2022年6月1日水曜日

2022年度ゼミ 前期第7回:新書報告(C班担当)

 こんにちは!3年のSです。今回で全班が新書報告を行いました。緊張したゼミ生もいると思いますが、どの報告も楽しく聞くことができました。欠席者が1名出たため、全部で4冊の紹介になります。それではC班の新書報告を紹介します。

Tさん:齋藤孝『からだ上手 こころ上手』(ちくまプリマ―新書、2011年)

本書は、身体と心を整える技術を解説しています。心は身体から、身体は心から整えることができると言います。そのためにはイメージを上手に使うことが大切だそうです。本書ではイメージが体に与える影響を検証した実験が紹介されていました。一人を二人で持ち上げる際、持ち上げる人を岩・水・煙だとイメージしながら持ち上げる実験です。最も重く感じたイメージは岩、次に水が重いと感じたそうです。水は掴み辛く、持ち上げにくいと思ったため煙よりも重い結果になったと思われます。同じ人を持ち上げているにもかかわらず重さの感じ方に違いが出ることから、イメージの重要性がよくわかりました。

背伸び体操風景
また、体を整える技術として紹介されていた背伸び体操を行いました。この体操を食事前に1分間行うことで、ダイエットを助ける効果が期待できるそうです。

私は落ち込みやすい時期があり、どうしても物事を前向きに捉えられないことがあります。そんな時は無理せず軽いストレッチや体操を行い、身体から健康になっていくことも大切だと思いました。他にも簡単に取り組める体操がいくつか書かれているので、気になる方は本書を読んでぜひ実践してみてください。

Oさん:芹沢俊介『家族という意志―よるべなき時代を生きる』(岩波新書、2012年)

「よるべなき」とは、頼るところがない、身を寄せる人がいないという意味です。本書は、現在の家族の居場所を1. 生後まもない子供の受け止められ体験、2. 自殺と中絶、3. 老後の三点に分け、著者の体験をもとに考察しています。

1では、震災で親を失い乳児院に預けられた子供が例に挙げられていました。乳児院では効率よく面倒を見るために、両親がいる子どもと比べて自分の主張を無視される機会もあります。よって、本当にやりやいことがかなえられないため、本来赤ちゃんが必要としている受け止められ体験ができない状況も起こり得ます。

2に関しては、避妊技術の発達により家族計画が立てやすくなったことで、女性の一生が母親の役割にとらわれにくくなっていると指摘されていました。

3では、親の老後の見届け方について述べられていました。子どもは親を老人ホームに預けると世話から解放され楽になるが、親本人は家族とのつながりを絶たれ、一人になってしまう問題があります。ゼミ生の中にはこの問題について兄弟で話し合った学生もいました。

前々回受けたSDGsの授業に関連した点もあり、興味深い内容でした。3の老後の見届け方は将来必ずやってくる問題です。家族で老後の方針を相談するべきだと思いました。 

Mさん:将基面貴巳『従順さのどこがいけないのか』(ちくまプリマー新書、2021年)

本書は、人々が従順である理由やその危険性、そして究極的に何に従うべきか論じています。

なぜ人は従順になってしまうのか、三つ理由があげられていました。一つ目は習慣になっているから、二つ目は安心感を得るため、三つ目は責任を回避するためだそうです。

ではなぜ従順してはいけないのでしょうか。それは気づかないうちに不正に加担する可能性があるからです。例えば、秩序のなかに女性差別が組み込まれていた時、この秩序を維持しようと従順でいると差別に加担してしまいます。

しかし、生きていく上で何にも従わないわけにはいきません。何に従うべきか。それは共通善と良心です。共通善は、公共の福祉を指します。良心のみに従っていると行動の結果を配慮できない場合が多いため、共通善も含めて判断する必要があるそうです。

紹介を聞いて、従順であることは楽ですが、不正に加担しないためにも自分で考えることも大切だと改めて思いました。本書は最近出たばかりで、聞いたことがある事例も多く挙げられているそうです。読みやすい内容になっているので、社会問題に興味がある方に読んでもらいたい1冊です。

Iさん:福間詳『ストレスの話 メカニズムと対処法』(中公新書、2017)

本書は、タイトルのとおり、ストレスとその解消法を解説しています。

ストレスの一番の解消法は食事と睡眠です。7時間以上寝る、バランスの良い食事をとることがストレス解消に最も効果的です。しかし、必ずしも健康的な生活が送れるとは限りません。 誰でも、必ずストレスをため込んでしまう場合があると思います。その時は、ストレスを避けるのではなく、「薄める」必要があります。

ストレスが溜まっている時には、殻に閉じこもるのではなく、外に出て多くの刺激を受けることが有効です。この刺激はすべてが良い刺激である必要はなく、マイナス面の刺激でも効果があります。一つの出来事に集中するのではなく、様々なことを考えることによってストレスは薄まっていきます。また、考えすぎないためにも運動をして疲れることも大切だそうです。

近年ニュースでも度々ストレスが話題になっています。悲しい出来事に強い印象を持ってしまいがちですが、自分を守るためにもその印象をコントロール必要があると思いました。Tさんが報告した新書と関連している内容なので、2冊合わせて読むとより日々の生活を豊かにできるのではないかと思いました。

以上が今回の新書報告でした。どの本も最近話題になっている内容で興味をひかれました。次週は2回目のA班の報告です。どんな本の紹介があるか楽しみです!皆さんお疲れさまでした。