2020年12月9日水曜日

2020年度後期 第11回:新書報告

  こんにちは。相澤ゼミ二年のYです。今回はいつも通り、各自読んできた新書の内容について、報告を行いました。早速、各々がどんな本を読んだのか、順番に紹介していこうと思います。

相澤先生:H・A・ジェイコブズ『ある奴隷少女に起こった出来事』(新潮文庫、2017)

 相澤先生は、今回、新書ではなく文庫本を紹介されていました。この本では、ある少女が奴隷時代だった頃に、起こった出来事について書かれていたそうです。奴隷はレイプや性的虐待など、人としてではなく、もののような扱いを受けていたそうです。無理やり奴隷に子供を産ませ、その子供も奴隷として扱われると知りました。わたしは、このような現実があることにショックをうけました。この手記も、あまりにひどい出来事が書かれているので、真実ではなくフィクションだと思われていたそうです。

Tさん:鹿子生浩輝『マキャヴェッリ-君主論を読む―』(岩波新書、2019)

 この本は、マキャヴェッリから、君主としての在り方を学ぶという内容の本だそうです。具体的には、独裁や過激な政治の有用性について、語られていました。マキャヴェッリは、基盤が整っていない国では、愛されるより恐れられる君主が望まれると主張しているそうです。一見すると、マイナスなイメージしかない独裁も、実は乱れた国を統治するには、有効な手段と聞き驚きました。逆に、ある程度基盤がしっかりした国では、あまり効果がないそうです。

Iさん:加藤諦三『メンヘラの精神構造』(PHP新書、2020)

 最近では、メンヘラという言葉をよく聞くのではないでしょうか。メンヘラとは、メンタルヘルスの略で、心に何かしらの問題を抱えている人を指すそうです。この本では、メンヘラと呼ばれる人の心の中や、なぜメンヘラになってしまうのか、について紹介されていたそうです。メンヘラの特徴として、何か問題が起きったとき、自分だけが不幸など、被害者意識が強い傾向があると述べられていました。メンヘラになったしまう要因としては、幼少期化から愛された経験が少ないなど、家庭環境が大きく関係しているそうです。

Mさん:辛淑玉『怒りの方法』(岩波新書、2011)

 この本では、活動家である辛淑玉さんが、どのように怒るのがよいかについて紹介されていたそうです。具体的な方法を、10個挙げられていたので紹介します。

  1. 感情を簡単な言葉にする。
  2. 同じ言葉を繰り返す。
  3. ストレートに表現する。
  4. いつもの声の高さで伝える。
  5. 一回につき一回の怒り
  6. 目の前の小さなことから。
  7. 目標を決める
  8. 内容を具体的に指摘する。
  9. 相手に正対する。
  10. 人間関係の継続。

私はこの十項目を見て、怒りの方法というより、人との会話において大切なことなのではないかと思いました。質疑応答では、自分の周りの環境などに疑問を持つことが、怒りにつながるのではないかと議論されていました。

Aさん:梁英聖『レイシズムとは何か』(ちくま新書、2020)

 この本では、レイシズムとは何かという分析や、レイシズムが発生する要因について書かれていていたそうです。レイシズムとは、大まかには人種差別のことを指していて、過激になると、生きる人と死ぬべき人を区別してしまうそうです。差別に走ってしまう要因として差別アクセルというものが紹介されていました。具体的には、ヘイトスピーチ、政府の関与、極右が挙げられていました。その逆に、反差別ブレーキというもの挙げられていました。これは、差別を定義すること、人種の否定、極右の禁止、国家による対抗です。世の中には、差別行為を差別だと思わず行われていることが多いのではないかと思います。その多くは、人種意識からの、無意識な偏見から生まれていると思います。反差別ブレーキにあるように、まず定義し、政府が積極的に差別に対抗することが、必要なのではないかと思います。

早いもので、12月16日のゼミは最後の新書報告となります。最後まで、各自の新書について語り合いたいと思います。