2021年12月1日水曜日

2021年度後期第9回:新書報告6

こんにちは。4年のMです。12月に入り、今年も残すところあとわずかとなりました。さて今回は、私を含め5人による新書発表となります。今の時期にぴったりな本や日々の生活に関連した本が中心でした。それではDグループの発表を見ていきましょう。 

Gさん:堀井憲一郎『愛と狂瀾のメリークリスマス なぜ異教徒の祭典が日本化したのか』(講談社現代新書、2017年)

1906年、日本にクリスマスが伝わった。なぜ1225日なのか。その背景を中心に、Gさんは報告をしてくれました。神(イエス)が現れた日が1225日であり、背景には宗教的、国的な問題があるそうです。タイトルにある「狂瀾」の意味するところは気になる点でしたが、戦後の独立前後のクリスマスには大人が飲んで食べて騒がしくしていたことから「狂瀾」と表されていると知りました。プレゼントをもらう子どもだけではなく、大人も楽しんでいた状況が伝わります。

キリスト教の予備知識があったほうが読みやすいとGさんはコメントしていました。少し難しさが感じられますが、クリスマス前に読んで周りの人に知識を話してみるのも面白いのではないでしょうか。


Bさん:山竹伸二『ひとはなぜ「認められたい」のか』(ちくま新書、2021年)

本書は、ひとが認められたいと望む背景にある、承認の2つのタイプを明らかにしています。1つは行為の承認であり、もう1つは存在の承認です。欲望は、赤ちゃんが親から愛を注がれるような神話的承認から存在の承認へ移り、主体的、行為の承認へと形成されていきます。承認不安が起こるのは価値観が多様だからです。しかし、不安を避けるために同じ価値観の人間で集まるだけでは、社会の分断を引き起こしかねません。

このような報告を聞いて、互いを認め合う姿勢や自分を知ることが重要であると考えました。社会人になると、認められる、褒められる機会は今よりも減ると思いますが、自分で自分をコントロールできる力を今から備えていきたいです。

 

Iさん:堀忠雄『快適睡眠のすすめ』(岩波新書、2000年)

本書は、個人差がある眠りについて、計測データをもとに書かれています。睡眠タイプは朝型と夜型に分けられ、①寝つき②寝起き③睡眠そのものの満足感に違いがあります。快適な睡眠にするためには、体温が下がると眠くなる仕組みを活かし、温めのお湯に入ることや軽く汗ばむ程度の運動をすることが効果的だそうです。

一番驚いた事実は、夜型から朝型には変えられるが、朝型から夜型には変更が難しいことです。私はどちらかと言うと夜型であるため、朝型に変えられることに嬉しさを感じました。しかし、意識しないと徐々に睡眠リズムが元に戻ってしまうことから睡眠にも工夫が必要と言えます。

 

Nさん:苫野一徳『未来のきみを変える読書術』(ちくまQブックス、2021年)

まずこのタイトルを見て、「読書の仕方によって自分の未来が良い方向へ進んでほしいな」と思いました。本書には、読書による効用や術が書かれており、読書があまり得意ではない人にこそおすすめしたい一冊です。読書術としては2つありました。幅広く読みピックアップして深めていく術、つまり信念を深掘りしていく技術です。2つ目は、思考の偏りがでるため少し危険を伴うため、信念検証型として異なった考え方の本を読むことも重要です。

私自身これから読書をする際には、自分の信念に合う本だけでなく、客観的に「そのような考えもあるよね」という気持ちで読み進め、あまり興味のない本にも挑戦していこうと思います。

 

M:亀田達也『モラルの起源 実験社会科学からの問い』(岩波新書、2017年)

本書は、実験を交えながら、利他性、共感性、正義やモラルといったテーマを中心に、人文知と自然知が関わり合う可能性を探る一冊です。タイトルから難しさを感じましたが、読み進めていくと図やイラストとともに分かりやすく書かれていました。イヌとヒトの親和性を検証した実験や、ミツバチの8の字ダンスは人間での投票や意見表明にあたることを示す実験が、本書の例として挙げられています。

他の生物にもヒトと類似する利他性や共感性が見られるという実験結果を読んで、ヒトは一人では生きていけないと言われる理由がわかったような気がします。今後も心理学的な知識を身につけたいと思うきっかけになりました。

 

今回の5冊の新書報告はどれも、今まで立ち止まって考えたことのなかった内容を扱っていました。なぜ1225日がクリスマスなのか、ひとはなぜ認められたいのか、快適な睡眠方法、未来の自分を変える読書術、協力的な社会の実現・・・。新書のテーマは異なるものの、当たり前に生活する中で得ておくべき知識を身につけられたのではないでしょうか。

さて、次回はグループワークを予定しています。新書報告とはまた違った意見交換をすると同時に、ゼミ仲間との仲もより深めていきましょう。