は村上春樹の『1Q84』という作品に登場することも教えてくださいました。私はこの作品を読んだことがあるのですが、注目して見ていなかったので、もう一度読みたくなりました。

演奏会が始まる前。
レクチャーを受けたあと、東京芸術劇場へ行き、演奏会を鑑賞しました。レクチャーの中で眠くなるかもしれないと言われていたモーツァルトの交響曲第38番 ニ長調の第二楽章はほんとうに少し眠くなってしまいました。静かではないのに脳に直接響くようななにか特別なものを感じました。心地よかったです。
私が楽しみにしていたヤナーチェクの「シンフォニエッタ」は迫力あるトランペットの演奏から始まり、力強さを感じました。また音楽に緩急があり、ここは静かさ伝えたいのかな?ここは華やかさを伝えたいのかな?などと想像しながら聴くのが楽しかったです。

コンサートが終わったあと、指揮者のネトピルさんとピアノソリストのタローさんにサインをいただきました。素晴らしい音楽に出会わせてくれたことへの感謝の気持ちを伝えられてよかったです。
終演後。満喫しました。
今回の鑑賞では芸術は自由に感じて良いということを知り、難しく考えずに楽しんで音楽を聴くことができました。西洋芸術に触れて、次回のバレエ鑑賞が楽しみになりました。

ー以下、他の参加者のコメントです。ー

Aさん
音楽の授業やテレビで音声が流れた時にオーケストラの曲を聴いたことはありましたが、機械ごしに聴くのと生で聴くのでここまで迫力が違うのだなと感じました。また生でしか感じられないものがあったり、実際に演奏している姿を見ながら聴くことができたりしたので飽きることなく最後まで楽しむことができました。1人ではもしかしたら一生ない機会だったかもしれなく、今回体験して興味持ったので経験することができてよかったです。

Oさん
昨年度のゼミで、バレエを鑑賞した時にオーケストラの演奏を聴いてからもう一度生のクラシック音楽を聴いてみたいと思っていました。今回、課外活動で聴ける機会ができた事に嬉しく思います。鑑賞前の読売日本交響楽団の職員さんからのレクチャーでは、クラシック音楽には全くの素人である自分達にとても熱心にクラシックの魅力を教えてくださった事がとても印象的でした。演奏では、自分の知らない楽曲ばかりでしたが、コンサートホールで聴くと耳だけで無く体の中にまで響く迫力が伝わったのを感じました。
 今回の課外活動では、それまで知らなかった音楽と出会う事ができ、これまでのクラシック音楽の見方が変わったと思いました。レクチャーにもありましたが、若い男性で聴きに行く人が少ない中で、クラシックと出会えたことは貴重な体験でした。今後も機会があれば演奏を聴きたいと思います。

Tさん
レクチャーを通してオーケストラ鑑賞が、さらに特別なものになりました。自分は初めてオーケストラを見たのですが、レクチャーなしで見るのと比べたら贅沢だなーとおもいました。はじめ、芸術の話もしていただいて、芸術をどう定義するかということや、芸術に触れることでどんな影響があるのかなどなど、色々と考えるきっかけになりました。演奏会のプログラムの話で、料理の献立の例えとかわかりやすかったです!
オーケストラ鑑賞自体は、迫力もあり、繊細な音も綺麗で、素晴らしかったです。ところどころレクチャーで聞いた話を思い出したりして楽しみました!あと、寝ませんでした!笑 ただ、寝ることはなかったですが、集中力が続きませんでした、、、。ぼーっとしたり、他のこと考えたりすることが多々あって、アクシデントにも気づかなかったです、、。笑
でも、全体を通してすごく良い体験になりました。レクチャーのおかげで、初めてでも楽しめました。ありがとうございました。

Hさん
普段はクラシックを嗜むことがないので不安でしたが、レクチャーのおかげで楽しむことができました。最後の一曲は金管楽器のパートがブラスバンドチックでクラシックと吹奏楽の混ざった曲のように感じました。一つの演奏にいくつもの場面があり物語を構成しているのが小説のようで新しい発見でした。私は芸術に造詣が深くないので、もっといろんな知識を得る努力をし、自分にとっての定義を持てるように勉強を頑張りたいと思います。

Mさん
レクチャーのおかげで「クラシック音楽」についての見聞が広がり、より公演を楽しむことができました。私は、レクチャーで予想された通りモーツァルトの交響曲 第38番〈プラハ〉で寝てしまいましたが、他の演奏を聴くことはできました。私としてはヤナーチェクの「シンフォニエッタ」という楽曲がすごく耳に残りました。ティンパニーの音が響いて目覚めの音のように聞こえ、そして序盤と終盤の音を同じにすることで楽曲全体をきちんとまとめていたところがすごくいいなと思いました。
レクチャーでおっしゃっていた「選択肢多き人生のために」という言葉には気づかされることが多くありました。この言葉は私たちの人生をより豊かにしてくれる言葉だと思い、この言葉を胸にこれからの人生でももっと選択を増やしていけるような生き方をしていきたいです。
今回の公演でクラシック音楽というものが意外と面白いことに気づけたのでもう少し自分で調べてみたいと思います。このような機会を与えていただきありがとうございました。

2019年11月20日水曜日

2019年度後期 第8回

ゼミ生のNです。今回は『急に具合が悪くなる』宮野真生子・磯野真穂(晶文社、2019)を基に議論を行いました。最初に全員で印象に残った個所を挙げていきました。それを出発点に相澤先生が問いを提示する形で議論を進めていきました。

まず初めに議論の対象となったのは、選ぶとは何かについてです。(pp.50-51)著者はがんを患っており、緩和病棟を探すことになるのですが果たしてこの時の決定は選んだということができるのかというものです。あるゼミ生からこれはどちらかというと腑に落ちるという表現が正しいのではないかという意見が出ました。これは本文に「『出会い』をもとに『ここにしよう』という気持ち」(p.26)という記述があることから指摘されました。

次に話し合ったのはなぜ死を意識するのかについてです。(pp.26-27)このブログを読んでいる方々にも言えることですが、病気で死ぬ可能性と交通事故で死ぬ可能性とでは何が違うのでしょうか。この問題について、ゼミ生で話し合ったものの、明確な答えは出ませんでした。私はこの差は現実感の問題ではないかと考えています。病気というのは医師に診断され病名が付くことによってはじめて病気になります。つまり、病名が付され死ぬ可能性があると医師から告げられることによりそれが、自分の問題になり現実的になります。それに対して交通事故などで死亡は毎日のようにニュースで伝えられています。しかし、それはあくまで多くの車の中の一部のことでしかありえず、自分の問題とはなりえず、現実性が惹起されないのではないのでしょうか。それゆえ、いつ死ぬかわからない病気といつ巻き込まれるかもわからない交通事故で死ぬ可能性は本来同じはずなのですが、現実性の意識の程度が異なり、さらには死ぬ可能性の意識が異なってしまうと私は考えています。

今回の議論を通して私は、命の有限性について考えさせられました。この本の著者である宮野先生はまだまだご活躍が期待されていましたが、病気によって亡くなられました。私はワンダーフォーゲル部いわゆる山岳部に所属しておりまさに命を懸けるという言葉がふさわしいような登山を行っています。命を無駄にしないように常に最善の状態で日々の活動を送りたいと考えました。

*相澤追記:11/26に磯野真穂さんをお招きして図書館でブックトークを開催、ゼミ生も参加しました。その様子はこちらからどうぞ。

2019年11月13日水曜日

2019年度後期 第7回

ゼミ生のTです。今回のゼミはアカデミックコンパスの振り返りと新書報告を行いました。アカデミックコンパスについてはこちらの記事に詳細があります。

始めにアカコンの振り返りをしました。スライドと口頭説明の組み合わせ方や、繋げ方など改善できる点があったことを確認しました。他のゼミの発表からも学ぶことがありました。いろいろなゼミの発表をみて、私自身再確認したのが、「何のための発表なのか」「だれに向けての発表なのか」をしっかり理解しないといけないということです。基本の基本ではありますが、欠かせない視点だと改めて思いました。

次に新書報告です。
まず、ゼミ生のMさんが集英社新書からでている『荒木飛呂彦の漫画術』を紹介しました。著者の荒木飛呂彦さんは『ジョジョの奇妙な物語』という作品で有名な漫画家です。この本のなかでは、自身の漫画の描き方、その秘密などを語っているそうです。私はジョジョは読んだことないのですが、作者の工夫などを聞いて少し気になりました。

次に、Hさんが光文社からでている『古市くん、社会学を学び直しなさい‼︎』を紹介しました。この本は著者の古市憲寿さんが、いろいろな社会学者と対話をしていく形で展開する本だそうです。本の中でHさんがとりあげたのが、小熊英二さんとの対話でした。ゼミで、小熊さんの記事をみて議論したばかりだったので、小熊英二と聞いて少し気になりました。

次に、私がPHP新書からでている『「損」を恐れるから失敗する』という和田秀樹さんの本を紹介しました。内容として、行動経済学も交えて、人間は特性として損をとても嫌うが、損失を覚悟できるようになることも大切だということが書かれていました。アメリカ人も日本人と一緒で、損を嫌うし、自分の欠点は気になるという話だったり、経営者としての考え方のヒントなどもちりばめられていたと思います。

次に、Kさんが岩波ジュニア新書から出ている『「カルト」はすぐ隣に オウムに引き寄せられた若者たち』を紹介しました。この本の著者である江川紹子はジャーナリストだそうです。オウム真理教がどのように広まっていったのかなど、個人的に興味深いと思いました。また、相澤先生がカルトに関連して佐藤典雅『ドアの向こうのカルト』(河出書房新社、2013年)という本を紹介してくれました。私は、カルトは身近にあるものだと思います。こういった本を読むことは考えるきっかけになり、とてもよいと思いました。

次に、Aさんが岩波新書からでている辛淑玉さんが書いた『怒りの方法』を紹介しました。権力に屈して同調するような特徴のある日本社会で、どう怒りを表現するかという手がかりを示してくれるような本だそうです。その中で、Aさんが怒りのパターンや、効果的に怒る方法など、紹介してくれました。自分の怒り方を振り返ると、あんまり良い怒り方はしていない気がしたので、怒りのパターンで紹介された問題解決型の怒り方を目指そうと思いました。

最後に、Oさん岩波ジュニア新書からでている清水芳見さんが書いた『イスラームを知ろう』を紹介しました。過激なイメージの強いイスラームについて、本当はどんなものなのかということが解説されているそうです。イスラーム教徒になるにはどうしたらいいのかや、イスラームの寛容な点、死に方の話などを紹介してくれました。イスラームについて、全然詳しくなかったので、知識が増えてよかったです。

アカデミックコンパスでゼミ紹介

ゼミ生のOです。今回はアカデミックコンパス(経営学部1年生向けの授業)で行なったゼミ紹介の報告をします。

 アカデミックコンパスは経営学部一年生が受講する授業で、毎年11月にはゼミ紹介が行なわれます。参加するゼミは経営学部のゼミが多いですが、経済学部のゼミや私達のように教養のゼミ(総合教育演習)も参加していました。

