2019年7月27日土曜日

演劇鑑賞:骨と十字架

ゼミ生のNです。金曜日に引き続き、今日は新国立劇場にて演劇を鑑賞してきました。演目は「骨と十字架」です。



この物語は古生物学者であり人間の進化について研究しているテイヤールを主人公に進んでいきます。テイヤールは進化論を主張することにより北京へと左遷されることになります。しかし、このことが北京原人の発見につながり彼にとって大きな出来事となります。信仰と学問、衝突する二つのはざまで人はどのように振舞うのか演じられていました。
特に印象的であったのが、主人公が北京原人の頭蓋骨を発見しそれによって、バチカンの担当者と言い争いをした後に「神の身許に」と言ったシーンです。私にはこの言葉の意味が純粋にこの発見の解釈を神の判断にゆだねるという意味なのか、それとも自ら命を絶つという意味なのかは結論が出ませんでした。皆さんはどう考えますか?ぜひ考えてみてください。

私はこの演劇を見て思ったのは教会と科学の関係についてです。キリスト教においては、一般的に神が人間を作ったことになっています。しかし、科学的には人間は猿から進化し、そこに神が介在しないことはわかっていることです。そして、このことはさらなる科学の発展によってより強固なものになるでしょう。しかし、キリスト教は神が人間を作ったという教えを信じています。この矛盾をキリスト教はどのように説明するのでしょうか。非常に気になります。

2019年7月26日金曜日

国立新美術館で現代アートに触れる。

ゼミ生のTです。今回は、課外活動で国立新美術館に現代アートを見に行ってきました!

夜の国立新美術館。
(撮影:相澤)
国立新美術館では、クリスチャン・ボルタンスキー展が開催されていました。今回は、社会人の方と一緒に展覧会担当のキュレーターさんから説明を受けて、美術鑑賞をしました。

ボルタンスキー展では、ボルタンスキー本人が空間を意識して展示したいということで、それぞれの作品の位置や展示の仕方を考えたそうです。

館内のゼミ生。
(撮影:相澤)




展示場は全体を通して暗い雰囲気でした。はじめ、「咳をする男」と、「舐める男」の映像が流れている部屋を見ました。入ってすぐ、苦しそうに咳をする男の映像がながれ、第一印象は怖い、苦しいというものでした。それから進んでいくと、写真などを使ったいろんな作品が展示されていました。ほかにも多くの顔写真を使った作品が展示されていました。顔写真の多くは、ユダヤ人の顔写真らしく、写真の人の生死はわからないそうです。それもまた不気味さを感じる理由なのかもしれないと思いました。

少し進むと心臓の音が鳴るところにつきました。個人的な印象としては、慣れない大音量の心臓の音は不気味に感じました。

さらに進んでいくと、主に顔写真が多く使われている作品がある部屋に着きました。明るめの部屋だったのですが、ぼやけた顔写真が光で照らされている作品がおおく、遺影にも見えました。そして、心臓の音の部屋のすぐ近くだったので、心臓の音も聴こえてすこし怖い印象も持ちました。

また進むと、東京限定のカーテンの作品がありました。そこからは写真撮影OKだったので、写真をたくさん撮りました。

撮影:ゼミ生T。以下同。


カテーンのところを抜けると目の前におおきな服の山がありました。ほかにも色々な作品がありました。他の作品をすこし写真で共有したいと思います。






全体を通して、作品の説明が書いてある場所がないので、作品を理解しにくいことがたくさんありました。しかし、それも鑑賞者が自由に感じていいというボルタンスキーの意図でもあるそうです。

私は現代アートをみるのは初めてだったので、いろいろと新鮮でした。他の現代アートも見てみたいと思いました。普段の自分なら見なかったであろう現代アートをゼミで見に行くことができて、とても貴重な体験になりました。

2019年7月17日水曜日

2019年度前期 第12回

担当教員の相澤です。今日は前期の最終回ということで、図書館で夏休みの課題図書探しと個人面談を行いました。

本ゼミは、来年2月に海外ゼミ研修でフランスのパリに一週間滞在する予定です。そのパリ研修の事前学習となる本を読むことが夏休みの課題です。今日のゼミでは、夏休みに読むフランス関係の本を探しました。

まず、私がガイドをして図書館内のフランスに関係する本が並ぶ書架を巡りました。その上で、フランスに関連する本を三冊以上探すよう指示しました。最後にみんなで探してきたフランス関連本を眺め合い、その中から夏休みに読む本を数冊選ぶことにしました。

本選びをするセミ生たち。
小説、歴史、哲学と
様々な本が並びました。
本探しと並行して、図書館内の学習室でゼミ生全員と個人面談を行いました。事前に自己評価シートを記入してきてもらい、それを見ながら前期に成長できた部分や後期の課題を確認しました。

ゼミで(ほぼ)毎週、新書発表を継続したことによって、ゼミ生は読解力と発表する能力がぐっと向上しました。一方で、経験を積んだからこそ見えてくる課題もあります。こういったことを言葉にして確認、意識することがさらなる成長につながると考えます。

さて、面談を終えたところで学習室に全員集合し、各自が選んだ本たちを机いっぱいに並べました。各自どんな本を選んだのか簡単に紹介し、机の上のたくさんの本を眺めて、読みたい本を選びました。

時間のある夏休みに様々な本を読んで、興味と知識の幅が広がれば広がるほど、フランス滞在は有意義なものになると思います。Bonnes vacances et bonne lecture !




