2025年11月26日水曜日

2025年度 後期第9回:映画を読む2/2

 こんにちは。経営学部2年のS•Yです。早くも吐息が白く見えるようになったりならなかったりする日々です。ふとしたときに指が冷たくなっているのに気づくと、スマホを打つ指やペンを握っている手が遅く感じます。後期第9回目の授業では、前半に前回鑑賞した『幸福』の考察や解釈を話し合いました。後半では、12/13のゼミ報告会に向けた準備として、役割ごとに途中経過を報告しました。

まず、『幸福』という映画についてですが、1965年のフランス映画です。幸福と書いて「しあわせ」と読むそうです。本作は、相澤先生が何度も見るほど好きな作品だそうです。(気になる人は本作を見ましょう。)3つの班に分かれて、「この映画の持つメッセージ」と「タイトルとメッセージの関係」の2つを考察しました。

1つ目の班は、前者は「男は刺激を求め、女は精神的な安定を求める」、後者は「幸せは人によって違う」と解釈していました。本作で見られる「幸福(しあわせ)」とは自分が幸せであるならいいというものだと感じたそうです。

2つ目の班は、前者は「俯瞰してみた幸せは醜い。婚約者は幸せの構成要素なら代替可能。」、後者は「幸福というのは解像度を上げれば上げるほど醜く見えることもある」と解釈していました。幸せとは二元的なものではなく、多元的なものだと感じたのかもしれません。

3つ目の班は、前者は「男女間の幸福の違い」、後者は「幸せなんて重く考えるものではない」と考察していました。映画の冒頭のピクニックと終幕ピクニックから対比を感じたそうです。

今回の授業で映画の考察を語り合う中で自分の感じたことをより言語化できました。また、相澤先生は『幸福(しあわせ)』を何回も見ていると仰っていて、初めは何回も見る気持ちが分かりませんでした。しかし、今回の考察をしていて、何度も見るたびに自分の考察が異なるようなメッセージ性の強い作品は何回見ても面白いかもしれないと思いました。

後半のゼミ報告会の途中報告では、ポスター作成班とスライド発表班の途中報告を行いました。

作成班のポスターを見て、皆でどの要素が必要か、見やすさなどについて話し合いました。本のイメージのあるデザインや、水曜2限であることを書くなど、よりポスターのイメージが固まってきたように感じました。

スライド発表班の報告では、昨年のスライドとの違い、入れて欲しい情報や流れについて議論しました。文字をより大きくし、新書報告の風景も入れるとよりゼミの報告に相応しくなるなど改善の余地が見えてきました。

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次回は、F班の新書報告です。


2025年11月19日水曜日

2025年度 後期第8回:映画を読む 1/2

 担当教員の相澤です。今日のゼミではみんなで映画を一本鑑賞しました。来週は、「映画を読む」と題して、映画作品を味わうグループワークを行います。今週はその準備段階にあたります。

鑑賞した作品は、アニエス・ヴァルダ監督作品「幸福」(1965年、フランス)です。私はこの作品が大好きで、何度も何度も見ていますが、何度見ても作品を理解できた気がしないのです。(内容を描写することは避けますが)映画の内容とタイトルはとても矛盾しているように思われます。監督は、一体どのようなメッセージを鑑賞者に伝えようとしているのか。グループワークでは、私の長年の疑問を学生たちに考察してもらおうと思います。

今回、学生たちには鑑賞しながら印象に残ったシーンをメモしてもらいました。それを踏まえて次回はグループワークで映画を解読していきます。

2025年11月12日水曜日

2025年度 後期第7回:新書報告

こんにちは。経営学部3年のSです。

すっかり寒くなり、温かい食べ物が恋しくなる季節となりました。先日、凍えながら食べたおでんが絶品でした。また、インフルエンザが流行っていますので、体調にはお気をつけてお過ごしください。さて、今回はE班による新書報告です。

Kさん:増田隆一『ヒトとヒグマ』岩波新書、2025年

 本書は、近頃ニュースでも取り上げられるクマについて、その生態や人間生活との関係について考察した一冊です危険な動物としてのイメージが強いクマですが、歴史的に見ると信仰の対象として敬われてきた点には驚きました。

