2017年6月28日水曜日

第9回、第10回ゼミ

担当教員の相澤です。休講を挟んで、少し更新の間があいてしまいました。第9回、第10回ゼミの活動を報告します。二回の授業では「映画を読む」をテーマに、「ズートピア ZOOTOPIA」という作品をみんなで読み解きました。

まず第9回授業で「ズートピア」をみんなで鑑賞しました。昨年公開されたばかりのディズニー映画なので、ご覧になった方も多いかもしれません。ズートピアは、「肉食動物と草食動物が平和に暮らし、皆が夢を追うことができる街」です。そんなユートピアのような街に事件が起きて、主人公のうさぎ警官ジュディが事件を追ううちに…ネタバレしては面白くないので、ここでやめておきます。

この作品は動物たちを主人公にした子ども向けの映画のように一見見えますが、現代社会を批判する強いメッセージが込められています。私は、そのメッセージとは何か、どこからそれが読み取れるのかを次回発表することを課題として、鑑賞するように指示しました。学生は、物語と映像を楽しみつつ、こまめにメモを取りながら鑑賞しました。

さて、続く第10回の授業では、どんなストーリだったかをみんなで確認した後、ゼミ生各自が読み取ったメッセージとその根拠を発表しあいました。みんなで読み取ったのは次の二つのメッセージです。まず第一のメッセージは、肉食動物と草食動物の対立は私たちが生きる現実の社会の差別のメタファーであり、それを批判しているというものです。私が「ズートピア」を公開時に見たときに理解したメッセージも、これでした。

もう一つ学生たちが指摘してくれたのは、正義感に溢れた主人公ジュディが、実は自分の中の偏見や狭いものの見方、閉じた価値観に囚われていることに気づき、そこから一歩踏み出す成長物語として作品を捉える解釈です。すなわち、観客に対して、自らを振り返り、気づかないうちに自分と違うものに閉じてしまっていないかと問いかけるメッセージが読み取れるというわけです。

実は私は、この二つ目のメッセージを読み取るにいたっておらず、学生たちの指摘を聞いて、なるほど!とすごく納得したのでした。授業を通して、私自身が学生に教えられるとともに、もう一度「ズートピア」をじっくり見直したくなりました。

 いつもは本を読んで議論をする相澤ゼミですが、映画も本と同じように様々な理解、解釈が可能です。映画を見るのは楽しい、そしてあーだこーだ議論するのもすごく楽しい、そして議論を通して新たな発見が得られる。これが今回の授業を通しての、私から学生へのメッセージです。伝わったかな?