2021年6月2日水曜日

2021年度前期第7回:新書報告4

こんにちは。新ゼミ生の3年のOです。今回のゼミは、オンラインでの新書報告や質疑応答にもだんだん慣れてきて、前回よりも議論が活発になったように思います。それでは新書報告へ参りましょう。

Yさん:蟹江憲史『SDGs(持続可能な開発目標)』(中公新書、2020年)

最近話題になっているSDGsについて、Yさんが本書を用いて詳しく教えてくれました。本書では、SDGsの目的と取り組みが丁寧に書かれているそうです。2030年までに持続可能な世界を作るため、経済、社会、環境の3つの観点から取り組むべき17の項目が取り上げられています。Yさんが最も印象に残った項目は12番目の「つくる責任、つかう責任」だそうです。先述の3つの観点全てが関わっているからだそうです。私たち学生にとっても、就職する際にSDGsに取り組んでいるかどうかを選ぶことは、将来自分がより良い世界で生活するために重要だと思いました。

Kさん:福島章『犯罪精神医学入門 人はなぜ人を殺せるのか』(中公新書、2005年)

もし私が本棚からこれを見つけたら、タイトルの強烈さに思わず手を引っ込めてしまうだろう一冊です。本書では、2001年に起きた大阪教育大学付属池田小学校事件を中心に、残虐な罪を犯してしまう人について考察しています。幼少期からの虐待経験や、本人の過激な性格、不安定な精神状態が重なり合うと、エネルギーを爆発させ凶悪殺人事件を起こしてしまうとされています。これは2005年と少し古めの本ですが、人を殺してしまう人の根本的な特徴は今も変わらないそうです。そのような人は見た目では判断しにくいため、私たちは他の人との接し方に気を配りながら生活するべきだと思いました。

Wさん:益田安良『金融開国 グローバルマネーを手なずけろ』(平凡社新書、2000年)

金融について主体的に勉強しているWさんからの報告です。本書では、社会のグローバル化に伴う金融開国(日本の金融機関の国際化)について書かれています。私たちが日常的に利用している銀行の間では、かつて内部競争が起こっていたこと、変動相場制によりその競争が国際市場へ広がったこと、さらに現在では地方銀行の合併が行われているという流れをつかむことができました。Wさんによれば、経済を勉強することのメリットは、その仕組みが分かることで、実社会でも役に立つ点なのだそうです。私も一読したいと思いました。

Nさん:北村暁夫『イタリア史10講』(岩波新書、2019年)

本書は、古代から戦後までのイタリアの歴史について10個の項目に分類して書かれた本です。Nさんが最も印象に残ったのは19世紀のイタリア統一の歴史で、それまで周りの強国に支配されバラバラだった小国が、一つにまとまった点が面白かったそうです。

イタリアを一言で表すと「地域ごとで異なる文化を持ち、特色も違う国」とNさんは考えていました。偶然にも76年前の6月2日(報告日)がイタリアの建国記念日ということもあり、イタリアに親近感が持てました。

Mさん:梓澤和幸『報道被害』(岩波新書、2007年)

本書において報道被害とは、ある事件や事故について、マスメディアの取材陣が当事者を問い詰めたり、スクープを出そうと躍起になって追い回したりする結果、被害者の人権が侵害されてしまう事態を指します。報告を通して、取材する側だけでなく取材される側にも自由があることを意識することによって、被害を抑えられることが分かりました。SNSの普及により、現在は情報の受発信が容易です。だからこそ、自分の力で知り得た生の情報をもって物事を判断することが重要だとMさんの報告から教えられました。

今回で新書報告はA、Bグループとも2周しました。新書報告後の質疑応答の中では、一つの問いについてみんなが意見を出し合い、議論に発展する場面が増えてきたように思います。自分が質問するだけでなく、他の人の質問を聴くことでも、自分とは異なる着眼点を知ることができるため、毎回とても楽しいです。

次回は、新書報告を一回お休みし、グループワークを行います。どんな内容なのか今から楽しみです。