2020年2月25日火曜日

パリでの研修(Aさん編)

ゼミ生のAです。私たち相澤ゼミは2月9日から17日まで海外ゼミ研修としてフランスに行きました。

9日の1日目、私たちは朝7時に成田空港に集合し、韓国のインチョンを経由してパリへと行く予定でした。しかしインチョンからフランスへの飛行機が天候が悪いことにより遅延し、もしかしたらそのまま欠航になってしまうというスタート直後からハプニングに襲われました。パリ行きの飛行機がとぶかはわからない状態ではありましたが、行けることに賭け、私たちはとりあえず予定通り飛行機でインチョンへと移動しました。その後、遅延する飛行機がとぶことを祈りながら私たちはインチョンの空港でしばらく待機(お土産を買ったり寝たり)し、予定では12時30分ではあったものの25時頃になんとか飛行機がとび、私たちはパリへと向かうことができました。スタートからトラブルに見舞われたものの、無事パリへと行く方ができてよかったです。

セーヌ川とノートルダム大聖堂
2日目、私たちはパリの時間で朝6時に現地に到着しました。経験のない長いフライトにより多少疲れはあったものの、初めてのパリということでみんな興奮し、たくさんの写真を撮っていました。その後スーツケースを回収して、ホテルへと向かいました。空港内では周りに日本人がいないことと聞こえてくる言語が全く聞き取れないこと、そして移動中は日本とは形の違う家などをたくさん通り過ぎ、漠然とパリに来たんだなと感じました。遅延中の待機時間と長いフライトの疲れを考慮してホテルで少し休憩をとると、パリにいる間の移動を楽にするため交通機関のパスを買いに行きました。そのパスは電車だけでなく一部のバス、リフトなどでも使えるものとなっており、とても便利でパリにいる間は毎日利用していました。その後は電車で移動し凱旋門、エッフェル塔、セーヌ川、そして先日火事により現在復興中のノートルダム大聖堂を見て行きました。以前読んだフランスが舞台の小説(たゆたえども沈まず)ではセーヌ川が何度か登場していて、そのため研修でセーヌ川は絶対に見たいと思っていたので、天候のせいか濁ってはいたものの実際に見ることができて嬉しかったです。予想以上に幅が広くて驚きました。

一通り観光地を回った後はスーパーに行き、利用方法を先生から教わり夕飯を買いました。フランスではビニール袋は基本もらえないシステムとなっているので、先生とゼミ生が持ってきたエコバックがさっそく活躍しました。惣菜、ハムなどを買いホテルに戻り、その日の夜は先生とゼミ生全員で夕飯を食べました。パテと呼ばれるフランスでは一般的な惣菜が、私にとっては新鮮でとても美味しかったです。

3日目、ホテルのバイキングで各自朝食をとりました。パンは毎日フランスパン、クロワッサン、チョコデニッシュの3種類が出されていましたがどれも美味しく、私は特にフランスパンが気に入りました。飛行機のフライト時間が短かったならぜひ買ってお土産として持ち帰りたかったです。朝食を食べた後はモスクを見学へ行きました。中はとても神聖な雰囲気で、自然と口数が減りました。壁や床はどこを見ても何かしらの細工が施されたり模様があったりして、見ていてとても楽しかったです。私は特に扉や窓のガラスが綺麗で好きだなと思いました。

モスク内
モスク見学を終えた後は、そこからすぐ近くの北アフリカ風のカフェへ行きました。いつもはとても混んでいるそうですが、私たちが行った時は偶然すいていて、すぐに入ることができました。そこではテアラマントティーというミントティーを飲み、少しの間足を休めました。甘味が強かったものの、いつも飲む紅茶などとは全然風味が違く、新鮮で興味深かったです。

カフェを出た後は先生も実際に住んでいた、いろいろな大学に通うたくさんの人が住んでいる学生寮へと行きました。そこは留学生などに合わせて国ごとに外観が違う寮が1棟ずつ建てられていて、さっきまでドイツの建物の隣にいたのに、今横を見たらスウェーデンの建物が建っている、といった不思議な光景を目にすることができました。国が違う者同士のコミュニケーションを取る場を寮という形で作っていて、寮ならばキッチンを使う時、またパーティーを行った時などに楽しく仲良く交流できるしいい方法だなと驚きました。ぜひ日本にも同じようなやり方を取り入れて欲しいと感じました。寮の学食で豆のスープを食べた私たちはその後一度自由行動の時間になったので、有名な観光地のサクレクールに行きました。長い階段をのぼったorリフトで上がった先にあった迫力ある城とそこから眺める景色は格別で、雨が降っていたせいで空はどんよりとしていたものの、遠くまで見通せる景色はとても綺麗でした。

