2020年7月1日水曜日

2020年度前期 第10回:新書報告

相澤ゼミ生の経営学部4年Sです。今回も先週に引き続き新書報告をしました。どのような発表があったかそれぞれ紹介します。

相澤先生
清水克行『耳鼻削ぎの日本史』(文芸春秋社、2019年)
この本は、耳鼻削ぎという日本の文化について中世歴史家の著者が辿っていくものです。耳鼻削ぎといえば秀吉の朝鮮侵略の話が有名ですが、実は耳鼻削ぎは秀吉の朝鮮侵略以前から行われていたものです。中世人の論理を解き明かしながらその意味を分析していくのが本書のテーマです。例えば耳鼻削ぎが死刑に相当する罰になることから現代人と中世の日本人の思考の違いを解説しています。

Aさん
川村裕子『平安女子の楽しい!生活』(岩波ジュニア新書、2014年)
本書は平安時代の貴族の生活について書かれています。女子だけでなく男子の生活についても解説されているのも面白い点です。平安時代の結婚は手紙のやりとりから始まり、男性が女性の家に通って愛を育んでいきます。当時のモテる男性の条件は手紙をまめに出すことや字が綺麗なことだそうです。考えていることやしていることに現代と似ているものがあるなと私は感じました。

Iさん
松本英恵『人を動かす「色」の科学』(サイエンス・アイ新書、2019年)
Iさんは色彩検定3級を持っていて、この本の内容はその知識に通じるものがあると言っていました。この本は色が人に与える影響について説明している本です。例えば色の持つ主張性が挙げられます。トイレの男性、女性を見分ける図の色は必ず青と赤に振り分けられています。つまり色が人にイメージを与えることがあります。例えば色の持つ印象とその人の振るまいがマッチすると相乗効果を発揮することや逆にマッチしないとイメージが悪くなりやすいそうです。相澤先生の好きな色である赤は負けず嫌いな印象を与えるカラーです。私も好きな色なので相乗効果を発揮できるような漢になりたいと強く思いました。

Tさん
坂爪真吾『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書、2016年)
本書は風俗業が抱える問題を実際に働いている人の状況などを交えて説明しています。Tさんは、本書の中で扱われている次の2つの問題を紹介していました。一つは、託児所とベビーシッターがついていて子持ちの人でも働くことが出来る店など、ある意味働く人のワークライフバランスが実現できてしまうこと 。二つ目に、そしてお客さんがつかないと思うようにお金を稼ぐことが出来ずに劣悪な環境に依存してしまう悪循環に陥ってしまう点です。このような風俗の実態を紹介していてリアリティ溢れる本です。

Nさん
玄田有史『希望の作り方』(岩波新書、2010年)
本書は希望とは何なのか、そして希望を持つために必要な要素を紹介していくのが大きなテーマになっています。この本の希望の定義は困難な状況について本人が考え、行動して変えていくことです。中でもその希望を作る4つの要素は気持ち、何か、実現、行動です。そして希望をつくる2つのきっかけは失敗を経験することと仲間をつくることがあります。特に自身と違う価値観を持つ仲間と話すことが大切です。

Mさん
高橋久仁子『「健康食品」ウソ・ホント(ブルーバックス、2016年)
健康食品などの広告によく見られる「これを摂取すれば〇〇出来ます。」この言葉が本当なのか、実際どうなのかを科学的に検証していく本です。実際にトクホや機能性表示食品の設定された飲み物を例に本当に脂質の排出量が増えるのか確かめています。結果はあまり大きな効果にはなかったです。あまり誘い文句を鵜呑みにしてはいけないということを伝えています。

S(今回ブログ担当者)
小泉武夫『いのちをはぐくむ農と食』(岩波ジュニア新書、2008年)
本書は日本の食料自給率が低下しているにもかかわらず農業が後継者不足や異常気象で大変な状況になっていること、そして私たちが何をしたらいいのかというのがテーマになっています。農家の後継者不足や海外に食料を依存すると出てくる問題について説明しています。そのうえで日本の食について考えること、日本の食材を食べ日本というふるさとの味について考えることが日本の食と農家を考えることにつながっていくと主張していました。

Yさん
斉藤忠夫『チーズの科学』(ブルーバックス、2016年)
本書はチーズの栄養機能や作り方によって1000種類も違いができるチーズの魅力について紹介しています。チーズには豊富なカルシウムとその栄養の吸収しやすさが高いことや虫歯の予防になることが発見されています。そしてYさんはこの本を読んで食品を科学的な側面から分析する面白さを感じたそうです。

今回のゼミの最後で相澤先生に「ゼミ生の皆の伝える力が新書報告を通じて向上しています」と嬉しいお言葉をいただきました。これからもしっかりとゼミを楽しんでいきたいと思います。