2019年5月22日水曜日

2019年度前期 第5回

ゼミ生のNです。第五回ゼミを行いました。今回はそれぞれが選んだ新書の発表を行いました。ジャンルは自由で、様々なタイプの新書に触れることができました。

 最初にゼミ生のKさんが、橘木俊詔・追田さやか『夫婦格差社会 二極化する結婚のかたち』(中公新書、2013)を紹介しました。紹介によれば、これまでの日本は皆婚社会であり、夫が高収入なら妻は働かず、低ければ働くという夫婦のあり方であり、それが一億総中流の要因であった。しかし、最近は夫の状態関係なしに妻が働くことが一般的になったので、かえって夫婦の合算所得である家計所得の格差が広がるようになったということでした。私は発表を聞いて格差というと今までは絶対的貧困や相対的貧困などの格差を思い浮かべましたが、今回夫婦格差というものもあると知りました。これらの格差をどう解決していくのかを調べたいと思います。

 次にゼミ生Aさんが、坂本敏夫『死刑と無期懲役』(ちくま新書、2010)を紹介しました。日本の死刑制度と冤罪がなぜ発生するかについて具体例を交えて書いてあるとのことでした。科学が発展した今現在でも、捜査現場では科学に基づいた捜査を実施せず経験法則的な捜査を行い、それが原因でいまだ冤罪が発生しているという指摘が紹介されており、日本の死刑制度についてより考えさせられました。

 次にIさんが、池上俊一『パスタでたどるイタリア史』(岩波ジュニア新書、2012)を取り上げました。イタリアにおけるパスタの歴史の中で、麺が水とどう出会ったのかが紹介されました。同じイタリアでも北イタリアでは軟質小麦が使われ生パスタのために作られ南イタリアでは保存食としてパスタが作られたという点が面白いと感じました。文化の交流を感じさせられました。

 次にOさんが、阿辻哲次『近くて遠い中国語』(中公新書、2007)を取り上げました。その中から中国語がどのような言語であるのか、日本人が中国語を理解できるかについての紹介を聞きました。例えば日本語において手紙が中国語がトイレットペーパーを意味するように同じ漢字であるにもかかわらず意味が異なるものがあるそうです。日本語でも中国語でも意味が通じてしまうのでまさに近くて遠い中国語ですね。

 次にMさんが、能登路雅子『ディズニーランドという聖地』(岩波新書、1990)を紹介しました。夢の国ディズニーランドとはいったい何なのか、どうしてそこまで人気なのか、といった謎を考察した本だそうです。私が関心を持ったのは、ディズニーランドの入り口は1つしかないという点です。これは映画監督でもあったウォルト・ディズニーが途中からではなくはじめから見てほしいとのコンセプトを立てて、このような形態にしたとのことです。私たちが普段何気なく訪れているディズニーランドは実は高度に考え抜かれたものなのですね。

 そして私が、野澤千絵『老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路』(講談社現代新書、2016)を紹介しました。本書には、日本の土地をめぐる現状、そして土地計画制度の問題点について、そしてそれを解決するための提案が書いてありました。現在日本では人口減少社会であり住む人の数が少なくなっているにもかかわらず大量に高層マンションなどの建築が盛んになっています。この状況は将来のことを考えた場合どうなのか、非常に考えさせられる内容でした。

 今回新書を読みまた他の人の新書発表を聞いて、世の中では私たちが知らない間に様々な出来事が起きてと感じました。そして、これからはより世の中に興味を持ち、もっと行動していくべきだと考えました。