2022年5月25日水曜日

2022年度ゼミ 前期第6回:新書報告(B班担当)

こんにちは。2年のHです。この頃、寒い日が続いたと思ったら急に暑くなったりと過ごしにくい気候ですね。みなさま体調には気をつけてお過ごしください。さて、今回はB班の新書報告を紹介していきたいと思います。

Tさん:堀田秀悟『なぜ、あの人の頼みは聞いてしまうのか?仕事に使える言語学』(ちくま新書、2014年)

本書は、頼みごとが上手な人が無意識、または意識的に使っている「言葉の力」について解説しています。Tさんが言葉の力を強く感じたとして2つの例を紹介してくださいました。1つは質問する言葉を少し変えるだけで、得られる統計に大きな差がでるというものでした。もう1つは置かれた立場によって攻撃的に、または受動的になってしまうというものです。つまり、使う言葉や置かれる環境によって、人が受けとる印象や自分自身の性格までもが変わってしまうのです。このような言葉の力を上手に使うことで理想の自分になることも可能だそうです。

Zさん:岡西政典『新種の発見 見つけ、名づけ、系統づける動物分類学』(中公新書、2020年)

本書は、生物学者の著者が、新種を定義するとはどういうことかを解き明かします。新種を定義することはとても難しいそうです。昔は標本と見比べて新種かどうか判断していたようです。標本は世界各国に散らばっており、その標本を見に各地へ訪れる必要があったため時間と手間がかかっていたそうです。しかし、現在はインターネットの発達によって全てデータベースで整理され、どこからでも閲覧することができるようになりました。それに伴って、年々発表される新種が増加傾向にあります。また、技術の進歩によって昔は同種とされていた生物が実は違ったという事態やその逆も起きているそうです。ちなみに新種を発見した際、種や科は決まっているものの学名は発見者が自由に決めていいようです。

Nさん:林巳奈夫『龍の話』(中公新書、1993年)

本書はゲームなどでお馴染みの龍について、中国古代の青銅器や文献から読み解いています。古代中国や日本において、龍という存在は雨乞いの対象でありました。というのも龍は、中国古代の五行思想のなかで水と火を司るとされていたからです。龍は神として崇められていましたが、その龍の上には帝という存在があるとされていたようです。そして、人々の雨乞いは龍を通して帝に伝えられ、聞き届けられたら雨がもたされると考えられていたそうです。ちなみに龍には巻き型のツノを持つものときのこ型のツノを持つものがいて、きのこ型のツノの龍は帝の直属の龍だそうです。

Sさん:旦部幸博『珈琲の世界史』(講談社現代新書、2017年)

本書は、コーヒーが広まっていった経緯についていくつかの国を取り上げて説明しています。ここではイギリスの事例を紹介したいと思います。紅茶のイメージが強いイギリスですが、じつは紅茶よりも先にコーヒーが広まっていたそうです。コーヒーの味を楽しむというよりも、コーヒーを提供するコーヒーハウスが市民の交流の場になっており、コーヒーハウスが広まっていくにつれてコーヒーを飲む習慣も広まっていったそうです。その後、さまざまな要因が重なり、イギリスではコーヒーよりも紅茶が親しまれていきました。このようにどの国で、どういった経緯をもってコーヒーが広まっていったのかについて書かれている一冊です。

Rさん:稲田豊史『映画を早送りで観る人たち(ファスト映画・ネタバレーコンテンツ消費の現在形)』(光文社新書、2022年)

近年、映画を早送りで観る人が増え始めました。特に若年層に顕著なようです。本書は、なぜ早送りで観る人が増えたのかについて3つの要因を説明しています。一つ目の要因は、映像作品の供給が多すぎるからです。そのため、視聴者は、良いと評価されている作品を効率よく観たいという感情から早送りで観るのだそうです。また、サブスクリプションの普及によって、たくさん観た方がお得感を得られるようです。二つ目の要因は、失敗を恐れるという点にあります。現代を生きる多くの人々には時間的にも精神的にも余裕がありません。そのなかで時間を使って映画を観た時に、好みでない作品だった場合にひどく時間を無駄にしたと思うそうです。また、人との会話の話題として映画を観る人も増えており、映画の情報を短時間で得ようとする傾向があります。三つ目の要因は、セリフで全ての情報を説明してしまうからです。わかりやすさを追求した結果、セリフで全てを説明するため倍速で観ても話がわかってしまいます。このようになぜ映画を早送りで観るのかについて細かく解説している一冊です。