発表前の準備では、事前に発表担当者同士で集まり役割を決めました。打合せをする上では、「どのようにすれば1年生にゼミの活動内容や魅力が伝わるのか」という点で悩みました。しかし、スライドや原稿を作っていく中で互いに気になる点や意見を出し合うことで徐々に発表の内容が形作られてきました。途中2回、ゼミの授業などの時間を借りて全員の前で仮発表をしました。最初の仮発表では、正直なところ、あまり上手くゼミの内容と魅力が伝えられず、相澤先生とゼミ生からも指摘される点が多くありました。その後再び改善すべき所を話し合い作業した結果、2回目の仮発表では前回よりかなり良くなったとの感触が得られました。
発表当日は、4号館の大教室を使うだけあって数百人余りの聴衆がいて、とても緊張しました。相澤ゼミの発表は最後だった為、順番までは他のゼミの発表を聞きました。その中には、聞いていて内容が分かりやすい発表もあれば、時間を気にせず永遠に話す発表もありました。
そして最後に相澤ゼミの発表では、私自身はとても緊張していましたが、今までの準備と練習をしてきた結果、無事に終える事ができました。

発表を終えて振り返ってみると、他のゼミ生と協力する事こそ、うまく発表するための鍵だったと感じました。他のゼミ生が、私自身が気づかなかった点を指摘してくれたので良い発表ができたのだと思います。今回の発表からは、「人と協力する大切さ」を学べました。他のゼミ生がとても協力してくれた事に感謝しています。ありがとうございました。

2019年11月6日水曜日

2019年度後期 第6回

最近鼻風邪が辛く、朝もなかなか布団から出られなくなってきました。一月前に比べて朝は寒く、日が暮れるのもだんだん早くなり、もう11月であといくつ寝ればお正月なのだろうかと数えてしまう今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。ゼミ生のHです。

今回のゼミ活動は新書発表を行いました。紹介された本はバラエティに富んでおり、ゼミメンバーの好みが現れた回になっだと思います。

始めはKさんが井出洋一郎著『ギリシア神話の名画を楽しく読む』という本を発表してくれました。この本はギリシア神話の名画を著者の考えを織り交ぜながら読んでいく本になっています。ギリシア神話とは紀元前の古代ギリシアから伝わる神話。Kさんはその中からアポロン、アテナ、ヘラクレスの3人を紹介しました。美男で優等生、プライドの高い太陽の神アポロンは有能さを誇張し過ぎて誰もよってこない印象を与える神で、ムキになると復讐の神になってしまうという著者の見解がありました。学問、芸術、武芸をつかさどるアテネ国家の守護神アテナは絵画だと武装姿の若くて凛々しい女戦士といった感じですが、官能的なビーナスに比べると地味に描かれることが多いそうです。神話最大の半神にして波乱万丈の国民的英雄ヘラクレス。ルーブル美術館には逞しいヘラクレスが女性の服を着させられ、女性の仕事であった糸紡ぎの仕事をさせられている絵が書かれているそうです。

次にNさんによる鈴木正崇著「山岳信仰ー日本文化の根底を探る』という本を発表してくれました。著者は宗教系の学者で山と宗教との結びつきを研究している方です。山岳信仰とは山に対して畏敬の念を抱き、神聖視して儀礼を執行する信仰のことです。その信仰が仏教と融合し、修験道に結びついていくと考えられています。日本の山の多くは山岳信仰されているそうです。

次はTさんが串崎真志著『悩みとつきあおう』という本を紹介してくれました。この本は心理学から悩みについて考えている本です。悩みが解決するイメージは3つあり、悩みがなくなること、悩みとともに生きること、共に悩む仲間と出会うことです。感情を擬人化してみたり、うまくいったことを繰り返したみたりするとうまく悩みと付き合っていくことが出来るそうです。私は悩みが多いので参考になりました。

つぎにAさんが田中修著『つぼみたちの生涯』という本を発表してくれました。この本は、つぼみたちがどんな生涯を過ごしているか、身近な植物たちの生き方、生きる仕組みを紹介しています。植物をめぐる不思議な出来事の一つに、春に咲くはずの花が秋に咲いてしまうということがあります。これは、夏に毛虫が葉を食べてしまい、つぼみや葉を越冬芽という寒さから守るための硬い芽に成長することができなくなるために起こるそうです。夜の長さを感受するための葉や越冬芽になる葉がなくなり、そのままつぼみが成長して秋に咲いてしまうということなのだそうです。花が咲くことと気温があまり関係していないことに驚きを覚えました。

次はMさんが武長脩行著『「友だちがいない」は"恥ずかしい"のか』という本を紹介してくれました。ニュースなどで「孤独」の人は世間を騒がすような事件を起こすなどとマイナスのイメージがあリマス。しかし「孤独」は人生を豊かにするものだということを論じている本です。著者は、「孤独」と「孤立」と「孤絶」は全く別物だと考えています。「孤独」とは一人でいる状態を、「孤立」は自分が寂しいと思う状態を、「孤絶」は意識的に周りとの関係を断ち、人里離れた場所に閉じこもる状態を指している言葉だそうです。「孤独」は自立に繋がる部分があるので「孤独力」を日々鍛えることも重要になってくるそうです。

次にOさんが山我哲雄著『キリスト教入門』という本を紹介してくれました。日本では馴染みがないキリスト教。この本は、何も知識がなくてもキリスト教がどのような宗教なのかを理解できる入門書になっています。キリスト教はユダヤ教を改革して作られたそうです。キリスト教には宗派があり、カトリック、プロテスタント、東方正教会と大きく三つに分けられます。カトリックは教皇が最も権威があり、中央集権的な形をとっています。プロテスタントは聖書を重視した宗派です。東方正教会は国、地域で教会が独立した連合体で、イコンという聖画像を窓口に神を祈ることをしている宗派です。

次に私が若新雄純著『創造的脱力 かたい社会に変化をつくる、ゆるいコミュニケーション論』という本を発表しました。現代社会においてちょっとの隙もない完璧な答えを出すことは不可能に近いので、社会的システムや人間関係をゆるめるというアプローチをかけることを提案している本です。その一例として、福井県鯖江市の鯖江市役所がJK主役のまちづくりを行いました。普段ただ喋ってることから問題を取り上げ、サービスを提供するという過程の中で、市役所の職員の名前を下の名前で呼ぶというJKのゆるいコミュニケーションが頼り易い関係性を生み、信頼関係を築いていくということを紹介していました。

前述の通りさまざまなジャンルの発表になりました。つぼみが花を咲かせる仕組みや山と宗教との繋がり、「孤独」が自立に繋がるということは意外と知らないことが多く勉強になりました。他ジャンルからの知識を得られることは非常に楽しいものなので今後の新書報告が楽しみです。

2019年10月23日水曜日

2019年度後期 第5回

 ゼミ生のMです。二期第5回目のゼミを行いました。今回は、2月に行うフランスでのゼミ研修に向けた事前学習の一環として、前回選んだ美術書の内容を発表しました。その後、ルーブル美術館にあった作品が写真で載っている本を眺め、自分のお気に入りの作品について話し合いました。

 まず、Hさんが木村泰司さんの『名画の読み方 世界のビジネスエリートが身につける教養』(ダイヤモンド社、2018)を発表しました。この美術書は絵画の読み方について書かれた本でしたが、この本によると絵画を窓口にして、神様に祈ろうということでした。例えば、キリスト教では偶像を崇拝することを禁止していました。それでも神に祈りを捧げたかった信者たちは、イエス・キリストが描かれた絵画に祈りを捧げたのです。時代によっては絵画が神様の代わりになったと思うと面白いですね。

次は、私Mが佐藤晃子さんの『名画のすごさが見える 西洋の鑑賞辞典』(永岡書店 2016)を発表しました。この美術書では、美を意識させるためにわざと胴体を伸ばしたような絵画を描いた画家や、鉄道というタイトルの絵画なのに鉄道をわざと描かず、雰囲気だけで鉄道を連想させる絵画といった少し不思議な絵画を紹介しました。絵画というのは身体を描くとき、正確に描写しなくてはいけないものだと思っていたのですが、絵画の美しさのためにわざと崩すということに驚きました。
 
その次に、Nさんが池上英洋さんの『西洋美術史入門』(筑摩書房、2013)を発表しました。この美術書では、美術史というものについて紹介しました。そもそも美術というのは教育が行き届かず、文字が読めない民衆たちに何かを伝える手段としても活用されていました。文字で伝えることができなくても絵画を通し、視覚で伝えるというやり方でした。絵画は鑑賞するためだけのものだと思っていましたが、時代によっては異なる目的のために描かれていたことを知りました。

そのあとに、Oさんが中野京子の『美貌のひと』(PHP新書、2018)を発表しました。この美術書では美しい人が描かれた絵画40作品を紹介し、またその絵に映る人物や、人間関係、社会的背景などについても説明している。例えば、「スザンナと長老たち」という絵画では真ん中に女性がいてその隣りに男がいるという絵画ですが、その人々の背景を知っていれば、その絵が不当な裁判にかけられるかわいそうな女性とそれを助けようとする男性ということが分かります。一目見ただけでは分からない奥深さがあることを知りました。

そして、Aさんが中野京子さんの『怖い絵』(朝日出版社、2007)を発表しました。この美術書には、一見するとただ美しい女性が描かれているだけの絵に実は怖い意味が隠されていることを教えてくれます。今回発表された絵画は、フランスの印象派の画家として知られているエドガー・ドガの「エトワール」という油絵です。この絵画にはバレリーナが躍っている様子が描かれているのですが、その後ろの方には黒服の男がいるという少し怪しい部分があります。これはこの時代のバレリーナたちが娼婦のようなもので見に来ている黒服はパトロンだということを知っていればまったく違う意印象になってしまいます。私もこの話を聞く前と後ではこの絵画への見方が180度変わりました。

今回の発表で絵画鑑賞にはある程度の知識がないと本当にその絵が伝えたいことが分からないことに気づきました。ルーブル美術館に行く前にもう少し絵画について勉強しておこうと思いました。

2019年10月16日水曜日

2019年度後期 第4回

 こんにちは、ゼミ生のAです。今日は前回発表できなかった人の発表とゼミ関連イベントについての話し合い、そして2月にフランスのルーブル美術館に行った時に少しでも楽しみながら絵画などが見れるよう、その事前学習のための美術書選びをしました。