景色を眺めたら自由行動の時間が少し短かったため、急いで移動して先生と合流し、ホロコースト記念碑を見に行きました。ホロコーストについては研修前にそれにまつわる新書を読んでいたので、ある程度の知識を持って勉強することができました。実際に撮られた写真や資料を見て、改めて悲しく痛ましい出来事であったことを確認しました。特にアウシュビッツに行くため自らの足で移動させられた死の行進の距離を図として見た時は漠然となら分かってはいたもののそれは本当に遠く、それも歩かされた先ではそのほとんどが殺されるという、命をなんとも思っていない行為があったという事実を見て悲しくなりました。

ロシア正教会内
ホロコースト記念碑を出た後はロシア正教会に行きました。そこでは先生の友人のエカテリーナさんがガイドをしてくれて、見るだけではなく正しい情報を耳で入れながら学ぶことができました。実際にガイドの仕事をしていた経験があるエカテリーナさんはとてもスムーズな流れで私たちを案内し、最後にはそこで歌われる歌まで披露してくれました。透き通った美しい歌声で、いつまででも聴いていられるなと感動しました。


4日目、電車に乗りルーヴル美術館にやって来ました。朝早くに来たため並ぶ時間は少なく、私たちはすぐに中に入ることができました。ちょうどその時期はレオナルド・ダ・ヴィンチ展をやっている最中で、まず私たちはそちらに向かいました。ダヴィンチ展では絵画だけでなくスケッチや設計図なども様々展示されており、本当に最初から最後まで学びながらずっと楽しむことができました。ダヴィンチ展を出た後は数グループに分かれ、それぞれ個人学習を始めました。私は出来る限りゆっくり1つ1つ見たい派だったため、ゆっくり観賞するグループに属し時間が許す限り楽しみました。ダヴィンチ展の他にもサモトラケのニケ、民衆を導く自由の女神など、そうそう見ることのできない作品をとても身近で見て体感することができて、本当に嬉しかったです。

ルーヴル美術館は研修の中でも特に楽しみにしていたため、フランス研修ができてよかったです。ルーヴル美術館を出た後は自由行動となり、私はシャンゼリゼ通りを歩きながらお土産になりそうなものを見て凱旋門、エッフェル塔を再び見に行きました。何度見ても大きく偉大な建物だなと毎回感じました。




5日目、この日は1日自由行動で、ゼミ生自身がそれぞれ行きたいところを考え過ごしました。私ともう1人の女子のゼミ生は先生と先生の友人のエカテリーナさん、そしてエカテリーナさんのお母さんと共にコルマールへ行きました。コルマールはハウルの動く城の舞台と言われていて、映画で見た通り似たような可愛いらしいカラフルな住宅地が長く続いていました。物語の世界の中にあるような気持ちで道を歩く感覚は、少しわくわくして面白かったです。

コルマールの街並
お昼時にはお腹がすいたためレストランに入ろうということになりましたが、周りは勿論知らない地で店頭に出ている看板も当然フランス語、私にはどのお店でどのようなメニューが取り扱われているのか全く分からず店の良し悪しは見当もつかなかったですが、先生のフランス語力によりいいお店を見つけてもらうことに成功し、結果安い料金で美味しいものを食べることができました。前菜がサラダでメインディッシュはパスタ、デザートはチョコと何かが入った甘いケーキで、どれも美味しかったですが私は前菜が1番美味しく感じました。レストランを出た後は再び探索を再開し、列車の時間になると今度はストラスブールへ向かいました。

ストラスブール大聖堂の大時計
ストラスブールに着くとまずストラスブール大聖堂という建物へ行き、エカテリーナさんの解説を聞きました。そこには月や正座などを用いた古く大きな時計が置かれていて、15分毎に装飾品が動く仕掛けが施されていました。私は今まで宗教に興味を持ったことがありませんでしたが、解説をしてくれたエカテリーナさんとそのお母さんの向き合う姿勢や、そこへお祈りを捧げる人たちを見て、考え方を改めた方がいいのだなと感じました。少なくとも、自分には全く関係のないものと最初から簡単に突っぱねていいものではなかったのだなと思うことができました。

ストラスブール大聖堂を出た後はコルマール同様町の探索をし、歩きながら景色や珍しいものを見て回りました。日が暮れる寸前に見た、ピンク色に輝く夕日は今まで見た景色の中でも断トツで綺麗でした。