Yさんがディズニーランドの
お土産を差し入れてくれました。
本ゼミに相応しい(?)
本型パッケージのクッキーです。


以上5冊が新書報告で紹介されました。興味深い内容が多く、どれも読んでみたいなと思いました。次回はC班の新書報告になります。どのような新書が報告されるのか楽しみですね。みなさん、おつかれさまでした。



2022年5月18日水曜日

2022年度ゼミ 前期第5回:特別企画講義「女性運動の思想史」

 こんにちは。3年生のDです。梅雨の走りともいわれ、雨がよく降る今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。5月と言えど、晴れると少し汗ばむほどの陽気。気温差が激しく体調を崩しやすい季節ですので、どうぞ皆様、お体に気をつけて、健やかな毎日をお過ごしください。

さて、今回のゼミは「SDGsとダイバーシティ」という特別講義に参加しました。相澤先生がゲスト講師として担当された「女性運動の思想史」という講義を受講しました。

SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」との関連で、日本の妊娠中絶に関する様々な課題とそれらにまつわる女性運動を、フランスと比較しながら、わかりやすく解説してくださいました。今回のブログでは、講義内で解説されていた「フランスと日本の中絶の違い」についてご紹介します。

フランスと日本の中絶における違いは、大きく分けて四点あげられます。すなわち、「中絶の可否の判断」「中絶にかかる費用」「中絶可能な時期」「中絶方法」です。

「中絶の可否の判断」について、日本では、女性と配偶者の求めに応じた医師の判断がひつようなのに対し、フランスでは中絶を行う女性の判断のみで中絶することができるそうです。

「中絶にかかる費用」について、日本では、自由診療であり、数十万円かかる費用はすべて自己負担だそうです。それに対し、フランスでは保険払い戻しの対象で社会が費用を負担しています。女性の自己負担はないそうです。

「中絶可能な時期」について、妊娠22週未満です。一方フランスは妊娠15週未満と定められています。

「中絶方法」について、日本では、掻爬法と呼ばれる安全面で劣るとされる手法が主流となっています。それに対し、フランスでは薬剤や真空吸引法といった女性の身体的・精神的負担が少ないとされるより安全な手法が採用されています。

こうしてみると、日本よりフランスのほうが、より女性に寄り添った環境が整えられているように感じます。日本では中絶に関する話題はセンシティブな話題として避けられがちです。その結果、このような環境の違いが生まれてしまっているのではないかと思います。

講義の内容を踏まえて、授業の後半では、講義を企画した中川先生及び学生との質疑応答がなされました。中川先生から「出産に関する経済的な困窮」という問題提起がされた際、相澤先生がおっしゃった「フランスで出産した友人は健診の時に一度も財布を出さなかった」という話に驚かされました。フランスの経済的なケアはそこまで進んでいるのかと、とても印象に残っています。

また、ある学生からの「現在の日本の中絶、避妊など性に関する教育は変えるべきなのでしょうか」という質問に対して、正しい知識は自己防衛につながると述べたうえで、「フランスはしっかりと性教育が実施され、避妊へのアクセスが良いにもかかわらず、中絶の割合が日本よりも高いという現実があるため、この事実をどう考察するべきかまだ結論が出せていません」と回答していました。このフランスの現実を聞いて、性教育を充実させるだけで解決に至るほど問題は単純ではないと、改めて中絶に関する問題の複雑さを実感させられました。

中絶という行為には、倫理的問題や技術的・経済的課題など解決すべき障害が山積しています。これらを乗り越えるためにも、私たち一人一人が当事者意識をもって中絶に向き合わなければなりません。デリケートな問題として話題にすることを避けるのではなく、もっと活発に議論を交わしていくことが今の私たちに必要な姿勢ではないでしょうか。

今回の講義は、ジェンダー平等に関する問題を深く考察するとても良いきっかけになりました。SDGsでは今回紹介した目標5の他に16個の目標が策定されています。それぞれの目標に付随する社会問題にも目を向け、自分の視野をもっと広げていきたいです。

