こんにちは。経営学部3年のMです。朝晩の冷え込みが少しずつ強まってきましたね。体調を崩しやすい時期ですので、どうかお身体に気をつけてお過ごしください。今回はE班による新書報告を紹介します。
Hさん 中野円佳『教育にひそむジェンダー』ちくま新書、2024年
本書は、多様性を尊重する社会的な流れと、日常生活にいまだ根強く残る性別に関する偏見や固定観念との乖離を、教育の観点から考察した一冊です。
著者によると、人は生まれてから成長する過程で、親や社会から無意識のうちに性別によるイメージを刷り込まれていくといいます。Hさんはその例として、小学生のランドセル選びを挙げました。「男の子がピンクのランドセルを選ぶのは変だ」という社会的イメージはいまだに残っており、Hさん自身も希望した色を両親に反対された経験があるそうです。
さらに、性別による大学進学への親の期待の違いについても触れました。古い考え方ではありますが、「女性は家庭に入るのだから大学へ行く必要はない」といった価値観が今も一部に存在しており、Hさんの身近にもそうした考えを持つ親のもとで育った友人がいるといいます。
私は、幼いころからの周囲の言動や環境が、本人の進路や自己イメージの形成に深く影響することを改めて感じました。Hさんの発表を通して、多様性を実現するためには、こうした無意識の偏見を自覚し、見直していくことが大切だと強く思いました。
Kさん 岡田尊司『不安型愛着スタイル』光文社新書、2022年
不安型愛着スタイルとは、他人からの評価を過度に気にしたり、親しい人が自分から離れていくことを強く恐れる心理的傾向を指します。愛着スタイルにはいくつかのタイプがあり、それらは幼少期の親との関わり方によって形成されるといわれています。不安型愛着スタイルの人は、男性で約15%、女性で約20%とされています。
この傾向の原因の一つとして、親との関係が挙げられます。遺伝的な影響もあり、不安型愛着スタイルの子どもの親自身も、同じ傾向を持つ場合が多いそうです。特に0〜2歳の時期に、親から十分な愛情を受け取れないと、不安型愛着スタイルになる可能性が高まるといわれています。オキシトシン(愛情ホルモン)のバランスが崩れることで、分離不安や「人が離れていくのではないか」という不安にとらわれやすくなるそうです。
予防や改善の方法としては、完璧を求めすぎないことや、親以外にも安心できる「安全基地」を見つけることが大切だとされています。
Kさんの発表を聞き、将来もし自分が親になる時には、子どもとの関わり方に大きな責任が伴うことを改めて実感しました。
Iさん 三好彰『花粉症を治す』PHP新書、2003年
本書は、花粉症の概要やその症状を和らげるための対策についてまとめられた一冊です。
花粉にはアレルゲンと呼ばれる成分が含まれており、それが体内に入ると免疫が反応し、くしゃみや鼻水といった症状を引き起こします。花粉症は正式には「アレルギー性鼻炎」と呼ばれています。
日本では、約60種類の花粉が花粉症の原因として報告されています。一般的に知られるスギやヒノキのほか、イチゴやピーマンなどの植物も原因となる場合があるそうです。日本のスギの多くは、戦後に木材需要の高まりを受けて植林されたものです。山の保全や住宅建設のために安価で生産しやすいスギが選ばれたことが、その背景にあります。
花粉症の対策で最も重要なのは、花粉との接触をできるだけ減らすことだとされています。具体的には、花粉症対策用のマスクを着用したり、髪に花粉が付きやすい長髪の人は帽子をかぶるなどの工夫が効果的です。Iさん自身も花粉症に悩んでおり、花粉症マスクを試してみたいと話していました。
今回の報告では実生活に基づいたものが多く、聞いていてためになるものが多いと感じました。次回はF班の新書報告です。