2017年11月16日木曜日

2期 第6回、7回ゼミ

担当教員の相澤です。第6回、7回ゼミでは、いつもとは趣を変えて、映画を「読み」ました。

本ゼミでは、毎回、文章を正確に読む訓練をしています。しかし、「読み」の対象は本だけではありません。映画作品が映像を通して何を表現しているのかを正確に理解するためには、映像や作品全体を「読む」訓練が必要です。そこで、今回はマルジャン・サトラピ監督の『ペルセポリス』という映画を見て、この作品が伝えようとするメッセージをみんなで読み取ることにしました。

『ペルセポリス』は、イランとヨーロッパを舞台に、マルジというイラン人女性の成長を描き出す作品です。イラン革命とイラン・イラク戦争で大きく変化する幼年時代、ヨーロッパへ留学し異文化の中で生きる思春期、そしてヨーロッパからイランに帰って大人としての一歩を踏み出すまで、と主に三つの場面から成り立っています。

ヨーロッパでもイランでも、マルジは友人に囲まれ、社会や文化に溶け込んだ生活をしているように見えます。しかし、彼女はヨーロッパにおいても祖国イランにおいても自分を「異邦人」と感じると言います。私は、この気持ちが一体どこから生じるのかをゼミ生に考えてほしいと思いました。というのも、私自身、ヨーロッパで二年暮らしながら「異邦人」であると折に触れて感じずにはいられなかったからです。「異文化共生」という言葉をしばしば耳にする昨今、それは一体どういうことなのか、あるいはどれほどの難しさを伴うことなのかを映画を通じて改めて想像してほしかったのです。

「ペルセポリス」は私の大好きな作品の一つで、公開以後(初めてフランスに留学している最中に映画館で見たのが最初)、何度も見返し、何度も涙している、言わばすでに十分に味わい尽くしている作品です。にもかかわらず、今回若い学生と一緒に感想を話し合う中で、さらに新たな気づきを得ることができました。学生も、他のゼミ生や私と語る中で気づきがあったと思います。いい映画はいい本と同様、語る価値がある!語るって面白い!ということをゼミ生が体験してくれたとしたら、授業をやった甲斐があるというものですが、どうだったでしょう?