 まず、クマは餌の少ない冬に冬眠を行います。そして冬を超えると、また地上へ出てきます。この一連の行動を昔の人々は死から蘇ったと認識しました。クマをカムイ(神)として扱いました。崇拝方法は地域によって違いがあり、アイヌでは儀礼、ヨーロッパでは祭りを行いクマを崇めていました。

 他にも、人的被害を減らすためにクマの個体特定が必要です。そのために、AIによる顔認証や唾液による特定などが期待されています。

 この報告を聞いて、このようにクマを単なる害獣として見るのではなく、歴史的な関係や文化を踏まえて理解することの大切さを理解できました。クマ被害が増える中、それでも駆除しづらい現状の背景が見えた気がしました。

Hさん:野口恵子『失礼な敬語』光文社新書、2013年

 本書は、フランス文学者であり、人間の言葉について考察している著者が、敬語の使い方や正しい意味、敬語を惰性で使っていないかについて解説した一冊です。Hさんは敬語の中でも「〜させていただく」に着目して、報告してくれました。

 「〜させていただく」には二つの意味があります。一つ目は、「訪問させていただいてもよろしいでしょう」といった表現に使われる、相手への恩恵や感謝を伝える意。二つ目は、「会社をやめさせていただいてもよろしいでしょうか」といった表現に使われる、自己主張の意味があります。このように、同じさせていただくでも場面や使い方によって異なる意味になることがあります。

 また、「送金させていただきます」や、「卒業させていただきます」のように無用な敬語も存在します。これは、「送金しました」で伝わる言葉を敬語を使いたいという思いから、意味のない「させていただきます」を使ってしまう例です。

 この報告をきいて、普段なにげなく使っている敬語でも、意味や場面を間違えると失礼になってしまうことを改めて実感しました。相手との関係や状況に応じて使い分けることの大切さを感じました。私は現在就職活動中なので、吸収できるものが多い発表でした。

Sさん:田中修『雑草散策』中公新書、2025年

 本書は、植物生理学を専攻している筆者が、雑草の季節ごと違いや生存戦略をまとめた一です。Sさんは雑草の例として、どくだみとススキを紹介していました。

 まず、どくだみは特殊な匂いを発することで知られています。そんなどくだみの漢字表記には二つの説があります。一つ目は特殊な匂いを毒とし、その毒をためているという説から「毒留」。二つ目はどくだみの殺菌作用により、毒を清める効果から「毒矯」と表記する説です。また、どくだみの匂いには虫から食べられないようにしたり、病原菌からドクダミ自体を守る効果もあります。

 次に、ススキを見てみましょう。ススキは葉にケイ酸をためていて、そのケイ酸により葉を硬くしています。その硬さは葉で手が切れるほどです。そんなススキは、枯れた後も地中にのこり、これがプラントオパールとよばれる物に変化し、宝石と呼ばれています。このプラントオパールをみれば、ススキの年代も分析できます。

 この報告を聞いて、このような普段気にすることのない雑草に目を向けることで、Sさんは散歩が楽しくなると言っていました。私もただ歩くのではなく、この発表を思い出して、日常に隠れている雑草に目を向けたいと感じました。また、私は野菜が好きなので、食べることのできる雑草を探してみたいです。

Iさん;宮下紘『プライバシーという権利-個人情報はなぜ守られるべきか』岩波新書、2021年

本書は、現代社会で度々問題となっている個人情報について、その危険性や現代技術との関係、制度について解説した本です。

 Iさんはまず、ナチスドイツによる国勢調査を、個人情報の危険性例として挙げていました。些細な情報が積み重なることでユダヤ人を特定する材料となり、大虐殺へとつながってしまった歴史があります。これは、個人情報が権力によって使用されてしまう危険性があることを表しています。

 個人情報にはどこまでが保護されるべき情報なのかを明確にする必要があります。本書では、「公然と知られてはならないこと」が保護対象となるとしています。また、必要以上に個人情報を管理しすぎると、面会ができない、緊急時には、支援が届かないといった事態が起きる場合があります。緊急時には生命の保護を優先することが大切です。