 まずTさんが、森田洋司さんの『いじめとは何か 教室の問題、社会の問題』(2010年、中公新書)という本を紹介しました。この本はいじめの世界的状況や歴史を踏まえて、いじめの定義がどう変わってきたのかなどを語りつつ、これからいじめに対してどう動いていくべきか論じていました。中でも印象に残ったところがいじめの定義について著者なりに説明しているところで、著者はいじめについて「同一集団内の相互作用過程において優位に立つ一方が、意識的に、あるいは集合的に他方に対して精神的・身体的苦痛を与えることである」と定義づけていました。いじめとはそもそも何なのか私は考えたことがなかったので、今回の話を聞いて考えさせられました。最近では小学校で生徒を教える立場にある教師がいじめを行っていたというニュースもあり、どうにかしていかなければならない問題だなと感じました。

 次に11月、12月中にあるゼミ紹介イベントなどについて話し合いました。何のゼミに入ろうか迷っている1年生にどんなことを行っているか、また何を学びたい人に合っているかなど、きちんと伝えるべきことを伝えながら楽しく紹介できたらいいなと思っています。

 最後に、2月にフランス研修でルーブル美術館に行った時そもそも絵画とはどう見ればいいのか、どんなところに注目すればいいのかなど、少しでも興味を持てるよう美術書を選びました。私は絵画に興味を持ったことがなく何を楽しめばいいのかも分からないため、タイトルと中のページをぱらぱらとめくり簡単に中身を見ながら1番自分が楽しみながら読めそうな本を探すことにし、『怖い絵』という本を選ぶことにしました。この本は、美しく見える反面、絵画の裏には殺人や陰謀、悲劇や怨恨などたくさんの怖いストーリーが隠されていることについて紹介されているもので、これを読んで、少しでも絵画など西洋美術に興味を持てたらといいなと思いました。

2019年10月9日水曜日

2019年度後期 第3回

 ゼミ生のOです。2期第3回ゼミを行いました。今回は2期に入って最初の新書発表をしました。


最初にTさんが岩本麻奈『フランスの教育・子育てから学ぶ 人生に消しゴムを使わない生き方』(日本経済新聞出版社、2017)を発表しました。フランスの教育やフランス人の考え方を日本と比較しながら語られている本です。フランスの学校のテストでは、答えまでのプロセスやロジックを評価し、選択問題よりも論述問題に重点が置かれています。選択問題での点数で評価する日本とは異なった評価基準がされる事が分かりました。

続いてKさんが鴻上尚史『「空気」を読んでもしたがわない』(岩波ジュニア新書、2019)を紹介しました。この本では、「世間」と「社会」との関係や「なぜ先輩に従わなければいけないのか」と言うような日本社会の「空気」について著者なりの考えが語られています。普段私達が生活している中では、あまり社会の空気について深く考えませんが、実はかなり不思議な事でもあると気づかされる一冊でした。

次にAさんが養老孟司『ぼちぼち結論』(中公新書、2007)を紹介しました。本書は、元々著者が書いているエッセイを新書化した本です。データ捏造問題、自由と不自由、子どもの自殺、温暖化問題など多種多様な社会問題や社会の「常識」の怪しさを指摘しています。この中の温暖化問題では、世界で最もエネルギーを使い最も多くの温室効果ガスを排出しているアメリカが削減すべきだとしています。日本は自国の削減よりもアメリカの排出削減の手伝いをすべきだと指摘していました。

次に私Oが池田利道『23区格差』(中公新書ラクレ、2015)を紹介しました。本書は、東京一極集中が進む東京23区における区や地域の違いや格差を様々なデータを元に紹介しています。災害面では、東部(下町地域)ではリスクが高いのに対し西部では低い事が挙げられます。また、所得に関しては、港区が904万円に対し足立区が323万円のように、同じ23区内であっても大きな違いがあり、非常に多様性に満ちた地域だと気づかされます。

次にNさんが野村啓介『ヨーロッパワイン文化史』(東北大学出版会、2019)を紹介しました。ここでは主にフランスのワインの歴史とワインに纏わる人々との関係性について述べています。フランス宮廷では、ワインは「質」が求められていたのに対し一般庶民の間では質より「量」が求められていました。同じワインに対しても身分や階級で求められているものが異なる事にワインの奥深さが感じられます。

次にMさんが岩波書店辞典編集部『四字熟語ひとくち話』(岩波書店、2007)を紹介しました。本書は、岩波書店編集者が選んだ四字熟語をおもしろおかしく、うんちくを踏まえて紹介しています。私自身あまり四字熟語については知りませんが、本書は難しそうな四字熟語も一つ一つわかりやすく解説されているので、四字熟語に対する知識がつけられそうです。

最後にHさんが三宅理一『パリのグランド・デザイン』(中公新書、2010)を紹介しました。フランスが誇る「花の都」パリの街並みがいつの時代に誰によって整備されていったのかを「グランド・デザイン」という思想から掘り下げています。17世紀後半のルイ14世の時代には、街を美しく都市整備していく事はもちろん道路整備など実用性も確保する事を目指しました。区画整備などの困難も有りながらもそれを克服できた事が現在まで続く美しいパリの街並みに繋がっていると感じました。

2期に入って新書の発表は今回が最初でしたが、とても興味深い本が多かったです。2期の新書発表も気を抜かずに頑張っていこうと思います。

2019年10月2日水曜日

2019年度後期 第2回

ゼミ生のKです。今回の授業は小熊英二さんのインタビューを読み、今の日本社会の仕組みについてディベートを行いました。

はじめに二つのグループに別れて、インタビューを読み疑問に思ったことや、考えたことを話し合い、最後にゼミ生全員でグループで出た疑問や意見を発表しました。

小熊さんは現代日本社会の生き方を「大企業型」「地元型」「残余型」の3つの類型に分けて説明しており、その仕組みは変わるのかというトピックからはじまりました。「大企業型」は年功序列で賃金が上がる人々で26%、「地元型」は地元にとどまる人々が36%、「残余型」は平成の時代に増加していった所得も人間関係も希薄という人々で38%だということです。この平成の間で、26%の大企業型の人々の暮らしはかわらなかったけど、地元型が減り残余型が増えたことで、貧困が増えており、この仕組みも限界を迎えているというのが小熊さんの見解でした。

私たちはこれに対し、なぜかわらなかったのか、どのように変えていきたいか、また自分はどこに属していくのかを考えました。私はこれを読んで、変わらなかった人々と変化してきた人の格差がなくなり、能力のある人が正当な評価を受けられるような社会の仕組みを自分たちの手で作っていきたいと思いました。

日本人は変化を嫌う人が多いかもしれませんが、長い目で見てよりよい社会に自分たちが変えていきたいという気持ちになりました。

またこのような現代社会の問題についてディペートを行うことは、自分の考え方や意見に気付くこと、相手に伝えること。また、相手の意見との相違点や一致点に気が付けること、新しい意見を知れることがとても楽しかったです。

2019年9月25日水曜日

2019年度後期 第1回

ゼミ生のTです。

今回は、夏休み明けはじめてのゼミでした。内容としては、フランス本紹介をしました。2月にあるパリ海外研修にむけて、フランスについて知識を深められました。

はじめにHさんが、明石書店から出されている梅本洋一、大里俊晴、木下長宏『パリ・フランスを知るための44章』(明石書店、2012年)という本を紹介しました。本の概要は、実際のフランスがどのような姿であるのかを、暮らし、街の歴史、文化、芸術などに細かく分けて紹介されている本だと言っていました。

その中で、マルシェとワインについて本に書かれていたことを紹介していました。自分は、マルシェというものを全く知らなかったし、ワインについてもよく知らなかったので、新しいフランス、パリについて新しい知識が増えて面白かったです。

次にNさんが、日本実業出版社から出版されている宇山貞栄さん著作の『民族で読み解く世界史』(日本実業出版社、2018年)を紹介しました。この本の目的としてNさんが紹介していたのは、世界の各民族の歴史的事実や、雰囲気からその正体をつかみ、民族の本当の姿を暴き出すことです。その中で、ヨーロッパの民族であるスラブ人、ラテン人、ゲルマン人などを紹介していました。寒い地域の民族はお金を貯蓄する傾向があったりだとか、その逆に暖かい地域は人生でお金を使い切ることをよしとしたり、その土地の地理、気候によってその民族の気質などが決まるという自然地理説のことについても話していました。自分の感想として、気候によって人間の気質がかわることに納得しました。

次にMさんが、明石書店から出されている梅本洋一さんと大里俊晴さんと木下長宏さんの『現代フランスを知るための36章』(明石書店、2000年)を紹介しました。最初にHさんが紹介した本と同じシリーズで、フランスの暮らし文化を知らない人のためのフランス導入法のようになっているそうです。パリの人はオシャレという一般的イメージは間違いで、オシャレなのはシャンゼリゼあたりなどを歩いている人たちで、そのほかの人々は何度も着続けて、型崩れしているような服を着ていると書かれていたそうです。また、フランスには中古市場がほとんどなく、物々交換のように、人と人で直接取引するということも書かれていたらしいです。ほかに、フランス人は自分でものを作ることが多いらしく、どれも日本と違っていて、とても興味深いと思いました。この本の紹介の後の質問のなかで、相澤先生がフランス人は家を何度も買うという話をしてくれました。それもまた日本と違って面白いと思いました。実際にパリに行くのが楽しみです。

次に、Aさんが中公新書の安達正勝さんの『マリー・アントワネット フランス革命と対決した王妃』(中公新書、2014年)という本を紹介しました。本の概要として、マリーアントワネットの世間のイメージだけでない本当の姿について書かれていると紹介していました。マリーアントワネット自身の性格などは積極的で活発で愛嬌がある女性だったと書かれていたそうです。市民から非難されることもしばしばあったらしく、その原因など書かれていたことを紹介してくれました。自分のマリーアントワネットに対するイメージがこの本の紹介を聞いて変わったり、新しく知ることがあったりして、面白かったです。

次に、Oさんが山川出版社出版、福井憲彦 編の『フランス史』(2001年出版)を紹介していました。本の概要は、世界各国史シリーズのフランス史であり、古代の先史時代から現代のフランスまでの歴史を時代順に書かれているものだそうです。紹介では、古代ローマ、18世紀ごろの都市の変化、ナチス支配下のフランス、現代のフランスなど、Oさん自身が面白いと思ったところを簡単に紹介してくれました。最後にコメントとしてOさんが、フランス革命で得た自由や人権の意識と、フランスの植民地に対する行動のギャップについて話していました。Oさんのレジュメは地図などがのっていて、しっかりしたものになっていたので、見習いたいとおもいました。

最後に、Kさんが河出書房新社出版の竹中幸史さんの図説『フランス革命史』(2013年出版)を紹介していました。図説だったので、実際の本を参照しながら紹介してくれました。サン・ドニ大聖堂についてや、朕は国家なりの真実、国旗の話など、知らない話が色々聞けました。美術作品などものっていて、そういった作品だと、作品を参照して説明する図説の方がわかりやすいんだろうなと思いました。実際の美術作品などもパリで見る予定なので、とても楽しみです。

今回のフランス本発表で、二月のパリ海外研修がより一層楽しみになりました。自分は日本から一歩も出たことがないので、フランスと日本の違いや新しいなにかを発見できたらいいなと思います。

2019年7月27日土曜日

演劇鑑賞:骨と十字架

ゼミ生のNです。金曜日に引き続き、今日は新国立劇場にて演劇を鑑賞してきました。演目は「骨と十字架」です。



この物語は古生物学者であり人間の進化について研究しているテイヤールを主人公に進んでいきます。テイヤールは進化論を主張することにより北京へと左遷されることになります。しかし、このことが北京原人の発見につながり彼にとって大きな出来事となります。信仰と学問、衝突する二つのはざまで人はどのように振舞うのか演じられていました。
特に印象的であったのが、主人公が北京原人の頭蓋骨を発見しそれによって、バチカンの担当者と言い争いをした後に「神の身許に」と言ったシーンです。私にはこの言葉の意味が純粋にこの発見の解釈を神の判断にゆだねるという意味なのか、それとも自ら命を絶つという意味なのかは結論が出ませんでした。皆さんはどう考えますか?ぜひ考えてみてください。

私はこの演劇を見て思ったのは教会と科学の関係についてです。キリスト教においては、一般的に神が人間を作ったことになっています。しかし、科学的には人間は猿から進化し、そこに神が介在しないことはわかっていることです。そして、このことはさらなる科学の発展によってより強固なものになるでしょう。しかし、キリスト教は神が人間を作ったという教えを信じています。この矛盾をキリスト教はどのように説明するのでしょうか。非常に気になります。

2019年7月26日金曜日

国立新美術館で現代アートに触れる。

ゼミ生のTです。今回は、課外活動で国立新美術館に現代アートを見に行ってきました!

