2018年3月20日火曜日

舞台観劇 『赤道の下のマクベス』

 ゼミ生のYです。

 今年度ゼミでは最後の課外活動になります。今回は新国立劇場の小劇場にて『赤道の下のマクベス』を観劇してきました。

 舞台は1947年夏。第二次世界大戦は終わり、BC級戦犯である日本人3人と韓国人3人は死刑囚として、シンガポールのチャンギ刑務所で刑が執行される時を待つばかりでした。そんな中で過酷な刑務所生活を少しでも明るく過ごそうとする者、一度は無罪放免されたが再び死刑囚として送り込まれてしまった者、現実に絶望し泣き続ける者……彼らはなぜ戦犯にならねばならなかったのか、また他の道を選ぶことはできなかったのか悩み続けます。とても胸が重くなる話でした。

 「殺さない道を選べたはずだ」「それ以外道はなかった、仕方なかった」どちらが真理なのでしょう。徴兵令が敷かれていた以上、生きるためには戦いから逃れられなかったのではないでしょうか。国のために、家族のために、未来を信じて戦ってきたのです。しかし、終わってみれば残るのは後悔ばかり。罪なき人々を無惨にも殺した記憶は消えません。中間管理職的立場にいた彼らもまた被害者なのだと思います。偉い人たちのエゴによって大勢の人々の人生が狂わされる結果になった、戦争がどれだけ無意味であるか改めて考えさせられました。

 学校行事か中学生が多数観にきていましたが、学生などの若者こそ知るべき過去であり、メッセージ性の強い作品でした。役者さんの演技も、やりきれない思いが詰まっていて思わず涙するほどとても良かったです。年度の締めくくりにふさわしい観劇になりました。

2018年3月12日月曜日

海外ゼミ合宿inパリ

 ゼミ生のYです。

 先日、Rさんがパリでの一週間のゼミ合宿の記録をアップしてくれましたが、今回は私が感想をあげたいと思います。


吸い込まれそうなほど青い空

 数日前までセーヌ川が氾濫する勢いで雨続きだったらしいパリ市内は文句なしの快晴で、凱旋門が背景の青にそびえ立っていました。エッフェル塔を横目に歩いているとなんだか『ペリーヌ物語』を思い出して、自分が物語の舞台にいることに感慨深さを覚えました。その後リュクサンブール公園、ノートルダム大聖堂などを見て回ったのですが、なんといっても鳩が多い。奈良公園の鹿とは比べ物にならないくらいどこを歩いても鳩がたくさんいました。
おびただしい数の平和の象徴












あの話題作が・・・!


 2日目はサクレクール寺院、国際大学都市の学食でランチ、大モスク、そして夜にはオペラ座でバレエ観劇とイベントが目白押しでした。モスクのサロン・ド・テで甘いミントティーを飲んだ後、バレエの時間まで自由行動だったのですが、私はポン・マレ駅で降りて散歩することにしました。しかし途中で雪が降ってきてあまりの寒さに降参。どこかメトロの駅を探して川沿いを歩いたのですがなかなか見つからず、時間も迫ってきてめちゃくちゃ焦りました。とりあえずバスに乗り路線図と格闘し、なんとか駅付近で降りてメトロを乗り継ぐことができ時間にも間に合いましたが、外国の知らない土地で迷って本当に寿命が縮むかと思いました。これ以降、パリでの乗り物には大分免疫がついた気がします。バレエは言うまでもなくとても素晴らしかったです。


ルーヴルの大人気アイドル

 3日目には相澤先生のご友人の案内でロシア正教会とルーヴル美術館を見学しました。ロシア正教会は中の壁が真っ白でしたが、これから全てに絵がつけられると聞いて、都会の真ん中に一つのアイデンティティが確立されていくような感覚になりました。ルーヴル美術館はヨーロッパ美術のイメージが強かったのですが、古代エジプトの展示が意外と沢山あり、個人的にちょっと嬉しかったです。また本物のモナ・リザを初めて見ることが出来て感動しました。ただ思っていたより遠くて客は皆ロープの前から頑張って撮影しており、常に混み合っていました。手の届かない存在は、いつだって憧れの的です。




前日の雨が嘘のよう、眩しいぃぃぃっ!!

 丸2日の自由行動は、体力回復に1日を費やした後、ずっと行きたかったヴェルサイユ宮殿へ早朝から1人で赴きました。メトロ9号線終点のポン・ド・セーヴル駅から宮殿行きのバスに乗るのですが、降り場と乗り場を間違えてウロウロしていたら停まっていたバスの運転手さんが乗り場を教えてくれました。初っ端から人の優しさに触れながらバスに揺られておよそ30分、宮殿入り口に到着。金ピカの門が朝日に照らされて反射してとても眩しかったです。豪華絢爛な宮殿内部に広大な庭園は歩いているだけで楽しく、本当に来れてよかったと思いました。
広大な庭園はどこを撮っても絵になります
ロマンチックな愛の神殿

















 6日目は午後から新宿日本語学校の学生さんと少し交流をしました。今回話した方は皆二十歳以下だというのに将来をきちんと見据えていて、私なんかよりも断然しっかりしているなと感心しました。

日曜だったので子どももいました

 そして最終日は移民博物館を見学しました。初日から街ではたくさんの黒人を見かけ、電車では母親がフランス語でも英語でもない言語の絵本を子どもに見せていたり、スーパーには移民向けの食材コーナーがあったりと沢山の多民族的な光景を目にしました。現在の姿に至るまでにこの街は、様々な壁にぶつかって未だ多くの問題を抱えています。華やかな景観の裏にデリケートな部分も持っているということを外国人はもっと知っていた方が良いのではないかと思いました。


