2022年6月15日水曜日

2022年度ゼミ 前期第9回:新書報告(B班担当)

こんにちは、3年のIです。雨が多く、憂鬱な気分になりがちな時期ですが、1ヶ月後には楽しい夏休みです。頑張っていきましょう。今回はB班の新書報告をご紹介します。

  Rさん:千々和秦明『戦争はいかに終結したか (二度の大戦からベトナム、イラクまで)』(中公新書、2021年) 本書は、過去の戦争がどのように終結したかを解説しています。著者は、戦争の終結には「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」の2つの方向性があるとしています。前者を重視すると現在の犠牲が増え、後者を重視すると将来の危険が高まってしまうので、この2つのバランスをとることが重要であると言えます。また、戦況が不利な側は有利な側の政権崩壊による戦争終結を期待することがありますが、実際に起こることはほぼありません。そのため、戦争終結のために、時には損切をする必要もあると著者は述べています。

  Zさん:小川さやか『「その日暮し」の人類学 もう一つの資本主義経済』(光文社新書、2016年) 本書では、文化人類学を研究している著者が日本とタンザニアの考え方の違いについて解説しています。日本の人々は「将来」を、タンザニアの人々は「今」をそれぞれ重視しているといいます。この考え方の違いの背景には、両国民の経済状況があります。比較的経済が安定している日本の人々は、「今」のことだけでなく、「将来」を考えた生活をする余裕があります。一方、貧困率の高いタンザニアでは、主に日雇いや自営業といった不安定な働き方をしている人が多く、賃金水準も低いです。このような、厳しい経済状況も、タンザニアの人々が「将来」よりも「今」を重要するようになった要因の一つにあるそうです。 
 
  Tさん:畑村洋太郎『やらかした時にどうするか』(ちくまプリマー新書、2022年) 本書は、失敗してしまったときのメンタルの保ち方について解説しています。今回は、「逃げる」、「人のせいにする」、「愚痴を言う」という3つの方法が取り上げられました。一見、現実逃避をしているようにも思えますが、自分の心を守るために必要なことなのです。そうして、心が落ち着いてきたら、失敗と向き合い、繰り返さないようにするにはどうすればよいか考えることが大切だと著者は付け加えています。

  Sさん:矢野勲『エビはすごいカニもすごい-体のしくみ、行動から食文化まで』(中公新書、2021年)  本書は、タイトルの通り、エビとカニの体のしくみについて説明しています。今回はテッポウエビとイソギンチャクガニの生態が紹介されました。テッポウエビは大きな腕から発射されるプラズマ波のビームで敵を撃退します。イソギンチャクガニは両手に毒のあるイソギンチャクを身につけることで天敵から狙われにくくしています。両者とも体は小さいですが、武器を身につけることで厳しい自然界で生き抜いています。  

以上4冊が紹介されました。今回もためになる知識をたくさん得ることができました。来週はC班の報告です。どんな本が紹介されるか楽しみです。みなさん、お疲れ様でした。