夜の国立新美術館。
(撮影:相澤)
国立新美術館では、クリスチャン・ボルタンスキー展が開催されていました。今回は、社会人の方と一緒に展覧会担当のキュレーターさんから説明を受けて、美術鑑賞をしました。

ボルタンスキー展では、ボルタンスキー本人が空間を意識して展示したいということで、それぞれの作品の位置や展示の仕方を考えたそうです。

館内のゼミ生。
(撮影:相澤)




展示場は全体を通して暗い雰囲気でした。はじめ、「咳をする男」と、「舐める男」の映像が流れている部屋を見ました。入ってすぐ、苦しそうに咳をする男の映像がながれ、第一印象は怖い、苦しいというものでした。それから進んでいくと、写真などを使ったいろんな作品が展示されていました。ほかにも多くの顔写真を使った作品が展示されていました。顔写真の多くは、ユダヤ人の顔写真らしく、写真の人の生死はわからないそうです。それもまた不気味さを感じる理由なのかもしれないと思いました。

少し進むと心臓の音が鳴るところにつきました。個人的な印象としては、慣れない大音量の心臓の音は不気味に感じました。

さらに進んでいくと、主に顔写真が多く使われている作品がある部屋に着きました。明るめの部屋だったのですが、ぼやけた顔写真が光で照らされている作品がおおく、遺影にも見えました。そして、心臓の音の部屋のすぐ近くだったので、心臓の音も聴こえてすこし怖い印象も持ちました。

また進むと、東京限定のカーテンの作品がありました。そこからは写真撮影OKだったので、写真をたくさん撮りました。

撮影:ゼミ生T。以下同。


カテーンのところを抜けると目の前におおきな服の山がありました。ほかにも色々な作品がありました。他の作品をすこし写真で共有したいと思います。






全体を通して、作品の説明が書いてある場所がないので、作品を理解しにくいことがたくさんありました。しかし、それも鑑賞者が自由に感じていいというボルタンスキーの意図でもあるそうです。

私は現代アートをみるのは初めてだったので、いろいろと新鮮でした。他の現代アートも見てみたいと思いました。普段の自分なら見なかったであろう現代アートをゼミで見に行くことができて、とても貴重な体験になりました。

2019年7月17日水曜日

2019年度前期 第12回

担当教員の相澤です。今日は前期の最終回ということで、図書館で夏休みの課題図書探しと個人面談を行いました。

本ゼミは、来年2月に海外ゼミ研修でフランスのパリに一週間滞在する予定です。そのパリ研修の事前学習となる本を読むことが夏休みの課題です。今日のゼミでは、夏休みに読むフランス関係の本を探しました。

まず、私がガイドをして図書館内のフランスに関係する本が並ぶ書架を巡りました。その上で、フランスに関連する本を三冊以上探すよう指示しました。最後にみんなで探してきたフランス関連本を眺め合い、その中から夏休みに読む本を数冊選ぶことにしました。

本選びをするセミ生たち。
小説、歴史、哲学と
様々な本が並びました。
本探しと並行して、図書館内の学習室でゼミ生全員と個人面談を行いました。事前に自己評価シートを記入してきてもらい、それを見ながら前期に成長できた部分や後期の課題を確認しました。

ゼミで(ほぼ)毎週、新書発表を継続したことによって、ゼミ生は読解力と発表する能力がぐっと向上しました。一方で、経験を積んだからこそ見えてくる課題もあります。こういったことを言葉にして確認、意識することがさらなる成長につながると考えます。

さて、面談を終えたところで学習室に全員集合し、各自が選んだ本たちを机いっぱいに並べました。各自どんな本を選んだのか簡単に紹介し、机の上のたくさんの本を眺めて、読みたい本を選びました。

時間のある夏休みに様々な本を読んで、興味と知識の幅が広がれば広がるほど、フランス滞在は有意義なものになると思います。Bonnes vacances et bonne lecture !




2019年7月10日水曜日

2019年度前期 第11回

こんにちは、ゼミ生のHです。第11回行いました。今回は新書発表を行いました。

最初にMさんが、手塚治虫『ぼくのマンガ人生』(岩波新書、1997)を紹介しました。漫画の神様と呼ばれる手塚治虫氏の半生を振り返り、彼がマンガに込めたメッセージを読み取っていくという内容になっているそうです。医学生だった頃の経験から書いた『ブラック・ジャック』には「患者の病気だけではなく心を救おう」というメッセージが込められているそうです。私はブラック・ジャックが好きで、その作中に負傷したイリオモテヤマネコと赤ちゃん、裕福な太った男の人が出てくるシーンがありました。ブラック・ジャックは絶滅危惧種であるイリオモテヤマネコから先に治療を始め、その後に赤ちゃんを直し、最後に裕福な太った男を手術をしていきました。そこには戦争体験から得た人と動物の命も平等であるというメッセージが込められていると感じました。

 次にAさんが上杉忍『アメリカ黒人の歴史 奴隷貿易からオバマ大統領まで』(中公新書、2013)を取り上げました。黒人たちがアメリカ社会の底辺から社会的上昇をとげた公民権運動を経て現代まで、差別にさらされながらも、境遇改善への努力を重ねてきた黒人たちの歩みを辿った本だそうです。人種エチケットや人種ラインなど人種を分けるルールが存在していて、白人領域に入ってしまった黒人が暴行を受けていたり、他にも色々と公私問わずに差別がありました。そうであったにもかかわらずに自分達の公民権の獲得のために運動を起こした事は、今の世界を形作った大きな出来事だと私は思いました。

 次はKさんが高良倉吉『沖縄問題 リアリズムの観点から』(中公新書、2017)を紹介してくれました。琉球という国は中国にも日本にも属さない独立な王国であったそうですが、日本が現代国家として領土を明確にするために消滅してしまったそうです。琉球語は日本語がルーツになってることから文化的な親和性や一体性があり、領土の侵略よりは奴隷解放に近い形で日本になったとのことです。発表を聞いて、確かに琉球語が日本語がルーツになってるという事には納得出来ました。他にも日本と沖縄の時代区分や米軍基地があっても優遇されているわけではないという知らなかった事も知れたいい機会になりました。

 次にOさんが宮田律『物語イランの歴史』(中公新書、2002)を取り上げてくれました。古代には、広大な帝国を築いたイラン(ペルシャ)が、優れた技術を持ち独自の文化を守り続け、今後どのような方向へと向かっていくのかをイランの歴史を辿りながらイランの真実の姿を伝える一冊になっているそうです。イラン人には大帝国を築いたプライドがあり、周辺の「アラブ」や「トルコ」と言った民族に対する優越感をもっているそうです。元はイスラエルと良好な関係であったそうですが、イラン革命後は他のイスラーム国家と同様に敵として対立関係になってしまったという。私はイランという国を良く知らず、石油が取れるくらいの知識しかありませんでした。今回の発表を聞き、日本とは良好な関係ということを知り良い印象を持ちましたが、今後ニュースなどでイランが取り上げられた時は注意して見てみようとおもいました。

 最後は私が、池上俊一『お菓子でたどるフランス史』(岩波ジュニア新書、2013)を紹介しました。この本は文化立国フランスを彩るものの中で、世界中の人たちを魅了してきた「お菓子」を辿りフランスを精髄に迫っていこうという本になっています。17世紀、砂糖は贅沢品でありました。その砂糖をふんだんに使って作られるお菓子は自分の地位を示すのに使われてきました。イギリスがヨーロッパ大陸の国から経済制裁として輸入を制限されている時、砂糖を巡って戦争が起こるほど喉から手が出るくらいに貴重な食べ物でした。時代が進み、食卓上では視覚を重視しされ始め、お菓子の美しさが食事に花を添えるようになりました。街のお菓子屋さんにはブルジョワたちが甘い宝石のようなお菓子を求め列を作ったそうです。ゼミ研修でフランスに行った時にはお菓子屋さんを気にして街を見てみたいと思います。

 今回は「歴史」という共通項を持った話が多く、様々な視点から歴史を紐解き、作者や発表者の意見を聞けた良い新書発表になったと思います。歴史に関わる知らない知識が多くあったので、これからは歴史というものにアンテナを張りながら現在との比較なども行なっていきたいと感じました。

2019年6月26日水曜日

2019年度前期 第10回

こんにちは、ゼミ生のAです。第10回ゼミを行いました。今回は新書発表を行いました。

 最初にKさんが、工藤重矩『源氏物語の結婚 平安朝の結婚制度と恋愛譚』(中公新書、2012)を紹介しました。平安時代の婚姻制度「一夫多妻制」の理解を踏まえて、源氏物語について読み解く内容となっているようです。発表を聞いて、源氏物語という存在はよく知っていますがその内容はというと知らないことに今さら気づき、これを機にいつか読みたいと思いました。

 次にTさんが、南野忠晴『正しいパンツのたたみ方』(岩波ジュニア新書、2011)を取り上げました。家庭科という科目を通じて、毎日の生活を振り返りながら自分の生き方に役立つ技術や考え方などを身につけ、生きることを存分に楽しんでもらうといった概要になっているそうです。私は母と一緒に住んでいて朝ごはんや夕ご飯を作るのは全て任せきりにしてしまっているので、時間がある時は代わりに作り少しずつ自立して楽しいと感じることを増やしていきたいと思いました。