 私は人生で初めての海外でずっと不安と緊張でいっぱいでしたが、幸いなことに人に恵まれて楽しい一週間を過ごすことが出来ました。1人で行動することも多かったのですが、意外と動けるもので少し感動しました。特にヴェルサイユへ行った日の夜は充実感でいっぱいでした。海外ゼミ合宿をパリで過ごせて本当に良かったです。いい経験になりました。

2018年3月4日日曜日

ダンス観劇 『ST/LL』

 ゼミ生のRです。224日にゼミ課外活動として新国立劇場にて『ST/LL』を観劇しました。本公演は高谷史郎さんによる最新のパフォーマンス作品です。現代技術とダンスが融合した新しい世界を感じさせられる舞台でした。

  照明・映像・舞台に張られた水といったような観客を魅了するような要素が多分に含まれています。その要素らを視界にいれることで、手招きされるように舞台の世界に入っていきます。その非日常的な光景から、だんだんと現実と舞台の境界が曖昧になっていくような感覚に陥りました。それは舞台という一つの世界に凝縮されているけれど、いくつもの時間軸が存在しているような。何処かに惹き込まれているけれど、その何処かは分からないような不思議な感覚です。
 普段であればそういった「どういうことだろう」「分からない」ということはもどかしく、あまり安心出来るような感情は生みません。しかし本舞台ではそれが心地よく感じ取れるような、奇妙な安心感がありました。

  ダンスの面では、四人という少人数だからこそ坂本龍一さん達の音楽と共に舞台にとけこむことが出来ていたのだろうと感じます。水・ダンス・スクリーンの掛け合いも、不思議な世界感を形成する重要な要素となっていました。しかしこの素晴らしいダンス、演出上少なかった印象を受けます。神秘的で世界観にマッチしていたからこそ、個人的にはもう少し堪能したかったです。

  単純に綺麗と評するにはどこか歪んでいるような。しかしその歪みさえも舞台の要素として観客を惹き込んでいる。本当に新しい世界と感覚を味わえる舞台でした!

2018年3月1日木曜日

フランス合宿

 ゼミ生のRです。今回はフランスに滞在したゼミ合宿について記事を書きます。期間は211日~220日の10日間、参加者はゼミ生二人と相澤先生、そしてフランス語履修者の先輩二名の計五人でした。


エッフェル塔、晴天でした!
  212700パリ到着。この日はホテルのチェックイン時間まで主要な観光名所を巡りました。空港から鉄道に乗って街へ繰り出すと、待っていたのは魅力的な多くの建築物でした。パリのシンボルであるエッフェル塔をはじめ凱旋門やノートルダム大聖堂と、芸術性、技術性の優れた建物を目にしました。また移動の最中、多様な民族の人々とすれ違いパリの多国籍な様子を初日からありありと感じました。


オペラ座内装
  132日目は国際大学都市、パリ大モスクを見学し、夜はオペラ座でバレエを観劇しました。夜のオペラ座、まず豪華絢爛な外観と内装に目を奪われます。思わず写真を何枚も撮ってしまいました() そしてバレエ観劇!作品はジョン・クランコの『オネーギン』。まるでドラマを見ているような心地であっという間に時間が過ぎていきました。1幕終了ごとに続きが気になり、全て見終わった後は本作品に出会えた幸福感に包まれました。衣装、舞台装置、役者と何もかもが素晴らしく、本当に貴重な時間でした。

 143日目、この日のメインはロシア正教会、ルーブル美術館でした。ゲストとしてフランス在住の、相澤先生の友人の方が来て下さいました。ロシア正教会では、懇切丁寧にその特徴から魅力、歴史と様々なお話を伺い、学びました。私はルーブル美術館の売店で一対一でお話しをする機会があったのですが、その時、自分の英語力の不足さを痛いほど実感しました。話したいことが言葉に出来ない、相手の内容を正確に聞き取れない、コミュニケーションにおいて致命的です。これまでも英語を習得したい気持ちというのは、なんとなく形としてはありましたが、この日ほど「英語を話せるようになりたい!」と思ったのは初めてのことでした。

  そして15日、16日と4日目、5日目は自由行動でした。4日目の自由行動の日、私は昨日訪れたルーブル美術館の魅力にとらわれ、2度目の訪問をしました。五時間程作品を見て回りました。ですがその広さや多くの価値ある作品で時間が全く足りなかったので、またリベンジしたいと思います!


新宿日本語学校
 176日目は東京経済大学と関わりのある新宿日本語学校を訪問しました。現地の人と対話をし、日本人とフランス人での考え方や価値観の違いに気づきました。フランス人は自分自身の考えや将来の展望がはっきりとしていて、それを他者の前で述べる力がよりある印象を受けました。彼らが日本に来たら行きたい場所など様々な話題が挙がり、楽しい時間を過ごしました。

 187日目は移民博物館に行きました。移民がもたらす異国の文化がフランスの多様な文化形成に繋がっている。移民の歴史を知ることは、フランスの歴史を知る上で避けては通れない道であることを感じた学習でした。

  そして19日、早朝に空港へ移動。1015にパリを発ちました!疲労感はもちろんありましたが、それ以上に達成感、来られて良かったという思いがいっぱいでした。海外に滞在するのは初めてだったこともあり、学びや気づきに溢れた楽しく、貴重な経験でした。この経験を糧にして、これからの学習に役立てていきます。

  最後に家族や親戚、そして相澤先生、ゼミ生、先輩方。滞在を無事に終えられたことに感謝の言葉を。本当にありがとうございました、楽しかったです!