 この報告を聞いて、個人情報を守ることは、ただのプライベートの問題ではなく、人権や歴史的な問題とも深く関係していることに驚きました。個人情報は自分の情報すべてであり、プライバシーは自分の知られたくない情報です。この違いを知れたことで、自分の中で曖昧だったものがハッキリしました。

 今回の発表は、比較的新しく発行された本が多くありました。内容もタイムリーな話題であふれ、より知識を深めることができました。さて、今学期の新書報告も残り1回となりました。私自身、1年間取り組んできて、読書スピードが上がり、自己表現能力に自信がつきました。最後の新書報告でも、聞き手が何か一つ賢くなる発表を意識して臨みたいと思います。

と書きましたが、次回は映画を鑑賞します。

2025年度 後期第6回:みんなで同じ本を読む

現代法学部3年のIです。11月に入り、葵祭も無事に終わり授業が再開しました。葵祭では、所属する学生団体の出店に参加したり屋台を回ったりして、とても充実した葵祭期間を過ごせたと思います。

後期6回目は、前半に先生指定の本をもとにしたグループワークを、後半にゼミ報告会に向けた話し合いを行いました。今回指定された本は、友原章典『実践幸福学―科学はいかに「幸せ」を証明するか』(NHK出版新書、2020年)です。まず2つのグループに分かれて気になった所や役立ちそうな知見について話し合い、最終的に全体で情報共有を行いました。最終的に出た意見は以下のようになります。

1つ目は、人生の生活満足度は年齢を横軸にとったグラフで見ると、Uの字になっていることです。20代〜30代では生活の満足度がガクッと下がりますが、中年~高齢者になっていくにつれて生活の満足度は上がっていきます。これは定年になり仕事をやめて生活に余裕ができることで、生活に満足を感じやすい人が増えていくことが考えられます。

2つ目は、幸福になるには物質にお金を費やすよりも自分自身や他人にお金を使ったほうがよいということです。Sさんは普段、物に対してお金を使いがちで、ライブなど自分の満足感に対してお金を使う気持ちがわからないと発言していました。実質的に幸福感を得るには個人に投資し、自己研鑽をしたほうが身のためにはなりますが、私も物にお金を使いがちなのでSさんの意見には共感しました。

3つ目に、カップルが長続きする秘訣として、ポジティブな発言を言い合うということが挙げられていました。これはカップルでなくとも人付き合いをする上でも重要なのではないかとKさんが発言していました。

4つ目に、幸福になるためにはネガティブでも大丈夫であるということです。ネガティブであることは必ずしも悪い側面ではなく、その人自身の個性でもあります。ネガティブな個性を意識しすぎてしまうと幸福度は下がっていってしまうそうです。

大切なのはネガティブを受け入れることで、この方法をアフォメーションといいます。そうすることによって心に余裕ができるため、周りにもポジティブな発言ができると論じられていました。

特に私が気になった点はお金が全てではないということです。お金を稼ぐことはもちろん生きていく上で重要な要素ではあります。例えばお金に関して幸福を感じる要素としては所得の他人や、世間との差などがあります。しかし、幸福になるためにはさほど重要ではないそうです。

私は本書を読んで大切なのはお金の使い方であると感じました。全体の意見交換の場でも挙がりましたが、他人に対してお金を使うという行為が非常に重要であると感じました。募金などの他人に対してお金を使うという行為は心の余裕を生み、その心の余裕が自身の幸福にも繋がるのではないかと感じました。

本書は様々な切り口から幸福になるための知見が論じられており、自身の考え方を見直すきっかけにもなりました。

後半は12月のゼミ報告会についての話し合いを行いました。相澤ゼミでは研究報告の代わりにゼミの活動についての報告を行います。今回は去年ゼミ報告に参加した人はチラシを作る担当になり、今年新たにゼミに入った人がゼミ報告を担当することになりました。今回決まったのは報告会の発表構成についてです。

①    人員構成 ②本の紹介(2冊ほど) ③前期の予定 ④合宿 ⑤まとめ

以上の構成でゼミ報告のスライドを作ることになりました。報告スライド、チラシ案は11月26日のゼミで検討することになっています。

ゼミ報告会に関して私は初参加なので全くイメージが湧いていませんが、相澤ゼミの魅力をより多く伝えたいと思っています

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次回はE班による新書報告になります。