こんにちは。経営学部4年のCです。10月下旬であっという間に寒くなり、冬を感じさせる季節となりました。皆さん、季節の変わり目にはくれぐれも体調をお気をつけください。ちなみに、個人的な話になりますが、秋服を揃えたのに直ぐに冬が来てしまったことにショックを感じています。衣替えの季節でもありますが、皆さん暖かい格好をしてお過ごしください。
さて、今回はD班による後期2回目の新書報告です。
Eさん:三宅香帆『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』新潮新書、2025年
本書は、話が面白い人の会話の技術とそれを活かした著者のエピソードトークで構成されています。
まず、タイトルにもある通り、『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』について著者は5つの観点を提示してくれました。その5つとは、比較、抽象、発見、流行、不易です。「比較」は作品と他の作品の比べることで、「抽象」はテーマを言葉にすることを指しています。言語化すると言った方が分かりやすいかもしれません。また、「発見」は作品において新たな発見をすること、「流行」は時代の共通点を見つけることを指しています。最後に、「不易」は普遍的テーマとして語ることを指していますが、具体的にはあるジャンルの作品(映画など)を観ていると、ある程度展開が読めてくるそうです。ですので、作品におけるテーマの共通点は何かと考察することが挙げられます。
また、著者は「作り手が何を伝えようとしていたのか」を考えるための鑑賞ノートを作ることをオススメしていました。自分の解釈を通すことで、同じ作品を二度楽しめるようになるそうです。
報告を聞いて私は、『「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか』の回答として、話し手の喋り方よりも感じ方に焦点を当てている内容だと思いました。確かに、「何をどう話しているのか」ではなく、「何をどう読んでいるのか」というタイトルですので、作品における感じ方、考え方の技術を学ぶものだと納得できました。また、鑑賞ノートはこれから実際に行ってみたいと思いました。
Yさん:伊藤公一郎『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』光文社新書、2017年
本書は、データ分析の手法と思考法に関する内容となっています。
その中で、相関関係を因果関係のごとく報道するニュースや操作されたデータに惑わされないように、データ分析は詳しく理解する必要があると著者は述べていました。
また、具体的なデータ手法としてRCT(ランダム化比較試験)があります。RCTとはその名の通り、ランダムにデータを抽出しその平均を求めることを指します。
このデータ手法を行う前提として、同じ時間、タイミングで二つの検証はできないことが挙げられます。(実際は、一つの実験を行ってから時間を巻き戻して別の実験をするのが理想的ではあるか事実上不可能です)
その故に、ランダムにデータを抽出し平均を算出することでより正確なデータを得ようとしています。ただ、問題点としてお金と手間がかかることが挙げられるそうです。
このコストがかかる問題点を解決するために生まれたのが、RDデザインという手法です。
RDデザインは、場を用意するのではなく、用意された場で実験を行うことを指します。これにより、自然に場が用意されているのでお金や手間をかけずに検証を行うことが可能になります。しかし、問題点としてランダムではないので反論の余地は残されているそうです。
発表では二つのデータ分析を挙げていましたが、データは簡単に信用してはいけないと著者は述べていました。
報告を聞いて、相関関係と因果関係の話は私自身気をつけなければならないと感じました。例えば、頭が良い人は勉強を沢山しているかについて考えてみると、確かに勉強量と学力は比例しているように見えます。しかしながら、実際はその勉強量を実現するために親の経済力や周りの環境が重要である可能性があると思いました。
相関関係を因果関係のように解釈してしまうことは、一見すると根拠のあるように見えますが、実は偏見なのかもしれないと私自身気付かされる発表でした。
Cさん(私)の報告:笹原宏之『謎の漢字』中公新書、2017年
本書は謎の漢字について研究された本です。パソコンやスマホの電子機器で打つことのできる漢字は全てJIS漢字に登録されています。このJIS漢字を詳しく調べてみるとどこで使うか分からないような漢字も存在します。ではなぜ、このような漢字がJIS漢字に登録されているのか、本書の第一章ではそれを解説しています。
「嫐」という漢字は「うわなり」と読みますが、この漢字はなぜJIS漢字に登録されているのでしょうか。
その理由は、ある地名に使われているからです。熊本県にある「嫐迫(わなんざこ)」に使用されているそうです。この「わなん」という読みは「うわなり」が訛って、誕生した読みでこの地名以外に使用された用途はありません。
このように、ほとんどの謎めいた漢字はある地名で使われているからこそ、文字化けしないようにJIS漢字に登録されているそうです。
本書を読んで私は、漢字は調べれば調べるほど奥が深いと感じました。本書では幽霊文字や方言漢字、則天文字も取り上げていましたが、流石に漢字自体の歴史が深いだけあって情報がいつまでも完結しない実感がありました。
しかし、学びがいがあるコンテンツなので、私からもオススメします。余談ですが、漢字が好きな人は「漢字でGO」というゲームがあるので、そちらも併せてやってみてください。
次回は「みんなで同じ本を読む回」になります。