2018年5月11日金曜日

2018年度第4回ゼミ

ゼミ生のNです。

第4回のゼミ活動の報告です。内容は、前回の講義の際に各自が選んだ新書をそれぞれ順に発表するものでした。

最初の発表者は相澤先生です。坂本尚志さんの『バカロレア幸福論 フランスの高校生に学ぶ哲学思考のレッスン』(星海社、2018)という幸福論についての新書を紹介されました。「フランス人は日本人より幸福を感じている割合が多い」という切り口から、その理由や教育システムについて概要を説明し、分析する本でした。「幸福とは何か」。これを考え出すと答えが無数に存在するため、答えにくい問題であると思われます。日本人が最も苦手とする部類の問題であるように私には感じます。しかし、この本によれば、フランス教育は、このような問題を高校教育から取り入れており、人々は自律的に考える習慣を身に付けています。発表を聞いていて、日本とフランスとの「幸福」に対する解釈の違いとともにその背景にある教育システムの違いについても興味が沸きました。

次の発表者は、Rさんです。佐藤洋一郎さんの『食の人類史ーユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧』 (中公新書、2016)という「食」と「人類史」をテーマにした新書を発表されました。一見、「食」と「文化」は何らかの関係性を見出せるが、それが「思想」にまで強い影響を及ぼすことに至るまでは想像が付かなかったです。また、個人的には、和食文化と風土の関わり合いが意外で、大変興味深かったです。「食」1つ取っても学ぶ点が多いことに感心しました。ファーストフードや洋風レストランの登場により、食生活が大きく変化し、それと同時に「食」に対する意識も低下してきている現代。そんな、現状に警鐘を鳴らしているように聞いていて感じました。

次の発表者はこのブログの筆者、Nです。私は、鈴木亘さんの『社会保障亡国論』(講談社現代新書、2014)について発表しました。日本の社会保障の実態をデーターとともに詳細に説明しており、非効率な社会システムについて危機感を感じました。

次の発表者はOさんです。西永良成さんの『レ・ミゼラブルの世界』(岩波書店、2017)を発表されました。物語の時代背景や現代社会にも通じる問題意識、テーマなどを詳しく説明されていました。フランス文学の代表とされる「レ・ミゼラブル」。今に至るまで多くの人に語り継がれるワケ、それは貧困、自由、平等など今も昔も変わらない永遠のテーマに対する鋭い哲学的観点があったからこそだと発表を聞き感じました。私も学生の内に読んでおきます。

最後の発表者はKさんです。安部博枝さんの『自分のことがわかる本』(岩波書店、2017)というポジティブに物事を考える精神論を解説する新書でした。自己理解のツールとしてポジティブアプローチを紹介していました。また、物事を悲観的に捉える「認知の歪み」について10個のパターンが挙げられていました。内容に関しても簡潔にわかりやすくまとめられ、資料の構成などもよかったです。私自身、悲観的な人間なので個人的にこのような本を紹介はありがたいです。

以上が発表の報告です。新書の発表は非常に有意義だと思います。本をただ読むのと発表に向けて読むのとでは全然違うと思います。人に発表するためには、より深く本について知らなくてはならない上、資料作りの為に何度も本を読み返す。それにより、本に対する理解度が高まっていく。このような過程を経るため、本を人に発表する事には多くのメリットがあります。今後も頑張っていこうと感じました。
最後に、各自発表した書籍は以下の通りです。

相澤先生:坂本尚志 『バカロレア幸福論 フランスの高校生に学ぶ哲学思考のレッスン』 星海社 2018
Rさん:佐藤洋一郎 『食の人類史ーユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧』 中公新書 2016
N:鈴木亘 『社会保障亡国論』 講談社現代新書 2014
Oさん:西永良成『レ・ミゼラブルの世界』 岩波書店 2017
Kさん:安部博枝 『自分のことがわかる本』 岩波書店 2017