2020年11月11日水曜日

2020年度後期 第7回&第8回:映画「ズートピア」を読む

 こんにちは。相澤ゼミ3年のIです。第7回と第8回のゼミは、「映画を読む」というテーマで行いました。第7回に映画『ズートピア』を鑑賞し、第8回で作品を考察するグループワークを行いました。はじめに、映画の概要を紹介します。

高度な文明を築いた動物たちが人間のように暮らす楽園「ズートピア」を舞台とし、夢を信じる新米ウサギ警官「ジュディ・ホップス」と、夢を忘れた狐詐欺師「ニック・ワイルド」の二人がズートピアで起こる事件の解決に挑むお話です。ズートピアでは、肉食草食問わず、あらゆる動物が生活を共にしていました。一見、ズートピアは、誰もが自由に過ごせるユートピアのような世界ですが、そこにも偏見による差別が起こります。このような現実の大都市にも起こり得る社会問題を描いています。ディズニー映画ですが、メッセージ性もあるため子供から大人まで幅広い年代の方が楽しめる映画となっています。

考察を行っていくうえで以下の4つの問い、項目について話し合いました。

  1. 映画のメッセージは何か?
  2. 1のようなメッセージを読み込む根拠となったシーン、演出はどのようなものか?
  3. 読み取ったメッセージへの自分なりの考察、意見
  4. その他面白いと思ったこと、気づいたこと

グループワークをして出た意見をそれぞれまとめていきます。

1. 映画のメッセージは何か?

 大きく2点が挙げられました。まず一点目は、「偏見」や「差別」が存在しているということです。二点目は、それらによる先入観を跳ね返すべきだ、ということです。

2. 1のようなメッセージを読み込む根拠となったシーン、演出はどのようなものか?

 具体的なシーンがグループワークの中でいくつも挙げられましたがここでは、私が重要だと思った点を紹介します。

まず、ジュディが警官になりたいと言うと、草食動物で小さいウサギという理由でなれるわけがないと馬鹿にされていたり、肉食動物は凶暴で野生化するといって恐れられたりと、それぞれの立場から自分とは異なるモノに対して偏見や先入観を抱いていた、という点です。

また、ジュディが大きな手柄をあげて表彰され記者会見をする場面があります。ウサギという種族のせいで差別的に扱われ、それを取っ払うたに中身や能力で補う努力をするなどたくさん苦労をしてきたにもかかわらず、ジュディ自身が肉食動物に対して偏見を持っていることを露わにするコメントをしていました。

そしてジュディとニックの元々は対照的だったふたりが相棒関係になったり、ノロマと思われていたナマケモノのフラッシュが速度超過の違反をしたり、全体を通して、先入観を跳ね返すような行動を描くシーンが多く見られました。

3. 読み取ったメッセージへの自分なりの考察、意見

 ここでは、ゼミ生の中で大きく分かれた点と、共通した点がありました。まず、他者を見る際の点として2つに大きく意見が割れました。一つ目は、他社に対して偏見や差別をするのは相手を知らないからしてしまうので、まず相手を知ろうとすることが大切である、という考えです。二つ目は、現実的に考えて大きな枠組みとして偏見を持ってしまうのは仕方がないので、その中でいかに個人にフォーカスして向き合うことができるかが大切という意見です。しかしこちらの意見に対しては、カテゴライズしてしまうのはそもそも良くないのではとの反論も出ました。

次に、個人がどう行動するかという点では共通した意見となりました。映画の主題歌である「try everything」や映画中にしきりに出てきたズートピアというユートピアな世界のキーワードとしての「誰もが何にでもなれる➡何にでもなりたい」ということから、偏見や差別を取っ払うための行動や挑戦が大切であるということです。

4. その他面白いと思ったこと、気づいたこと

  • 副市長の陰謀から、“恐怖”を利用することでコントロールしやすくなるというのは現実にも通じる。
  • リアルにし過ぎて現実味を帯びさせないために、人間と近い種の動物が出てこなかったり、肉食動物の食事シーンがなかった。

などの意見が挙げられました。

私の感想

『ズートピア』は僕自身、観るのは二回目でした。一回目は娯楽としてただただストーリーを楽しむという見方でしたが、今回は、グループワークをするという目的があったので、より深く考えながら鑑賞でき、違った楽しみ方が出来ました。また、このように様々な視点から楽しむことの出来るズートピアは優れた映画なのだとも思いました。

そして、今回のグループワークを通して、他の人の考察を聞いたり意見交換をする中で今までにしたことのない深い映画鑑賞となり、「映画を読む」ことが出来たと思います。機会があればまたこのようなグループワークをして深く映画に触れ合いたいと感じました。

次回は、久しぶりの新書報告です。本の世界を楽しみたいと思います。