2020年10月28日水曜日

2020年度後期 第5回:新書報告

こんにちは。相澤ゼミ生四年経営学部Sです。冬のような寒さに時々なりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。私は冬用のコートを着ながらこのブログを書いています。今週は先週に引き続きオンラインで行った新書報告についてご紹介致します。

相澤教授:沢山美果子『性からよむ江戸時代―生活の現場から』(岩波新書、2020)

     藤野裕子『民衆暴力』(中公新書、2020)

相澤教授は今回二冊の本について紹介されました。『性からよむ江戸時代』は村に生きた人々のセクシュアリティーを解き明かしていく本です。特に当時の裁判記録から例を挙げて日本史を解き明かしていくという内容になっています。

 『民衆暴力』は百姓の一揆などに始まる集団で起こった事件を著者が客観的に分析した本です。例えば関東大震災の朝鮮人虐殺。勝手なイメージや偏見で民衆が動いてしまったことについて深く取り上げられていました。

 真実味の無い噂でも大人数が訴えていると本当のことのように聞こえてしまうという恐ろしさを私は改めて感じました。コロナにおいても様々なデマが飛び交いましたがただその情報を鵜呑みにするのではなく自分なりに調べることが大事だと思いました。

Tさん:大森正司『お茶の科学』(講談社ブルーバックス、2017)

 この本は紅茶やお茶についての歴史や淹れかた、種類などを説明しています。お茶の渋みが酸化すると紅茶になることやお茶の良し悪しは渋み、旨味、苦みの三つの要素で決まることなどお茶についての興味を深めるのにおすすめの本です。

Tさんはもともとお茶を飲むことは少ないと言っていましたがこの本を読んでお茶について多くの面白さを見つけることが出来たと言っていました。

Aさん:本川達雄『ウニはすごい バッタもすごい』(中公新書、2017)

 この本ではウニやバッタをはじめとする無脊椎動物の面白い特徴について説明されています。浅利の殻を閉じているキャッチ筋やナマコは危険時、内臓を吐き出して逃げることなど新しい発見に巡り合える一冊です。

Yさん:近藤雄生『旅に出よう』(岩波ジュニア新書、2010)

 この本は色々な国に旅行した著者が経験したことや驚いたことについてまとめられたものです。特にオーストラリアにあるハットリバー公国を建てた人の話がYさんの印象に残ったそうです。コロナの影響で現在は無くなってしまったそうですが、50年近く個人の国家が続いたことに驚いたそうです。

Mさん:デイビッド・T・ジョンソン『アメリカ人のみた日本の死刑』(岩波新書、2019)

 この本の著者はアメリカの人です。日本の司法は本当に慎重な制度であるのかアメリカと比較して分析していきます。日本の裁判は当日にならないと詳細がわからない秘密主義であり検討する時間が限られてしまうのに慎重な裁判になることはないだろうと批判しています。このように日本とアメリカの対比から死刑になるまでの流れを追っていく本です。

Nさん:奥田昌子『欧米人とこんなに違った日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス、2016)

 この本は国によって病気の発症率や抑え方が違うことを統計に基づき分析していくものです。例えばアメリカは肺、気管支のがんの発症率が高く、理由としては肥満と喫煙者の人数が多いことを挙げています。一方日本人は大腸がんや胃がんの発症率が高いそうです。どうすれば発症率を抑えられるかなどは書いていなかったそうですが、現状を知りたい人にとっては興味深いデータが載っている本です。

Iさん:岡本真一郎『悪意の心理学』(中公新書、2016)

 この本は言葉や会話に宿る誤解や悪意について説明しています。その誤解や悪意は故意に起こすものではなく意図せずに悪い意味になって伝わってしまうことを指しています。主に二つの要素から失言が発生しやすいと言われています。一つ目は「透明性錯覚」です。相手に自分の心の中のことを伝えようとするときに実際よりも正確に伝わっていると過大に評価しやすいことです。二つ目は「マジックミラー錯覚」です。自分の発言に対して他人は気づかないだろうと感じてしまうことです。自分も見えないから相手も見えないだろうと考えることです。以上の二つの要素から誤解や悪意は生じてしまうそうです。Iさんはそのことをふまえ、相手の視点に立って考えることの重要さを改めて感じたと言っていました。


 次週は新書報告ではなくグループワークの予定です。そこでも新書にはない新しい発見が出来ると楽しみにしています。ここまでありがとうございました。