 次にOさんが、牧野雅彦『ヴェルサイユ条約』(中公新書、2009)を紹介しました。世界初の世界戦争の終結と戦後の新しい秩序を作っていく中で決められたヴェルサイユ条約。しかし条約締結に至るまでは様々な壁があり、そのような苦難をどのような経緯で乗り越えていったのかが紹介されているそうです。日本は第一次世界大戦では戦勝国でありましたが、第二次世界大戦ではドイツのような敗戦国となり、戦争責任をおいました。私は戦争はもう二度と起こしてはいけないと思っているからこそ、第一次世界大戦があったからこそ結ばれたヴェルサイユ条約、そして第二次世界大戦について深く理解しておきたいなと感じました。

 次にKさんが、正高信男『父親力 母子密着型子育てからの脱出』(中公新書、2002)を取り上げました。内容としては、母性は子供にとって安全基地のような働きを、対して父性はそこから巣立ち一人前になることを促す役割を持っていて、それが子供の社会化に影響するとなっていました。例で落語家の話が取り上げられていましたが、落語家の親は「なれ」と言ったことはないけれど、職場に息子を連れて行き仕事に体験させます。息子はそれがきっかけで落語家を目指しました。大事だからと過保護にしすぎるのではなく、大事だからこそ子供の世界を広げてあげる役になり、様々な体験をさせてあげるべきなのだなと感じました。

 次にHさんが、橋本治『人はなぜ「美しい」がわかるのか』(ちくま新書、2002)を紹介しました。作者は人がなぜ「美しい」がわかるかを理科系知識を用いず、理屈のみで「美しい」について解き明かしていこうといった本になっているそうです。男性の多くは恥ずかしいというのが理由で、あまり「きれい」や「美しい」などの言葉は使わないらしいです。しかしそのせいで感情の退化が起きて、「美しい」というものがわからなくなってしまうそうです。発表を聞いて、他人が「美しい」という言葉を使うことは聞いたことがありますが、私自身が「美しい」という言葉を使った覚えはないのに気づき、これはどうなっているのと考えさせられました。

 次に私が、池内紀『今夜もひとり居酒屋』(中公新書、2011)を取り上げました。町の片隅で赤い提灯を下げている居酒屋。酒に食べ物、店主と客がおりなす独特の時間がそこにあり、そんな居酒屋について詳しく説明されていました。面白いと感じたのは、居酒屋で使われるお品書きには3つのタイプ(黒板タイプ、表記タイプ、ビラタイプ)があり、それを見ればなんとなくその居酒屋にはこだわりなどはあるのか、またやる気の入り具合などが分析できるという点でした。20歳になったらぜひ居酒屋におとずれてみたいです。

 最後にNさんが、福島章『犯罪精神医学入門ー人はなぜ人を殺せるのかー』(中公新書、2005)を紹介しました。人が人を殺す理由としては、①脳に微細な点で健常人とは違った変異をもって生まれ、②幼少時に過酷な虐待心的外傷を受けて育ち、③平均的な人とは違う性格を持ち場面によっては低水準の自我の防衛機能を働かせ、④多彩だが否定形的な精神症状を示す。そして深刻な不適応が生じると、⑤自殺願望を抱くが、自らの死を果たすためにはまたは自らの死を招くためには、⑥人を死に至らしめる。これら6つ全てをこなす時、シリアルキラーなどが生まれ、ここでは大量の殺人を起こしてしまうのではないかと話していました。最近川崎市では18人の人が刺され小学生の女児と男性が死亡するという事件がありました。先ほど6つの条件を述べましたが、どれか1つだけでも満たさなければこんな事件も起こらなかったのではと思うととても悲しい問題だなと感じました。

 今回は普段の生活に関係のあるものが特に多いなと感じました。今回の新書発表を終えて、今までは少しも気にしたことがないものにこれからはできるだけ目を向けたみたいなと感じました。

2019年6月18日火曜日

2019年度前期 第9回


 ゼミ生のOです。第9回ゼミを行いました。今回は、前回鑑賞した映画『ズートピア』から各自が感じた事や考えたとについてディスカッションしました。

最初にそれぞれが感じた事を一つずつ言っていきました。そのなかでもゼミ生が一番感じ取った事は「肉食動物と草食動物との偏見」でした。大都会ズートピアでは、多種多様な動物が共存している街です。しかしその実態は、肉食動物と草食動物がお互いにレッテルを貼り、できる事や役割を決めつけています。そうしたお互いのステレオタイプがやがて深刻な対立を生む過程へと繋がる恐ろしさを共有しました。また、ディスカッションをしていく中で重要なメッセージとして、映画で描いている対立関係は人間社会にも当てはまる事が読み取れます。肉食動物と草食動物、大型動物と小型動物の異なる他者の違いは、人間社会で言う人種、性別、健常者と障がい者の違いによる差別や偏見にも当てはまります。動物(人)を見た目だけで判断することが危険であり、見た目ではなく内面を見ていくことがとても重要である事が伝わりました。

 他にディスカッションをする中で見えてきたメッセージとして「幸せ」とは何かという問い(メッセージ)について考えさせられました。主人公のジュディーは、両親の心配をよそに自分の夢である警察官になる道を選びました。警察官になると危険や困難な事が数多くありますが、自分自身の夢や好きなことを実現する事も幸せであると考えられます。一方で、ジュディーの両親が言うような伝統的なウサギ(農家)の暮らしも幸せな生活でしょう。しかし、ジュディーの両親は、そのような生活をしてたまたま幸せと感じただけかもしれないと言う捉え方もできます。「幸せ」の捉え方は、必ずしも自分と他者が同じと感じる事は無く、客観的に捉えることは難しいのだと考えさせられました。

 『ズートピア』はディズニー映画であり、ディズニー映画と聞くと子供から大人まで楽しめる映画というイメージがあります。しかし、その内容には人間社会の様々な問題を数多く反映しており、制作者のメッセージが読み取れます。現実世界で考えても、この映画の制作国であるアメリカ合衆国が今現在抱えている社会問題を再現しているようにも感じられます。映画と現実世界を対比する事で私達の世界が『ズートピア』から見えてくるでしょう。

2019年6月16日日曜日

国立劇場で歌舞伎鑑賞。

ゼミ生のMです。今回は課外活動で、歌舞伎を見に行きました。

国立劇場に入って最初に始まったのは、歌舞伎鑑賞教室でした。その後の演目で出演する演者さん、中村虎之助さんが面白楽しく歌舞伎についての解説をしてくれました。歌舞伎に関わる話が聞けて、より今回の演目を楽しんでみることができました。

歌舞伎教室はポップな演出。
インスタ用に写真を撮る時間も。
歌舞伎教室ということで、
若い人がたくさん来場していました。













今回の演目は「神霊矢口渡(しんれいやぐちのわたし)」といわれる江戸時代に人形浄瑠璃として演じられ、のちに歌舞伎でも演じられるようになった演目です。作者の福地鬼外は平賀源内のペンネームの一つで、源内は軍記物語『太平記』の一部を元にこの作品を書きました。


 内容としては、お舟と呼ばれる少女が数時間前に出会った新田義峰のために命を燃やしてその身を守ろうとするお話しです。自分としてはお舟が義峰に出会った瞬間、一目ぼれして舞い上がってしまったシーンが、印象深く残っています。この演目のラストは悲しいものになっており、お舟が心のそこから恋をしてしまうこの楽しいシーンは、心に来るものがあります。 

他にも歌舞伎の上演中に流れる三味線や歌は、場面の臨場感をより鮮明にし、まるで自分たちもその場に立ち会っているかのようでした。機会があれば、また歌舞伎を見に行きたいです。

2019年6月12日水曜日

2019年度前期 第8回

担当教員の相澤です。今週と来週のゼミは「映画を読む」と題して、映画のメッセージを理解、解釈する練習をします。

今日はその前編として、皆でお題となる映画を見ました。今回私が選んだ映画は『ズートピア』です。動物たちが仲良く暮らし「誰もがなりたいものになれる」街(ズートピア)を舞台に、いろんなあれこれが起こって...。

毎回私は、読書する時には著者が読者に伝えようとしているメッセージは何かを意識するよう指導しています。これは読書だけでなく映画鑑賞にも当てはまります。どんな作品も何か伝えたいことがあるから作られている。それを理解することが鑑賞だと考えます。そこで今日のゼミでは、作品のメッセージを読み取ること、そしてどのような根拠でそう読み取れるのか説明できるようにすることを意識しつつ映画を見ることを課題としました。

2時間弱の上映中、映画を楽しみつつもしっかりメモを取ったゼミ生たち。次回は各学生が読み取ったメッセージとその根拠をシェア、ディスカッションし、映画鑑賞の体験を深めたいと思います。

2019年6月5日水曜日

2019年度前期 第7回

ゼミ生のKです。前回、第7回の活動を行いました。今回も新書発表を行いました。

 ゼミ生のTさんは今回二冊の本を紹介してくださいました。一つ目は串崎真志『心は前を向いている』(岩波ジュニア新書、2013年)です。著者は心理学者の立場から書いた本であり、人の心は基本的には前向きにできているので、無理にポジティブになろうとしなくてもよいとのことです。もう一つは『フリーという生き方』(岩浪ジュニア新書2007年)です。著者は人とのかかわりを強く持つことによって、フリーという生き方を見つけたとのことでした。

  次にHさんが酒井信雄『日本人の「ひるめし」』(中公新書)という本を紹介しました。日本人にとって昼飯は軽く食べるものであるが、ヨーロッパなどは昼飯を時間をとってしっかり食べる。それはヨーロッパはもともと昼・夜の二食文化から朝飯を足して三食文化になったのに対し、日本人は朝・夜の二食文化から昼飯を足して三食文化になったからだという。私もこの話を聞き、確かに日本人の昼飯は軽く、早く、というイメージがあるので、様々な文化の違いとはこのような背景から生まれるのだと思いました。

  次に私が川人博『過労自殺』(岩波新書2014年)を紹介しました。過労自殺の例から、過労自殺の特徴。なくすためにはどのようにしたらいいのかなどが書いてある本です。この中で私は、「労働法を知り、長時間労働や職場環境の異常を気付くべき」という著者の考えに共感したので、それを発表しました。

  Aさんが、石井龍一『役に立つ植物の話』(岩浪ジュニア新書2000年)を紹介しました。作物の人類の歴史と深いかかわりがある十種類について書かれた本だそう。この本によるとジャガイモはいもの周囲を二周する間に5個の目がある規則性があるそうだ。私はこれを聞いて一刻も早くジャガイモを買って確かめたくなりました。

  Мさんは波多野誼余夫・稲垣佳世子『無気力の心理学やりがいの条件』(中公新書1981年)を発表しました。ご褒美があれば効力感(やる気のある状態)があがるのかと思えば、けしてそうではなく、自分で選択して努力することが効力感につながるとのことでした。

  最後にOさんが岩下明裕『北方領土問題』(中公新書2005年)を紹介しました。今まで見てきたニュースなどでは四島一括返還の話しか聞いたことがありませんでしたが、実際に住んでいる人の現状や声では二島の返還が現実的なのかなとも思いました。

