2019年6月18日火曜日

2019年度前期 第9回


 ゼミ生のOです。第9回ゼミを行いました。今回は、前回鑑賞した映画『ズートピア』から各自が感じた事や考えたとについてディスカッションしました。

最初にそれぞれが感じた事を一つずつ言っていきました。そのなかでもゼミ生が一番感じ取った事は「肉食動物と草食動物との偏見」でした。大都会ズートピアでは、多種多様な動物が共存している街です。しかしその実態は、肉食動物と草食動物がお互いにレッテルを貼り、できる事や役割を決めつけています。そうしたお互いのステレオタイプがやがて深刻な対立を生む過程へと繋がる恐ろしさを共有しました。また、ディスカッションをしていく中で重要なメッセージとして、映画で描いている対立関係は人間社会にも当てはまる事が読み取れます。肉食動物と草食動物、大型動物と小型動物の異なる他者の違いは、人間社会で言う人種、性別、健常者と障がい者の違いによる差別や偏見にも当てはまります。動物(人)を見た目だけで判断することが危険であり、見た目ではなく内面を見ていくことがとても重要である事が伝わりました。

 他にディスカッションをする中で見えてきたメッセージとして「幸せ」とは何かという問い(メッセージ)について考えさせられました。主人公のジュディーは、両親の心配をよそに自分の夢である警察官になる道を選びました。警察官になると危険や困難な事が数多くありますが、自分自身の夢や好きなことを実現する事も幸せであると考えられます。一方で、ジュディーの両親が言うような伝統的なウサギ(農家)の暮らしも幸せな生活でしょう。しかし、ジュディーの両親は、そのような生活をしてたまたま幸せと感じただけかもしれないと言う捉え方もできます。「幸せ」の捉え方は、必ずしも自分と他者が同じと感じる事は無く、客観的に捉えることは難しいのだと考えさせられました。

 『ズートピア』はディズニー映画であり、ディズニー映画と聞くと子供から大人まで楽しめる映画というイメージがあります。しかし、その内容には人間社会の様々な問題を数多く反映しており、制作者のメッセージが読み取れます。現実世界で考えても、この映画の制作国であるアメリカ合衆国が今現在抱えている社会問題を再現しているようにも感じられます。映画と現実世界を対比する事で私達の世界が『ズートピア』から見えてくるでしょう。