2018年11月26日月曜日

2018年度 2期第8回ゼミ

 ゼミ生のRです。後期第8回目のゼミを行いました。

 今日は、メインの活動に入る前に二つの話を聞きました。

 一つ目は、1114()に行われた東京経済大学ランチタイム講座「語学リレー講座 日本手話入門」についてです。参加したNさんとOさん、相澤先生から感想を聞きました。一番印象に残った話は、ろう学校では卒業間近に差し掛かるまで手話を使用してはいけないということです。この理由は、社会で手話以外でもコミュニケーションをとれるようにするためです。社会で手話を常用することは出来なくても、こういった彼らの努力を知り、そして忘れないということが大切なことだと考えました。

 二つ目は、相澤先生が深井智朗『プロテスタンティズム』(中公新書、2017)に関する話をされました。同書の著者は、研究不正が疑われています。しかし、本書の内容は決してつまらないものではないそうです。面白いけれど、根拠が無い著作をどう評価すべきか、また、不正をどう見抜き、何が罰されるべきことなのか等、議論のつきない話題でした。

 次に、メインの活動を二つ行いました。

 一つ目は、JS・ミル『自由論』(光文社、2012)の輪読です。今回は、人の意見というものは、様々な因子によって左右されるものだと主張する箇所を読みました。なかでも印象に残ったのは、「そもそも規則の存在理由など、人からも問われず、自分で考えたりもしないものなので、習慣の力はさらに強まる。」(22)という文章です。はじめにこの文を読んだ時は、そうでもないと思いました。しかし、自分がある定められた規則について考える時、その規則はあくまで自分に興味のあるカテゴリー内のものだということに気づきました。興味の有無で考える機会が増減すること、そして興味があるということは、それだけ一層意見が感情(様々な因子)に支配されやすいということを改めて感じました。

 二つ目は、128日に学内で行うゼミ報告会の発表準備です。二週間ほど前に参加した学内でのゼミ紹介と異なり、今回の報告会では学びの成果を主に発表するものなので、違った視点から準備を進めていきたいと思います。

 次回ゼミでも、たくさんの学びや気づきを吸収したいと思います!

2018年11月18日日曜日

2018年度 2期第7回ゼミ

   ゼミ生のKです。2期第7回ゼミを行いました。今回はまず相澤先生とOさんから点字についてのワークショップに参加しての感想を聞きました。点字を読めるようになるには、相当な努力が必要だと分かりました。実際に体験してみることが重要だと感じました。
その後、新書紹介へ移りました。今回はレジュメを作らず、口頭での発表でした。

 最初にSさんが、石川理夫『温泉の日本史』(中公新書、2018)を紹介しました。本書は温泉の専門家が、温泉の起源や歴史についてマニアックに論じています。そこから筆者が思う理想の温泉の在り方が伝わります。私は発表を聞いて、温泉の歴史が飛鳥時代から始まったということに驚きました。
 
 続いてNさんが、澁谷智子『ヤングケアラー』(中公新書、2018)を紹介しました。本書の内容は、高齢化社会の現在取り上げるべき課題を論じていました。「ヤングケアラー」とは、病気や障害あるいは精神的な問題を抱える親や兄弟、祖父母をケアする18歳未満の子供のことです。10代から介護をしていると成長する時期にも拘らず、自分のために時間を使えないのでうつ状態になってしまうこともあると知ることができました。

 次は相澤先生が、松沢裕作『生きづらい明治社会』(岩波ジュニア新書、2018)を紹介しました。明治時代はいつクーデターが起きるかわからない世の中でした。その中で生きる人々は国家を信用することができず、不安を感じていました。そのため人々は国家を頼りにできないので自分自身をあてにして生きていくしかありませんでした。この時代背景から「頑張れば成功できる」という道徳が国民の中に生まれました。しかし、この道徳は「成功できないのは頑張っていないからだ」という考えにもつながり、社会的や経済的な弱者にとって生きづらい世の中であったのだと分かりました。

 次にOさんが、宇田賢吉『電車の運転』(中公新書、2008)を紹介しました。本書はタイトルの通り電車の運転についてかなり専門的に説明されています。例えば、電車の車輪はレールとの接地面が狭いので小さな力でも動かせることや、カーブするときにはレールの角度をつけることで車体のバランスをとることなどが説明されていました。深く掘り下げると興味深そうだと感じました。