  今回の新書発表は偶然にも関連した内容が多く、その中でも発見があり非常に面白かったです。また、新書の発売された年代も様々だったので、今後はその本が書かれた年代の社会情勢なども含めて読みたいなと感じました。

2019年5月28日火曜日

2019年度前期 第6回

ゼミ生のTです。第6回ゼミを行いました。今回は、相澤先生がフランス人の友人を呼んでくださり、フランス人のお二人(マルティーヌさんとニコルさん)とディスカッションをしました。

初めは、簡単なフランス語で名前とボンジュールだけの自己紹介をしました。お二人は3週間ほど日本に旅行に来ているらしく、東京、京都、那覇、姫路など色々なところに行ってきたそうです。旅行の中でお二人が感じた日本の印象からディスカッションが始まりました。

お二人は、日本の規則正しさに驚いたと言っていました。赤信号をちゃんと待ってる日本人をめずらしく思ったということも言っていました。それをきいて、フランスではみんなちゃんと信号を待たないのかと思い、驚きました。また、電柱だらけの街並みにも、めずらしさを感じたそうです。フランスの街並みにはないそうで、2月にフランスに行って、フランスの街並みをみるのが楽しみです。

また、エレベーターで挨拶をしたら、挨拶を返してくれたり、くれなかったりということがあったそうで、それもめずらしく思ったそうです。確かに、日本人にはそういった習慣がないので、戸惑った人も多かったんだと思います。フランスでは、挨拶をしたらちゃんと返してくれるそうで、フランスでは当たり前のように挨拶し合うと聞いて、素敵だなと思いました。

ほかに、お二人が日本の印象について言っていたのが、個人を感じられなかったということです。電車ではみんな同じような格好をしてるように見えたと言っていました。男性は大体スーツで、女性も地味な格好が多い気がしたらしいです。また、電車で杖をついている方がいたのに誰も席を譲らない場面を見たそうです。日本人は周りを見れていないのかもしれないなと思いました。ほかに、日本人の接客の話にもなりました。日本の接客について、過剰な印象を受けたそうです。フランスでは、あんなに何度もしっかりとお辞儀したりしないそうです。

とはいえ、旅行全体としては、良くしてくれる人もたくさんいて満足だと言っていました。お箸を使えるようになった話も聞きました。最初の方はだめだめで、レストランでも、見かねた店員さんからフォークをもらったりしたそうですが、徐々に使えるようになってきたそうです。

ディスカッションをしていくうちに、政治についての話になりました。政治に関してどんな関心があるのか聞かれましたが、自分を含めゼミ生はしっかり答えられませんでした。フランス人に比べ、日本人はあまり政治に関心がないです。フランス人は、若者も政治に関心を持ち、政治について話したりもするようです。日本では、若者の間で、ほとんど政治の話は出てこないような気がします。そう考えると、日本人はもっと政治について話したり、考えたりする機会を増やすべきだと思いました。

政治の話の中で、選挙の話にもなりました。日本は少子高齢化社会で、全員が投票したとしても、若者よりも高齢者の投票数の方が多いです。そうなると必然的に、高齢者向け政策をかかげる政治家ばかりが当選して、若者のための政策をかかげる政治家が当選しにくくなります。そういったことを考えると、選挙への意欲が湧かない、行ったところで意味がないように感じるという意見が出ました。それに対して、それでもいくべきだとフランス人のお二人ははっきりと断言していました。それを聞いて、その通りだと思いました。現状、若者が少なくて、若者の影響力が少ないといえ、何もしなければ何も変わらないということに気づかされました。

フランスではデモは日常的と言えるほど、活発だそうで、日本人には、ほとんど考えられないです。しかし、政治に関心を持って行動をするフランス人を見習うべきだと自分は思いました。また、お二人は、政治は自分たちに関係あることだと言っていました。考えればその通りなのに、普段そういう意識が薄い事に気がつきました。政治は自分に関係のあることだと意識することも、大事だと思いました。話を聞いていて、フランス人には自分から抗議しないと変わらないことや、自分が動くことで何かが変わるという気持ちがしっかりとあるんだろう思いました。

ほかに、日本は女性の権利が弱いという話も出て、日本の天皇は男性しかなれないというのは差別的だと言っていました。自分もそう思いました。ほかにも、トランプについてどう思うか、フランスの大統領についてはどう思うか、フランスでどんなものを食べているか、フランスで有名なスポーツは何か、などなど、色々なお話をしました。とても面白いディスカッションでした。

ディスカッションが終わると、マルティーヌさんが、自身が経営している会社のキーホルダーをプレゼントしてくれました。お昼ご飯は、ありがたいことに、お二人がお弁当を買ってきてくれたので、それを食べました。美味しかったです。フランスには「お弁当」というものがないそうで、二人はお弁当を食べませんでした。お弁当を食べた後、みんなで写真も撮りました。そして最後は、フランス式お別れの挨拶をして、お別れしました。

とても貴重な体験で、色々と考えることが多かったです。一番、自分が覚えていたいなと思ったことは、自分が動くことで何かが変わるということです。政治にしても何にしても、やはり、行動をしなければ何も変わらないということをディスカッションを通して、改めて気づかされました。

2019年5月22日水曜日

2019年度前期 第5回

ゼミ生のNです。第五回ゼミを行いました。今回はそれぞれが選んだ新書の発表を行いました。ジャンルは自由で、様々なタイプの新書に触れることができました。

 最初にゼミ生のKさんが、橘木俊詔・追田さやか『夫婦格差社会 二極化する結婚のかたち』(中公新書、2013)を紹介しました。紹介によれば、これまでの日本は皆婚社会であり、夫が高収入なら妻は働かず、低ければ働くという夫婦のあり方であり、それが一億総中流の要因であった。しかし、最近は夫の状態関係なしに妻が働くことが一般的になったので、かえって夫婦の合算所得である家計所得の格差が広がるようになったということでした。私は発表を聞いて格差というと今までは絶対的貧困や相対的貧困などの格差を思い浮かべましたが、今回夫婦格差というものもあると知りました。これらの格差をどう解決していくのかを調べたいと思います。

 次にゼミ生Aさんが、坂本敏夫『死刑と無期懲役』(ちくま新書、2010)を紹介しました。日本の死刑制度と冤罪がなぜ発生するかについて具体例を交えて書いてあるとのことでした。科学が発展した今現在でも、捜査現場では科学に基づいた捜査を実施せず経験法則的な捜査を行い、それが原因でいまだ冤罪が発生しているという指摘が紹介されており、日本の死刑制度についてより考えさせられました。

 次にIさんが、池上俊一『パスタでたどるイタリア史』(岩波ジュニア新書、2012)を取り上げました。イタリアにおけるパスタの歴史の中で、麺が水とどう出会ったのかが紹介されました。同じイタリアでも北イタリアでは軟質小麦が使われ生パスタのために作られ南イタリアでは保存食としてパスタが作られたという点が面白いと感じました。文化の交流を感じさせられました。

 次にOさんが、阿辻哲次『近くて遠い中国語』(中公新書、2007)を取り上げました。その中から中国語がどのような言語であるのか、日本人が中国語を理解できるかについての紹介を聞きました。例えば日本語において手紙が中国語がトイレットペーパーを意味するように同じ漢字であるにもかかわらず意味が異なるものがあるそうです。日本語でも中国語でも意味が通じてしまうのでまさに近くて遠い中国語ですね。

 次にMさんが、能登路雅子『ディズニーランドという聖地』(岩波新書、1990)を紹介しました。夢の国ディズニーランドとはいったい何なのか、どうしてそこまで人気なのか、といった謎を考察した本だそうです。私が関心を持ったのは、ディズニーランドの入り口は1つしかないという点です。これは映画監督でもあったウォルト・ディズニーが途中からではなくはじめから見てほしいとのコンセプトを立てて、このような形態にしたとのことです。私たちが普段何気なく訪れているディズニーランドは実は高度に考え抜かれたものなのですね。

 そして私が、野澤千絵『老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路』(講談社現代新書、2016)を紹介しました。本書には、日本の土地をめぐる現状、そして土地計画制度の問題点について、そしてそれを解決するための提案が書いてありました。現在日本では人口減少社会であり住む人の数が少なくなっているにもかかわらず大量に高層マンションなどの建築が盛んになっています。この状況は将来のことを考えた場合どうなのか、非常に考えさせられる内容でした。

 今回新書を読みまた他の人の新書発表を聞いて、世の中では私たちが知らない間に様々な出来事が起きてと感じました。そして、これからはより世の中に興味を持ち、もっと行動していくべきだと考えました。

2019年5月15日水曜日

2019年度前期 第4回

 第四回ゼミを行いました。今回の授業では、文章の書き方について教わりました。今回の授業の目的は文章の書き方ポイントの共有です。今後、多くの場面で文章を書く機会があるため、相手に伝わる文章を書くことを目標としています。

   宿題として事前に貰っていたプリントの課題を各人で解いてきました。プリントには、留学志望理由を書いたわかりにくい文章が二つ記されていました。課題では、その文章を読んで、なぜその文章がわかりにくいのかを考え、その上で文章を相手に上手く伝わるように書き直してくるというものでした。

  この宿題をふまえて、授業内では2つのグループに分かれて作業をしました。グループごとに、その文章を更に良くするために、文章のどの部分を直した方がいいのか問題点を上げて書き直して発表した後に、相澤先生からの説明を受けました。そこで文章を書く5つの基本ポイントを抑える重要性を教わりました。そのポイントというのは、(1) 一文長くしないこと、(2) 話し言葉で書かないこと、(3) 書類向きではない言葉は使わないこと、(4)「て・に・を・は」を正しく使うこと、(5) 主語と述語はきちんと対応させることの五つです。このポイントを押さえた上で更に文章をより良くするために、なんの話をしているのか一目で分かるようにすることや、全体の構造を提示していくという応用的な事も教わりました。

   今回文章の書き方を教わり、人に文章で伝える難しさを改めて実感しました。文章を読むことと書くことが繋がっていたり、人によって文章の構成が違っていたりと発見の連続でした。もっと上手く人に伝えられる文章を書けるように教わったことを意識していきたいです。

2019年5月8日水曜日

2019年度前期 第3回

ゼミ生のAです。
 第三回ゼミを行いました。今回は3分を目標に選んだ新書の発表を行いました。ジャンルは自由で、様々なタイプの新書に触れることができました。

 最初に相澤先生が、坂本尚志『バカロレア幸福論  フランスの高校生に学ぶ哲学的思考のレッスン』(星海社、2018)を紹介しました。内容としては、なぜフランス人は日本人より幸福を感じているのかについて考え、その答えとして、フランス人は高校で哲学を授業で学んでいるからだと書いてありました。日本では大学で自ら哲学の授業をとらなければほとんどの人が哲学には触れることがないと思うため、幸福について深く考え知っている人は少ないと思いますが、これを日本でも取り入れ学ぶことで考え方などが変わるかもしれないため、高校生や社会人の自殺などは減るのではないかと感じました。

