2018年11月18日日曜日

2018年度 2期第7回ゼミ

   ゼミ生のKです。2期第7回ゼミを行いました。今回はまず相澤先生とOさんから点字についてのワークショップに参加しての感想を聞きました。点字を読めるようになるには、相当な努力が必要だと分かりました。実際に体験してみることが重要だと感じました。
その後、新書紹介へ移りました。今回はレジュメを作らず、口頭での発表でした。

 最初にSさんが、石川理夫『温泉の日本史』(中公新書、2018)を紹介しました。本書は温泉の専門家が、温泉の起源や歴史についてマニアックに論じています。そこから筆者が思う理想の温泉の在り方が伝わります。私は発表を聞いて、温泉の歴史が飛鳥時代から始まったということに驚きました。
 
 続いてNさんが、澁谷智子『ヤングケアラー』(中公新書、2018)を紹介しました。本書の内容は、高齢化社会の現在取り上げるべき課題を論じていました。「ヤングケアラー」とは、病気や障害あるいは精神的な問題を抱える親や兄弟、祖父母をケアする18歳未満の子供のことです。10代から介護をしていると成長する時期にも拘らず、自分のために時間を使えないのでうつ状態になってしまうこともあると知ることができました。

 次は相澤先生が、松沢裕作『生きづらい明治社会』(岩波ジュニア新書、2018)を紹介しました。明治時代はいつクーデターが起きるかわからない世の中でした。その中で生きる人々は国家を信用することができず、不安を感じていました。そのため人々は国家を頼りにできないので自分自身をあてにして生きていくしかありませんでした。この時代背景から「頑張れば成功できる」という道徳が国民の中に生まれました。しかし、この道徳は「成功できないのは頑張っていないからだ」という考えにもつながり、社会的や経済的な弱者にとって生きづらい世の中であったのだと分かりました。

 次にOさんが、宇田賢吉『電車の運転』(中公新書、2008)を紹介しました。本書はタイトルの通り電車の運転についてかなり専門的に説明されています。例えば、電車の車輪はレールとの接地面が狭いので小さな力でも動かせることや、カーブするときにはレールの角度をつけることで車体のバランスをとることなどが説明されていました。深く掘り下げると興味深そうだと感じました。

 最後に私Kが、小谷野敦『もてない男』(ちくま新書、1999)を紹介しました。本書で筆者は「もてないこと」を、好きでもない異性に関係を求められることではなく、自分の好きな人に相手にしてもらえないことだと定義しています。筆者が考える独特な恋愛論が、過去の文学作品や漫画の抜粋を交えて書かれていました。

 新書紹介の後は、J・S・ミル『自由論』(光文社、2012)の読み合わせを行いました。今回もひと段落ごとにJ・S・ミルが何を伝えたいのかをゼミ生同士で意見を出し合いながら読み進めました。すると、一人で読んでいたら深く考えずに流してしまうであろう部分が、意見を出し合うことで、新たに気づくを得られるのです。内容もまだあまり進んではいませんが、J・S・ミルの考える自由が、これから次々に出てくるような気がしてきました。可能であればもっと時間をとって一気に読み進めたいなと感じました。