2018年6月23日土曜日

2018年度第9回ゼミ

 ゼミ生のRです。
 第9回目のゼミを行いました。今回は前半に教科書『はじめよう、ロジカル・ライティング』を読み、後半にゼミ生二名の新書を紹介するという内容でした。

 まずは前半の内容についてです。前回のゼミで、意見文には「話題」「主張」「理由」の三要素と適切な「説明」が必要だと学びました。今回はそのうちの「話題」と「主張」に焦点を当てて学習を行いました。

 意見文を書く際、話題と主張はかみ合っていなければなりません。なぜなら、話題と主張がずれてしまうと、書き手が文章を書いた目的や主張が伝わりにくいものになるからです。そこで教科書によると、話題と主張をかみ合わせる為には、話題を疑問文でとらえると良いそうです。そうすることで主張が、疑問文でとらえた話題の答えとなるため、かみ合いやすくなるのです。私も文章を書く際、話題と主張がずれていったり、話題が本来の目的よりも大げさなものとなってしまうことが少なくないので、勉強になりました。

 話題の答えとなる主張は、「誰に」「何を」伝えるのかを意識し、一文で簡潔に表現することが必要です。また、主張内の「事実」と自分の「意見」を区別することも大切な要素です。これらのことを心がけることにより、読んだ相手に受け入れられやすい意見文が完成していくのです。

 次に後半の新書紹介です。最初にKさんが南野忠晴『正しいパンツのたたみ方』(岩波ジュニア新書、2011)を紹介しました。もともと英語教師であった著者は、生徒と接する中で、次第に生徒の生活の様子が気になるようになり、自らが家庭科の教員になります。本書は、そのような経歴を持つ著者が、人生において大切な知識や技術を実体験を交えて論じたものです。Kさんは特に遊びの発達段階というテーマについて紹介してくれました。著者は、人が大人になるまでに、「一人遊び」という初期の遊びの段階から、お互い同じ目的を持って遊ぶ「共同遊び」までを経験することが大切だと主張しているそうです。同じ目的を持って遊ぶということは、共通の関心事があるという意味にも繋がります。本書の遊びについての捉え方を聴いて、遊びが単なる子どもの振る舞いという枠にとどまらず、私たち大人にとっても重要な概念であること、そして人生の中で経験していくであろう家族や夫婦関係の問題解決に役立つものだということがわかりました。

 そして最後に私Rが平本一雄『臨海副都心物語 「お台場」をめぐる政治経済力学』(中公新書、2000)を紹介しました。本書は、東京都の集客空間の代表として知られている「お台場」を中心とした臨海副都心の開発の経緯を説明した本で、都市開発の実態が非常に良く伝わる内容となっています。本書からは、政治的な思惑を原因とする臨海副都心開発の問題点を知ることができました。開発に伴う問題の例として産業優先の都市開発や、同空間に進出する企業の選定が挙げられるのですが、私はこのような問題が起こる原因は、どれも計画者としての内部事情に固執し、都民の意見に耳を傾けない点にあると考えます。確かに、大規模なプロジェクトの進行にあたり、外からの意見を吸収することが簡単なことではないのは明らかです。しかし、初期段階から様々な意見に耳を傾けることを心がけないと、後々外から批判が発生することもまた明らかです。結果的に、批判を伴った問題の事後解決に割く労力の負担は、重大なものになってしまうのではないでしょうか。

 来週のゼミでは、新書に代わり、映画から物事を読みとり思考する予定です。次回もよろしくお願いします。