 最後に私Kが、小谷野敦『もてない男』(ちくま新書、1999)を紹介しました。本書で筆者は「もてないこと」を、好きでもない異性に関係を求められることではなく、自分の好きな人に相手にしてもらえないことだと定義しています。筆者が考える独特な恋愛論が、過去の文学作品や漫画の抜粋を交えて書かれていました。

 新書紹介の後は、J・S・ミル『自由論』(光文社、2012)の読み合わせを行いました。今回もひと段落ごとにJ・S・ミルが何を伝えたいのかをゼミ生同士で意見を出し合いながら読み進めました。すると、一人で読んでいたら深く考えずに流してしまうであろう部分が、意見を出し合うことで、新たに気づくを得られるのです。内容もまだあまり進んではいませんが、J・S・ミルの考える自由が、これから次々に出てくるような気がしてきました。可能であればもっと時間をとって一気に読み進めたいなと感じました。

2018年11月7日水曜日

2018年度 2期第6回ゼミ


 ゼミ生のOです。今回は最初に、この日行われた経営部一年生向けの『アカデミック・コンパス』の報告をRさんとNさんからしてもらいました。その後は、各自が読んできた新書を発表しました。

 新書発表では、最初に相澤先生が佐藤仁『教えてみた「米国トップ校」』(角川新書、2017)を紹介しました。本書は、アメリカと日本の大学の良い所と悪い所を比較しています。日本の大学の良い点では、学生と教員の距離が近い事が挙げられます。理由は、日本の大学では教授の先生のゼミや授業が受けられるからです。比較対象としているアメリカの大学では、非常勤講師が主に授業を担当しています。一方、アメリカの大学の良い点では、教員が研究に専念できる点です。日米の大学、それぞれ優れた所がある一方で、まだまだ改善すべき事があります。大学教育で何が正しいと正解を出す事は難しいと感じさせられる一冊でした。

 次に私Oが井上史雄『日本語は年速一キロで動く』(講談社現代新書、2003)を紹介しました。本書は、日本語の方言がどれくらいの速さで他地域に伝わっていくのかという問いに答える本です。その一例として「ウザッタイ」が上げられます。「ウザッタイ」は元々多摩地域で話されていましたが、1980年代に東京山の手に進出し、全国へと広がりました。本書からは、私達が普段使っている言葉の中には、地方の方言由来の言葉が多い事に気づかされました。

 Rさんは、浜田寿美男『虚偽自白を読み解く』(岩波書店、2018)を紹介しました。本書は、虚偽自白はどのようにして生まれ、虚偽を暴く為にどのようにすれば良いのかを論じる本です。著者がこれまで関与してきた事件を中心に虚偽自白を読み解いています。日本の取調べでは、自白調書の形で記録され、被疑者自身の手で署名・押印します。無実の人が厳しい取調べを繰り返されると、署名・押印を拒否する余力は残っていません。この様な方法から、無実の人が真実を語っても、信じてもらえないという無力感が虚偽自白に大きく影響しているとのことでした。虚偽自白による司法の問題点を考えさせられます。

 Nさんは、千住淳『自閉症スペクトラムとは何か』(ちくま新書、2014)を紹介しました。本書で言う自閉症スペクトラムとは、他者との関わりやコミュニケーションに困難さを抱える事を言います。社会における障がい者への理解が難しい理由として、自分と似たグループを作り、他者を排除したり、多数派が正当だと考えてしまうという人間の心理が挙げられます。Nさんの報告を聞いて、障がい者への差別をなくすには、私達が障がいを持っている人の「考え」を理解する必要があると感じました。

 Kさんは、坂本真士『ネガティブ・マインド なぜ「うつ」になる、どう予防する』(中公新書、2009)を紹介しました。本書は、鬱という感情を発生させる心の動きを「ネガティブ・マインド」と名付け、その仕組みを認知心理学や社会心理学の知見を元に明らかにしています。鬱になりやすい人と状況とは関連があります。例えば、人から色々言われて、ダメな自分にばかり目が行ってしまうような事態です。そのため、鬱にならない為には、気晴らしや人とのつながりで思考パターンを変える事が重要とのことでした。

 葵祭休みで2週間ぶりのゼミでしたが、各自興味深い新書を紹介してくれました。今後ゼミ生がどんな新書を紹介してくるのか楽しみです。