2019年7月10日水曜日

2019年度前期 第11回

こんにちは、ゼミ生のHです。第11回行いました。今回は新書発表を行いました。

最初にMさんが、手塚治虫『ぼくのマンガ人生』(岩波新書、1997)を紹介しました。漫画の神様と呼ばれる手塚治虫氏の半生を振り返り、彼がマンガに込めたメッセージを読み取っていくという内容になっているそうです。医学生だった頃の経験から書いた『ブラック・ジャック』には「患者の病気だけではなく心を救おう」というメッセージが込められているそうです。私はブラック・ジャックが好きで、その作中に負傷したイリオモテヤマネコと赤ちゃん、裕福な太った男の人が出てくるシーンがありました。ブラック・ジャックは絶滅危惧種であるイリオモテヤマネコから先に治療を始め、その後に赤ちゃんを直し、最後に裕福な太った男を手術をしていきました。そこには戦争体験から得た人と動物の命も平等であるというメッセージが込められていると感じました。

 次にAさんが上杉忍『アメリカ黒人の歴史 奴隷貿易からオバマ大統領まで』(中公新書、2013)を取り上げました。黒人たちがアメリカ社会の底辺から社会的上昇をとげた公民権運動を経て現代まで、差別にさらされながらも、境遇改善への努力を重ねてきた黒人たちの歩みを辿った本だそうです。人種エチケットや人種ラインなど人種を分けるルールが存在していて、白人領域に入ってしまった黒人が暴行を受けていたり、他にも色々と公私問わずに差別がありました。そうであったにもかかわらずに自分達の公民権の獲得のために運動を起こした事は、今の世界を形作った大きな出来事だと私は思いました。

 次はKさんが高良倉吉『沖縄問題 リアリズムの観点から』(中公新書、2017)を紹介してくれました。琉球という国は中国にも日本にも属さない独立な王国であったそうですが、日本が現代国家として領土を明確にするために消滅してしまったそうです。琉球語は日本語がルーツになってることから文化的な親和性や一体性があり、領土の侵略よりは奴隷解放に近い形で日本になったとのことです。発表を聞いて、確かに琉球語が日本語がルーツになってるという事には納得出来ました。他にも日本と沖縄の時代区分や米軍基地があっても優遇されているわけではないという知らなかった事も知れたいい機会になりました。

 次にOさんが宮田律『物語イランの歴史』(中公新書、2002)を取り上げてくれました。古代には、広大な帝国を築いたイラン(ペルシャ)が、優れた技術を持ち独自の文化を守り続け、今後どのような方向へと向かっていくのかをイランの歴史を辿りながらイランの真実の姿を伝える一冊になっているそうです。イラン人には大帝国を築いたプライドがあり、周辺の「アラブ」や「トルコ」と言った民族に対する優越感をもっているそうです。元はイスラエルと良好な関係であったそうですが、イラン革命後は他のイスラーム国家と同様に敵として対立関係になってしまったという。私はイランという国を良く知らず、石油が取れるくらいの知識しかありませんでした。今回の発表を聞き、日本とは良好な関係ということを知り良い印象を持ちましたが、今後ニュースなどでイランが取り上げられた時は注意して見てみようとおもいました。

 最後は私が、池上俊一『お菓子でたどるフランス史』(岩波ジュニア新書、2013)を紹介しました。この本は文化立国フランスを彩るものの中で、世界中の人たちを魅了してきた「お菓子」を辿りフランスを精髄に迫っていこうという本になっています。17世紀、砂糖は贅沢品でありました。その砂糖をふんだんに使って作られるお菓子は自分の地位を示すのに使われてきました。イギリスがヨーロッパ大陸の国から経済制裁として輸入を制限されている時、砂糖を巡って戦争が起こるほど喉から手が出るくらいに貴重な食べ物でした。時代が進み、食卓上では視覚を重視しされ始め、お菓子の美しさが食事に花を添えるようになりました。街のお菓子屋さんにはブルジョワたちが甘い宝石のようなお菓子を求め列を作ったそうです。ゼミ研修でフランスに行った時にはお菓子屋さんを気にして街を見てみたいと思います。

 今回は「歴史」という共通項を持った話が多く、様々な視点から歴史を紐解き、作者や発表者の意見を聞けた良い新書発表になったと思います。歴史に関わる知らない知識が多くあったので、これからは歴史というものにアンテナを張りながら現在との比較なども行なっていきたいと感じました。