2022年5月11日水曜日

2022年度ゼミ 前期第4回:新書報告第1回(A班担当)

こんにちは。2年のTです。今回は今学期初めての新書報告となります。顔合わせて間もないため緊張したと思いますが、皆さん素晴らしい報告でした。では、A班の新書報告を紹介していきます。

Kさん:西林克彦『わかったつもり』(光文社新書、2005年)

本のタイトルにもある通り、わかったつもりからの脱却について書かれた本です。本書では、わかったつもりとは読み込みが浅いことと定義されています。この本の特徴として、例文があることが挙げられます。例文があることによって、より理解しやすいように工夫されているそうです。本書によると、どのように文章を理解しているかを知ることが大事だそうです。文を理解するためには、単語と単語の関係性について理解することが重要です。この本を読むと1つ国語の授業受けたようになるそうです。

Hさん:阿満利麿『日本人はなぜ無宗教なのか』(ちくま新書、1996年)

本書は日本人はなぜ無宗教なのかという問いに答えています。まず、宗教は創唱宗教と自然宗教という2つに区別できるそうです。そして本書には、日本人は無宗教ではないと述べられています。なぜかというと、日本人は初詣やお墓前り、お葬式など宗教的な儀式をしていて、長い期間でみると、多様な宗教にすがっているといいます。また、神頼みしている時点で無宗教とはいえないと聞いて私自身納得しました。

Uさん:平野啓一郎『私とはなにか』(講談社現代新書、2012年)

本書は私とはなにかと、私について述べられている本で、明治時代に入るまでは私とは存在しなかったそうです。それは武士などの役職があったからだといいます。人は話し方を切り分けているといい、その相手ごとに自然な一面が引き出されていると述べていました。たしかに、先輩や後輩、先生や親などそれぞれ別の話し方だと私自身実感しました。私について悩みを持っている人はこの人の本を読んで気持ちを楽にしてみてはとおっしゃっておりました。

Kさん:池上彰『わかりやすく伝える技術』(講談社現代新書、2009年)

本書では相手にわかりやすく伝えるためのポイントとして3つ挙げられていました。1つ目は、聞き手に地図を渡すということです。地図を渡すとは、話の概要を初めに伝えることをいいます。こうすることによって、聞き手は話の到着点を見据えることができるため、話を聞いてもらいやすくなるといいます。2つ目は、アイスブレイクです。アイスブレイクとは、話し手と聞き手の距離感をほぐすことです。これがうまくいくと一体感のあるプレゼンをすることができるといいます。3つ目は3の魔術で、3という数字を大切にしているそうです。3の魔術とは、わかりやすい説明をするには3つのポイントが大事であるとことをいいます。記憶をメモを取らないで記憶する限界が4プラマイ1というのがあるそうです。これは人間は前提知識がないと4つや5つ説明されても理解できないことをいいます。

Yさん:友原章典『実践 幸福学 科学はいかに「幸せ」を証明するか』(NHK出版新書、2020年)

本書は幸せについて考察している本です。Yさんは、本書から印象に残った内容を二点紹介してくれました。一つ目は、将来幸せになっているかは卒業アルバムで目も口も本物の笑顔をしているかで判断できるそうです。笑顔は大事で、笑うと幸せホルモンがでるため人生が幸福になると述べられています。逆にストレスを感じてしまうとコルチゾールといった悪いホルモンが出てしまうため、ストレスを感じたら原因を客観視することが大事だといいます。作り笑いでも良いと述べられていたので私もよく笑うようにしたいとおもいます。二つ目は、幸福を追求しない方がいいと述べていました。ポジティブやネガティブの感情は良くも悪くもないといいます。ポジティブやネガティブといった感情をコントロールすることは良くないといいます。また、小さな工夫で幸せになれると述べていました。例えば、適度な運動などです。これをきいて、僕も適度な運動を行いたいと思いました。

以上5冊が新書報告で紹介されました。今回の新書報告で僕の知らない新たな知識を報告を通して得ることができました。次回の新書報告も新しい知識を学べるといいなと思います。皆さんお疲れ様でした。