6日目、この日も1日自由行動で、私たちはゼミ生全員でパリのディズニーランドに行きました。パリでは日本と違い開演と閉園の時間が日によって違く、きっちりしすぎない適度な緩さが縛られている感覚がなく楽でいいなと感じました。また、パリのディズニーランドは日本に比べとても人の数が少なかったです。インターネットで出来る限り混んでない日を選び来たのですが、それを考慮しても人が日本に比べて本当に少なく、そのおかげで待ち時間も短くたくさんのアトラクションに回ることができました。ホンテッドマンションなど物語が語られながら進むアトラクションも勿論あり、何を言っているのかはさっぱり分かりませんでしたがさすが夢の国で、雰囲気だけでも本当に楽しむことができました。

移民博物館
7日目、朝、移民博物館へ行きました。フランスは特に移民を受け入れている国ですが、その過程で何があったか、またどんな人を受け入れてきたのかなど、たくさんの資料が展示されていました。その中にはフランスにとっていい過去もあれば悪い過去も展示されていて、隠そうとしない姿勢をカッコ良く感じました。19世紀頃から移民を受け入れ始めたフランスは、現在では本当に多種多様な人種の人が住んでいて、数日滞在しただけの私でもそれがここでは当たり前なのだなと何度も感じさせられました。日本でも勿論観光客などで外国人を目にすることはよくあるのですが、私にとってはそれだけで、外国人が日本に住んでいるとは思っていますがその数が多いと感じたことはありません。またこれも私の主観ですが、日本にたくさんの外国人が住めばそれに違和感や抵抗感を感じる人が多くいるのではと思っています。しかし閉鎖的になるのではなくフランスのように外国人、つまり他文化を受け入れ多様性を作ることが今の日本にとって足りないことなのだなと資料を見ながら感じました。

移民博物館を出た後は各自自由行動となり、昼食を食べるため中華街へ行きました。中華街なのだから当然中華料理やその系統のスーパー、ファーストフードの店ばかりが続いていたのですが、その中に偶然日本食の店があり興味から入ってみることにしました。メニューには海鮮丼、焼き鳥、餃子などがあり、私は焼き鳥と餃子のセットを頼みました。焼き鳥は日本とほとんど変わりませんでしたが、餃子は甘い味付けで日本とは少し違いました。どれも美味しかったですが、何よりもセットメニューとして出された味噌汁が1番美味しかったです。その後は夜の夜景も見てみたいということで日が暮れる頃に再びサクレクールへ行きました。途中雨が降ってきましたが、長い階段を上がった先に見えた夜景はキラキラと光っていてとても綺麗でした。

8日目、今日がフランス滞在最後の日ということで、マルシェと呼ばれる市場やスーパーを周り、日本へのお土産を買いに行きました。フランスは日本に比べて物価が高いため、気をつけなければ知らないうちに考えている以上にお金を使ってしまう危険があり、フランスへ来たばかりの頃は中々手が出ませんでした。しかし最終日ともなれば、さすがに何€は何円ほどでこれならば買っても問題ないなどとなんとなく予想できるようなっていたので、来たばかりに比べとてもスムーズに買い物ができるようになりました。午後からは日本語を学んでいる夫婦とカフェで交流しました。先生の通訳の元、ゼミ生がフランス人の環境問題に対する意識について質問したところ、フランス人はエコを強く意識していることが分かりました。例えばファッションならば、新しい服を次々買うのではなく1着1着を大切にし消費量を減らすなど、日本人はあまり意識していないであろうことをフランス人は大切にしているのだなと気づくことができました。

今回のパリ研修を経て、まず日本が優れているなと何度も感じた部分はトイレでした。2日目以降から外を歩いていて気づいたのですが、フランスでは無料の公衆トイレの数は日本に比べてとても少なく、なんなら有料のトイレが利用されていました。後々分かったことですが、日本以外の国では逆に無料の公衆トイレはあまりないもしくは全くないらしく、日本が珍しいそうです。また、ならばスーパーなど店のトイレを利用すればいいとも考えることができますが、レストランやバーならばトイレは利用できましたが、スーパーやデパートではトイレを利用することはできませんでした。無料の公衆トイレが当たり前にあり使えること、そしてほとんど常に掃除も行き届いていることを考えると、日本のそういった点はとても優れているなと感じました。

次に、逆にフランスが優れているなと強く感じた点が、人種関係なく多種多様な人が住んでいるということでした。7日目のところでも書きましたが、日本では観光客としてなら外国人はたくさん日本に訪れていると思いますが、日本に住んでいる外国人の比率はフランスに比べればかなり少ないでしょう。多様性を高める、また日本の深刻な労働力不足を解決するためにも外国人の力は必要不可欠なことだと思っています。なので、今ではもう当たり前のように様々な人種の住むフランスは素晴らしいなと思いました。

行きは12時間、帰りは1時間ほど飛行機が遅延するとスタートからゴールまでハプニングがありましたが、無事にフランス研修ができてよかったです。ありがとうございました。