 次にM君が、ピーター・ミルワード『童話の国イギリス』(中公新書、2001)を紹介しました。内容としては、ロビン・フッドやくまのプーさん、マザー・グースなど幅広い名作についての紹介が書いてありました。面白いと思ったのは、プーさんの性格は楽観的で物事を深く考えすぎず、悪口のようなことを言われても本当にそうだと思ったらそれをすんなり受け入れる、そういった考え方などがは哲学者と同じだと述べているところでした。

 次にKさんが、岡田温司『アダムとイヴ  語り継がれる「中心の神話」』(中公新書、2012)を紹介しました。内容としては、禁断の果実、楽園追放などキーワードとしては日本人はたいてい知っているけれど、この本ではそれだけではなくアダムとイヴが美術的な解釈や現代社会へどのような影響を与えたかなどについて書いてありました。興味深いと思ったのは、私はアダムとイヴは同時に生まれた説しか知らなかったのですが、他にもアダムが先に生まれその後にイヴが生まれたとされる説、つまりアダムは両性具有説が唱えられているところでした。

 次に私Aが、福間詳『ストレスのはなし  メカニズムと対処法』(中公新書、2017)を紹介しました。内容としては、ストレスは基本時間と共に勝手に解消されますが、ごく一部のストレス(長時間継続など)の場合は自然に解消せず障害に発展してしまう可能性があること、またその治療法や備え方などについて書いてありました。ストレス障害には不安感が大きく関係していて、特に悩みなどを1人で抱え込んでしまう人が陥りやすいと分かったので、本当に困った時は必ず誰かに相談しようと思いました。

 次にN君が、林田学『情報公開法  官民の秘密主義を超えるために』(中公新書、2001)を紹介しました。内容としては、まずアメリカの情報の自由について説明した後、では日本の情報に関する法律はどうなのかと比べ、その考察などが書かれていました。この本ではロッキード事件などが例で使われていて市民はその事件の究明を求めていたけれど、当時は情報公開法が制定されていなく、情報の非公開が貫かれるなど今では考えられないようなことが起こっていました。今でこそ情報公開法が制定されそういったことはなくなりましたが、情報公開法の他にも、海外で真似るべきものがあるならぜひ取り入れるべきだと感じました。

 次にT君が、砂田一郎『アメリカ大統領の権力』(中公新書、2004)を紹介しました。内容としては、アメリカの歴史の中を通じて、フランクリン・ローズベルトなど大統領はどうリーダーシップを発揮してきたのか、また大統領の特質は時間と共に変わっていったことなどが書いてありました。現在アメリカはドナルド・トランプを大統領とし政治が動いています。私的な意見ですが、彼の政治の仕方は少し過激で強行的な気がするので、ぜひこの本を読んで今までの大統領と比較してみたいと思いました。

 次にH君が、竹内英人『なぜ数学を学ぶのか』(岩波ジュニア文庫、2003)を紹介しました。内容としては、数学は論理性、自由性など他の学問にもつながり、また研究する材料にもなる、そのため数学の勉強が必要なこと、人が数学を嫌いになる理由などについて書いてありました。ああそうだなと感心したのは、数学には矛盾がなく、論理的に誰でも分からせられるところで、確かに証明は数だけではなく言葉を用いて答えまでの手順を説明するところがあったり、1つの問題でも解き方はたくさんあるのに必ず答えは同じだったりなど、覚えて使えるようになるには時間がかかるかもしれませんが、誰でも納得できるものだなと思ったところでした。

最後にO君が、田中克彦『エスペラント』(岩波新書、2007)を紹介しました。内容としては、まずエスペラントとは国際共通語でどうして生み出されたのかを説明した後、文法は規則的で覚えやすく不規則動詞がないなど、その構造などについて書いてありました。名詞はo(例、lingvo:言語)で終わり、形容詞はa(例、simpla:簡単な)で終わる、英語はbe動詞(現在形)がam、is、areと3つあるのに対しエスペラントはestas1つだけですむなど、エスペラントには誰でも理解しやすいような工夫がたくさんなされていて、機会があったらぜひ私も触れてみたいと思いました。

 今回新書を読みまた他の人の新書発表を聞いて、新書を読めば本来知ることがなかったり考えたりすることがなかったりするものに簡単に触れて知ることができるんだなと感じました。次からはできるだけ違うジャンルを選び、幅広いたくさんのものに触れてみたいです。

2019年4月24日水曜日

2019年度前期 第2回


ゼミ生のMです。
 第二回ゼミを行いました。前半は、前回選んだ「発表の仕方」に関する本を自分なりにまとめて、三分間を目安に発表をしました。後半ではまとめを行い、次回のゼミで発表する新書を決めました。
最初にTくんが山田ズーニー著『あなたの話はどうして通じないのか』(ちくま文庫、2006年)を紹介しました。内容としては、相手を説得するにはそれが論理でなければならないとしており、論理とは意見と根拠で成り立っていると書いてありました。参考になると思ったのは、互いの意見が理解しあえない時、一度その意見に対する問いを見つめなおすことで、相手と同じ目線に立ち、相手の意見を理解しやすくなるという点です。
 次にOさんが宮野公樹著『研究発表のためのスライドデザイン』(講談社ブルーバックス、2013年)を紹介しました。内容としては、発表の時は、口頭からの情報より視覚からの情報の方が多く伝わりやすいので、スライドをシンプルにすることが大切だと言っていました。参考になると思ったのは、スライドをシンプルにするには、スライド一枚にメッセージを一つというルールで作成した方がいいという点です。
 そして私Mが荒木昌子・向後千春・筒井洋一著『自己表現力の教室』(情報センター出版局、2000年)を紹介しました。内容としては、話したり、書いたりするのは最初、誰だって苦手なものなので、練習すればだれでもできるようになるということが書いてあります。特に話すときはその内容だけでなく、目線や視線も重要なので相手の目を見て話すことはお話し上手への第一歩になります。
 次にKさんが『研究発表のためのスライドデザイン』を発表しました。Oさんと同じ本でしたが、Kさんは話す内容に重点を置いて紹介してくれました。AだからBといった因果関係をはっきりさせ、聞いてもわかりやすい言葉を選ぶといった工夫がわかりやすい発表に繋がると言っていました。参考になると思ったのは、分かりにくい発表を考えるとわかりやすい発表が思いつきやすいという点です。
 その次にNくんが山本昭生著『論理的に話す技術』(サイエンス・アイ新書、2010年)を紹介しました。内容としては、そもそも論理的とは何か?という点から始まり、発表の時に気を付けるべき点について言っていました。参考になると思ったのは、接続詞で後の展開が示唆するという部分で、今後は意識して使っていこうと思いました。
 最後にHくんが下池寛也著『コクヨの一分間プレゼンテーション』(中経出版、2011年)を紹介しました。内容としては、プレゼンの大まかな流れと、伝える内容をどうしたら聴者に印象強く残せるのかという点について言っていました。参考になると思ったことは、聞き手が言ってほしいことを予測し、発表に役立てるという点です。
皆さんの発表仕方や内容や、相澤先生に教えてもらった聞き手の態度といったものを次回から始まる新書発表の場に活かしたいです。

2019年4月10日水曜日

2019年度前期 第1回


ゼミ生のOです。

 今週から2019年度相澤ゼミが始まりました。私Oは昨年度に引き続き2年目のゼミとなります。今年度のゼミ生は私を含め男性5名、女性2名の合計7名と昨年度よりも多いメンバーで活動します。

 初回となった今回の授業では、最初に相澤先生から授業の説明をしてもらった後に、それぞれ簡単に自己紹介をしました。最初は初対面の人達を前に緊張した空気でしたが、自己紹介で相手を知る事で少し打ち解けたように思えます。自己紹介後は、図書館に移動して次回の授業で使う「プレゼンに関する本」を各自一冊選んでから解散しました。

 今年度も個性豊かなゼミ生と一緒に一年間ゼミ活動をしていきますのでよろしくお願いします!

2019年3月9日土曜日

Estudio en España

¡Hola!ゼミ生のOです。私達相澤ゼミは218日から26日の日程で海外ゼミ研修としてスペイン王国のマドリードに行きました。


1日目
朝に成田空港に集合し、12時に日本を出発しました。行きは直行便で日本からスペインまでは約14時間かかりました。(とても疲れました)現地時間の午後6時半頃に到着しタクシーでホテルに直行しました。

ロシア・ハバロフスク上空から見たアムール川

2日目
 この日は、マドリード市内散策で市内の名所を巡りました。最初はホテルから近い王宮に行きました。スペインは1975年の王政復古により現在国王が存在します。(国王は象徴的位置づけ)王宮の外観は、いかにヨーロッパ的な壮大な建物で立派でした。チケットを購入し中に入ると、広い王宮前広場が待ち受けます。王宮内には様々な芸術的な品々が展示されていて、スペイン王室の豪華な生活と繁栄ぶりが伝わりました。王宮見学後は、スペインに来たのでスペイン料理屋で昼食を取りました。食べたメニューは、パエリアと焼き魚、デザートにガトーショコラです。パエリアは日本のお米より少しパサパサしていましたが美味しかったです。昼食後は、Museo Municipal de Historiaに行きました。博物館には、マドリード市の様々な歴史的資料等が展示されていました。中でも19世紀初頭に書かれたマドリードの地図がほぼ現代と変わらない事に驚きました。昔からの伝統的な街並みを守ってきたスペイン人達の精神が伝わる博物館でした。その後は、自由行動と言うことで、ホテル近くのMercad(市場)で食事をしてホテルに戻りました。
昼食のパエリア

3日目
 3日目はマドリードからバスで約1時間の距離にあるトレドという町に行きました。トレドは歴史上、イスラム教、ユダヤ教、キリスト教が混在した町であり、現在も教会などが残されています。バスターミナルから歩いて行くと大きな城門が私達を迎えました。城門をくぐるとそこからは一気に中世ヨーロッパの町並みが広がり、タイムスリップしてきたようにも思えます。町は狭い路地が非常に多く、沢山のお店が軒を連ねているので、歩くだけでも十分楽しめます。私達が最初に訪れたのは、トレドの象徴的な建物であるカテドラルというキリスト教の教会です。カテドラルはとても大きく、内部はゴシック様式の天井と数多くの絵が描かれており、神聖な気持ちになります。教会内にはいくつかの部屋が連なっており、それぞれの部屋の中にはイエス・キリストの像や聖母マリアの像などが飾られていました。内部をある程度見学したら今度は塔に登りました。塔へ登るための階段は非常に狭く急で大変でしたが、展望台からの景色は美しいと同時にクレーンがない時代にここまで高い建物を造れる当時の技術力の高さに驚きました。カテドラルの次はユダヤ教の教会を見学しました。キリスト教の教会は日本でも目にすることがありますが、ユダヤ教の教会はなかなか目にすることがないので気になっていました。ユダヤ教の教会はキリスト教の教会よりもかなりシンプルであまり飾りや装飾がされていない印象を受けました。ユダヤ教の教会を見た後は、カフェで休憩した後、私はトレドのもう一つのシンボル的な建物であるアルカサルにある軍事博物館を見学しました。軍事博物館には銃や刀、鎧などの様々な戦争に関する品々が展示されており、非常に興味深かったです。展示品を見ていると中には日本の甲冑や日本刀が展示されていて、異国の地でも日本の事を感じさせられました。アルカサルの後は近くの美術館を訪問してから帰りのバスに乗りました。この日のトレド訪問は様々な歴史や文化を感じる事ができてとても有意義な一日でした。
スペイン内戦で使われた旧ソ連製の軽戦車T-26
アルカサル













