2021年12月15日水曜日

2021年度後期第11回:新書報告7

 こんにちは。ゼミ生のRです。寒さが厳しい季節になってきましたね。いよいよ、C班最後の口頭での新書報告になりました。それぞれが今まで手に取らなかったジャンルの本に挑戦していて、とても興味深い報告になったと思います。それでは、見ていきましょう。

Oさん:竹信三恵子『家事労働ハラスメント―生きづらさの根にあるもの』(岩波新書、2013年)

日本の家事労働問題について書かれた本です。本書は見えない労働である家事を担う女性たちが、社会から不当な扱いを受けている事例を紹介しています。家事をしている女性が外に出て働こうとすると、パートでしか働けず、所得が低くなる。そうすることによって夫の重労働に頼ることになり、夫が家事をしないという負のサイクルを生んでいると述べています。家事は生活をするためにしなければならないことだと思います。性別関係なくやる作業という意識が広がることを願います。

Tさん:慎改康之『ミシェル・フーコー 自己から抜け出すための哲学』(岩波新書、2019年)

ミシェル・フーコーの哲学の変遷を知ることができる入門書です。フーコーの哲学を読むにあたって、確実とされている原則に疑問をもつ人はおすすめだと紹介していました。フーコーの哲学の特徴は、世の中で当たり前だとされていることを本当にそうなのかと問い直すことだそうです。そして、当たり前と思っている事柄を見直すことが自己からの脱出に繋がるそうです。また、自己から抜け出すためには、読書をすることもその手段の1つではないかという議論になりました。確かに読書によって、知らない世界を知るということは、自己から抜け出す1つの方法だと思いました。

Tさん:成田憲保『地球は特別な惑星か? 地球外生命体に迫る系外惑星の科学』(ブルーバックス、2020年)

 本書は、系外惑星と地球外生命の探索の最前線を解説しながら、地球は多様な生物が生息することができる特別な星なのかを問う内容です。系外惑星とは、太陽系の外にある、太陽以外の恒星を公転する惑星のことで、1995年に明確に発見されました。2020年までに系外惑星は4000も見つかっています。その中で、気温が地球に近い惑星は数百億ほどあると予想されています。この報告を聞いて、地球と似た惑星がそれほどあるなら、宇宙人もいるのではないかと思いワクワクしました。

Kさん:津田敏秀『医学根拠とは何か』(岩波新書、2013年)

著者は医師かつ医学博士であり、日本において医師や専門家によって見解が異なり、医学根拠の混乱が続いているのはなぜかを解説した本です。医学根拠は、個人的な経験を重んじる直観派、生物的研究の結果を重視するメカニズム派、統計学の方法論を用いる数量化派の3つに分かれることが混乱のもとになっていると述べています。また、メディアが分かりやすい言葉を使いすぎることも混乱の原因であると指摘していました。コロナ禍で様々な情報が行き交う今こそ読むべき興味深い本であると思いました。

R:今野晴貴『ブラックバイト 学生が危ない』(岩波新書 2016年)

 学生を使い潰す「ブラックバイト」について実際の事例を紹介しながら、その危険性を述べた本です。ブラックバイトは学生の強みと弱みに付け込んだ構造になっています。一度入るとなかなか辞めることができなかったり、必要以上に責任を押し付けたりするケースが多くあります。この結果、生活がアルバイトに支配され、勉強が疎かになり、最悪の場合には留年や退学に追い込まれることもあるそうです。このようなブラックバイトの異常性に気づくために、知識を身に着けること、おかしいと思ったら身近な人の相談することが大切だと思います。バイトをしている人や新しく始める人にはぜひ読んでほしい本です。

以上の5冊が新書報告でした。次回は、ゼミ生全員が同じ本を読みグループディスカッションをします。残り僅かのゼミ活動を有意義なものにしていきましょう。