こんにちは、現代法学部3年のIです。今回、初めてゼミブログを担当させていただきます。人生で一度もブログを書いたことがなかったので、とても良い機会に巡り合えたと思っています。今回はC班の新書報告です。
Tさん 『発達障害児を育てるということ』光文社新書、2023年
本書は、自閉症を持つ子とその親の約15年間ほどの経験が語られています。自閉症とは、一般人より物事へのこだわりが高いこと、コミュニケーション能力が低いという特徴があります。こだわりについては、例えば、自分の遊びに関して気に入らないことがあれば必ず始めからやり直したり、朝はチョコを食べるなどという「偏食」があるそうです。
Tさんが特に言及していたのは、本書で登場する自閉症の子供は軽度の自閉症という点です。軽度の場合、周りに自閉症があることが気づかれにくいことがあるそうです。また、全く言葉が話せないような重度の場合よりも、受けられるサービスが少ないということでした。
報告を聞いて私は、これからは重度の自閉症だけでなく、軽度の自閉症も社会的に目が向けられていくといいなと思いました。
Iさん 小林武彦『生物はなぜ死ぬのか』講談社現代新書、2001年
本書は、地球史をロングスパンで振り返ることによって、有性生殖である生物の「死」のメカニズムを辿ろうとします。
簡単にまとめると、生物は環境に適応してきた個体が生き残ります。その他の(古い世代の)個体はいらないものとして考えられ、生物は多様性を生み出すために存在するということです。
多様性に関してIさんは「ポケモン」を使ってわかりやすく説明してくれました。通常ポケモンは成長すると進化するものです。しかし、地球上の生物には進化が起こりません。その個体はその個体のまま環境に適応していくことで地球上に存在し続けることができます。それぞれの生物がその個体なりに地球の環境に適応し、存在することこそ多様性であるそうです。
私が特に気になった点は、Iさんが無性生殖の生物が存在している理由に言及していた点です。有性生殖の生物は環境に適応して存在していることに対して、無性生殖はたまたまその環境に適合しているだけで実際には環境の変化に弱いということです。
とても難しい内容でしたが、本書は「死ぬ」ということより「存在すること」「繁栄すること」を重視していると感じました。
Sさん 齋藤孝『頭がよくなる要約力』ちくま新書、2022年
本書は、要約することの大切さや、著者なりの要約力の技術、トレーニングについて論じています
まず、著者の持論として要約力は生きていくことに直結していて、要約力は仕事にも関わっています。さらに要約が苦手なら不幸になるとも論じられています。
上手く要約するためには最初の説明を長くしすぎない、結論から書く、比較をすることなどが重要だと述べられています。
私が特に気になった点は、著者は読んだ本を30秒で簡潔に伝えるという「30秒トレーニング」を要約力向上の実践としてあげていたことです。相澤ゼミでは1人につき約5分間の新書報告時間が設けられますが、30秒で一冊を紹介することというのは、さらに要約力が必要になるなと感じて機会があれば実践してみたいと感じました。
Mさん 小川洋子『物語の役割』ちくまプリマー新書、2007年
本書では、小説家の小川洋子が、自らの小説がどのような過程を経て成立していくのか論じています。
小川によれば、物語を創り上げていく上で、意識しなくてはいけないことは物語には最初からテーマが存在しないということです。小川自身は、物語には「キーワード」が多数存在し、その「キーワード」をつなぎ合わせていきながら、自分で想像して創り上げられていくそうです。小川のイメージとして、まず「キーワード」が映像で浮かぶと論じられていて、「言葉」は遅れてやってくるそうです。
本当に悲しいことや辛いことがあった時に人間は嗚咽を漏らしたり無言になるため、そのことを言葉には表せません。そのような悲しみや辛さを1枚でなく何十枚もかけて「言葉」で表すことができるのが物語であると聞いて、私は物語の役割が少し理解できたような気がしました。
今回も多種多様な新書報告を聞くことができました。特に「要約力」や「本のキーワード」など今後の相澤ゼミの活動に生かせそうな話もあり、とても有意義な新書報告となりました。次回はA班の新書報告です。