2018年3月20日火曜日

舞台観劇 『赤道の下のマクベス』

 ゼミ生のYです。

 今年度ゼミでは最後の課外活動になります。今回は新国立劇場の小劇場にて『赤道の下のマクベス』を観劇してきました。

 舞台は1947年夏。第二次世界大戦は終わり、BC級戦犯である日本人3人と韓国人3人は死刑囚として、シンガポールのチャンギ刑務所で刑が執行される時を待つばかりでした。そんな中で過酷な刑務所生活を少しでも明るく過ごそうとする者、一度は無罪放免されたが再び死刑囚として送り込まれてしまった者、現実に絶望し泣き続ける者……彼らはなぜ戦犯にならねばならなかったのか、また他の道を選ぶことはできなかったのか悩み続けます。とても胸が重くなる話でした。

 「殺さない道を選べたはずだ」「それ以外道はなかった、仕方なかった」どちらが真理なのでしょう。徴兵令が敷かれていた以上、生きるためには戦いから逃れられなかったのではないでしょうか。国のために、家族のために、未来を信じて戦ってきたのです。しかし、終わってみれば残るのは後悔ばかり。罪なき人々を無惨にも殺した記憶は消えません。中間管理職的立場にいた彼らもまた被害者なのだと思います。偉い人たちのエゴによって大勢の人々の人生が狂わされる結果になった、戦争がどれだけ無意味であるか改めて考えさせられました。

 学校行事か中学生が多数観にきていましたが、学生などの若者こそ知るべき過去であり、メッセージ性の強い作品でした。役者さんの演技も、やりきれない思いが詰まっていて思わず涙するほどとても良かったです。年度の締めくくりにふさわしい観劇になりました。