2018年7月4日水曜日

2018年度 第11回ゼミ

 ゼミ生のOです。第11回ゼミを行いました。今回は、前回鑑賞した増村保造監督『妻は告白する』(大映、1961年)から、各自が読み取った事をディスカッションしました。後半は、教科書『はじめよう、ロジカル・ライティング』を読みました。

 映画のディスカッションでは、最初にゼミ生で映画のストーリーを確認しました。ストーリーを確認した上で、それぞれが感じた事・気になった事などを中心に話しました。その中で、注目した点として「男性中心主義」が上げられます。昭和30年代は、今以上に女性が社会で自立するのは難しい時代でした。主人公の彩子が滝川亮吉と結婚したのも、結婚して経済的に安定した生活を営む為でした。二人の結婚生活では、仕事と趣味の登山を楽しむ亮吉に対して、彩子は家事に追われていた。そんな「愛」のない生活を送っていた彩子が、男性に愛されたいと思うのは必然とも読み取れます。
 
 また、彩子と幸田(後に愛人関係となる)の恋愛関係もこの映画の見所です。最初は相談相手だった幸田に対して、次第に恋愛感情を抱く彩子。裁判では、夫を殺していないと無実を主張し続けた彩子に対して、幸田は無実だと信じて彩子をサポートし続けた。しかし、裁判後に彩子が幸田にだけ真実を告白すると、幸田は彩子から距離をとるようになる。そのショックから彩子は自ら命を絶ってしまう。
 
 幸田は、彩子の悩みを聞き入れて精神的に支えた良い人という見方ができる。一方、きれい事ばかり言っていた幸田は、結果的に誰も幸せにできなかったという見方もできます。この映画での幸田の評価は、人によって様々でした。
 
 今回は、本ではなく「映画」を読みましたが、同じ一つの映画作品でも人によって気付いた場面や感じ方に違いがあるのは面白い事だと感じました。この映画からは、男性と女性の立場や金と愛といった人間が持つ欲望を写し出しています。2018年の日本では、少しずつ男女平等へと動いていますが、性別による役割の違いがまだあります。半世紀以上も昔に制作された映画でも、現代社会と関係している問題を見つけるのは、面白い映画の見方だと感じました。

 授業の後半には、教科書を使って「主張」の書き方を学びました。意見文を書く上では、自分の意見(相手を納得させる)である主張がなくてはなりません。その中で大切なのが、「事実」と「意見」を区別する事です。区別する事によって、正確な情報を提示し、相手の信頼を得る事ができます。

 今回学んだ事は、レポートや議論をする時に、自分の意見を主張して相手に理解してもらう為に必要だと感じました。私自身、普段レポートなどを書く時に、事実と意見を区別しないで書いてしまう事があるので、今回学んだ事を活かしていきたいです。