4日目
 この日はあの有名なプラド美術館を見学しました。ゼミでは事前学習で西洋美術に関する本を読んで事前学習をしてきたので、本物の絵画を見るのが楽しみでした。美術館は、入場前から沢山の人で行列ができており、さすが世界屈指の美術館である事が分かります。館内には大小いくつもの部屋があり、私が思っていたよりも広く沢山の絵画や美術品が展示されていました。展示されている絵画は、どれも本に載っているような名作ばかりで、中にはあの有名なルーブル美術館のモナリザより古いモナリザが展示されていました。プラドのモナリザは、表情などはルーブルの物と似ていましたが背景が大きく異なっており、独特の雰囲気が漂っていました。

 プラド美術館の後は自由行動だったので、私は最初に海事博物館に行きました。海事博物館には、かつて世界の海を征したスペイン海軍に関する品々が展示されており、スペインの国力がどれほどのものだったのか伝わってきます。他にもアジアに関する展示があり、大日本帝国海軍とスペイン海軍との交流や日露戦争時の日本海海戦の説明がされていました。映像資料では、スペインを初めとするヨーロッパ諸国がアジアを植民地化していく事やその中で日本が近代化をして強力な海軍を持った事が紹介されていました。海軍力と植民地獲得というのは非常に密接な関係である事がこの海事博物館から学べました。

 海事博物館の後は、考古学博物館に行きました。考古学博物館は、歴史好きの私が楽しみにしていた場所でもあり、6日目にももう一度訪れました。考古学博物館には、人類の誕生からイベリア半島への進出、石器時代、鉄器時代、ローマ帝国、西ゴート王国、イスラム支配時代とスペインの歴史を時代別に資料と展示品で紹介しています。特に私が興味深かったのはイスラム時代の展示です。イスラム時代に入るとそれまでのヨーロッパ的なものからイスラム的な装飾へと変わり、まるで中東の博物館に来ているように感じられました。石碑はアラビア語で書かれた物になり、他のヨーロッパ諸国とは違う歴史を持つスペインの特徴が学べる博物館でした。
昭和天皇がスペイン海軍中佐に送った賞状
アラビア語で書かれた石碑

5日目
 この日はマドリードからバスで約1時間乗った所にあるセゴビアという町に行きました。セゴビアに着いて町を歩くと、巨大なローマ時代に造られた水道橋が待ち受けます。水道橋はとても高く、2000年前のローマ帝国がいかに高度な技術力を持っていたのかが分かります。町を歩き広場に出ると、大きなカテドラル(教会)が見えました。カテドラルの大きさや作りはトレドのカテドラルと同じようなゴシック様式でした。今回もトレドと同様に塔に登る事ができたので、急な階段を登りました。一番上からの景色はとても美しく、最初に来た水道橋や町全体が見渡せました。また、天気がとても良かったので遠くにある山々が見渡せました。カテドラルの次はアルカサルというお城を見学しました。セゴビアのアルカサルは、あのディズニー映画の『白雪姫』のお城のモデルになったと言われています。外観を見た印象は、私達が思い描くいかに中世ヨーロッパの古城と言った感じです。内部には騎士の鎧や刀や大砲といった武器が展示され、日本の城とはまた違った所が新鮮でした。城の城壁から見た景色は、スペインののどかな田舎の風景が広がり、時間を忘れさせてくれる美しい景色でした。アルカサルを見学した後は市内を歩きつつバスターミナルに戻りました。

 マドリードに戻ってからは、現地で日本語を勉強しているスペイン人の方々との交流会に参加しました。交流会は与えられたテーマを元に日本語での会話をします。スペイン人の日本語はとても上手で、日本とスペインの文化の違いや映画の話などで盛り上がりました。交流会はとても楽しかったですが、あっという間に時間が来てしまい終了となりました。しかし、終了後も仲良くなったスペイン人と一緒に近くのスペイン料理屋での交流が続きました。この日はスペインに来て最も楽しい時間を過ごせたと思います。
ローマ時代の水道橋

広場とカテドラル

塔からのセゴビアの風景

アルカサル

日本語の表記がありました



















6日目

 6日目と7日目は自由行動ということで、私は個人的な趣味からマドリードの鉄道博物館に行きました。鉄道博物館にはスペインの地を走った数々の蒸気機関車や特急列車などが展示されていて、車両のデザインも日本とはかなり異なっていました。スペインの線路のレール幅は、日本よりかなり広い為に車両の幅も広々としており、日本とスペインの鉄道の違いが分かりました。鉄道博物館の後はロープウェイのある大きな公園に行くつもりでしたが、この日はなぜかロープウェイが休みだったので断念しました。昼食は適当に歩いて見つけたイタリア人が経営するイタリア料理店で食べました。私はcalzoneという中にトマトとチーズが入ったイタリアのパンを食べて、とてもおいしかったです。食事中に店員さんが「おいしい」と聞いてきたのでmolto bene(とても良いよ)とイタリア語で返したら笑顔で喜んでくれました。この時、外国の人が自分達の言葉を少しでも話してくれると嬉しいのだと感じました。
 昼食後は少し道に迷いながらもロマン主義博物館に行きました。ロマン主義博物館は比較的小さい博物館でしたが、豪華な部屋と芸術品が沢山展示されていて見応えがありました。見学後は少しホテルで休憩した後に、前日に仲良くなったスペイン人に誘われてNさんと一緒に別の交流会に参加しました。交流会には沢山のスペイン人と現地に留学などでスペイン語を勉強している日本人の学生もいました。ここでも日本語で日本とスペインに関する話題で盛り上がりました。具体的には、スペインには日本にあるようなレンタルビデオ店がないので、皆パソコンから無料でダウンロードしているそうです。他には、日本の夏はスペインの夏よりも厳しい(サウナのような暑さ)と話していました。交流会はとても楽しく、何回も参加したいくらいでしたが、遅くならないうちにホテルへ戻りました。
スペインの蒸気機関車





交流会での集合写真











7日目
 この日は4日目に行った考古学博物館がとても見応えがあったので、もう一度行きました。見学後は、お土産などを買うためにマドリードの町を歩きながら買い物をして1日を終えました。

8日目
 早くもこの日がマドリード観光の最終日となってしまいましたが、この日はあの有名なピカソの『ゲルニカ』が展示されているソフィア王妃芸術センターに行きました。入館と同時に『ゲルニカ』の展示部屋に直行しました。ゲルニカは193639年のスペイン内戦で反乱軍(フランコ軍)を支援したナチスの爆撃機がゲルニカの町を空爆した事を描いています。この絵からは、爆撃の元で苦しむ動物や人々の苦しみが伝わってきます。隣の部屋には、スペイン内戦時の映像が流されており、当時の人々の様子が分かりました。

 この美術館は現代アートを展示しています。展示品には激動の20世紀の出来事を批評した物もありました。特に私が注目したのは、東ドイツ国旗の背景にアメリカとソビエトの女性が取っ組み合う絵でした。ドイツを巡って米ソの両国が争う冷戦時代を表しているのだと私は解釈しました。

 見学後は、少し疲れてきたので翌日の長旅に備えて昼食後にホテルで休みました。

9日目
 楽しかったスペイン研修もついにこの日が最後です。(寂しい!)早朝に親切にしてくださったホテルの人達に感謝と別れの挨拶を言ってタクシーで空港に向かいました。帰りの飛行機は、途中フィンランドのヘルシンキを通って成田に向かいました。日本時間の午前10時頃に日本に無事到着しました。約一週間という短い期間でしたが、引率してくださった相澤先生とゼミ生のおかげでとても有意義な研修を行えました。相澤先生とゼミ生にはとても感謝しています。ありがとうございました。

スペインでの気づき
 私がスペインに来て最初に感じた事は、「古い町並みが多く残っている」事でした。東京の町は次から次へと新しいビルができて日々進化しています。一方でマドリードは、昔からの建物があり、色もベージュや茶色で統一されて計画的な都市である事が感じられました。しかし、そんな美しいマドリードの町ですが、視線を地面に向けるとあっちこっちに煙草の吸い殻が落ちていて、東京よりもゴミが多く感じられました。(トレドやセゴビアの観光地はマドリードよりはゴミが少ない)
 自由行動で昼食を食べる時に私は中国人が経営する中華料理店にいったが、お箸の紙袋に英語でお箸の使い方がイラスト付きで説明されていました。この様な説明もアジアでは見ないが、違う文化圏にいることを実感する一幕でした。
お箸の使い方の説明


 交流会での会話で、私は個人的関心から言語に関する質問をしました。まず、「スペイン人は英語が話せるのか」と聞いたところ、多くの人は話せないと答えた。これは意外だったので驚いた。(西ヨーロッパの人は皆ある程度英語が話せると思っていた)ただし、都市部や観光地では英語はある程度通用すると感じられた。(ホテルの人は皆英語が話せる人でした)次に「どの言語が分かりやすい(勉強しやすい)」と聞いたらフランス語やイタリア語と答える人が多かった。私はポルトガル語だと思っていたが、ポルトガル語は「発音が独特で少しわかりにくい」とスペイン人と現地に留学している日本人の方が話していました。

 街中にいる外国人観光客の国籍では、隣国という事もあってフランス人がかなり多く感じられた。(日本に来る中国人観光客くらい)他にはEU圏内の国々や中国人、韓国人が比較的多くいると感じられた。日本人は思ったより少なくて、たまに見かける程度でした。

 私は大学でスペイン語の授業を履修していたので、片言でも学んできたスペイン語で話すようにしました。外国人である私がスペイン語で話すと皆笑顔で喜んでくれたことが今回の研修でとても印象的でした。英語は今では事実上世界共通語のようになっていますが、片言でも現地の言葉で話すと人とのコミュニケーションが柔らかくなる事を実感し学びました。スペイン研修では、博物館や美術館で学んだ事以外にも「言葉としての言語」の重要さを感じました。また、英語だけで無く様々な言語を学ぶ事の大切さを出会った人々から学べたと思います。

長文となりましたがありがとうございました。

¡Me gusta España! ¡quiero ir en España! ¡Muchas gracias!