2025年5月28日水曜日

2025年度 前期第7回

 こんにちは。経営学部2年のSです。今回初めてブログを書きました。今回は自分も発表し、ブログも書いた回となりました。A班の新書報告です。


Eさん 竹下大学『日本の果物はすごい』中公新書、2024年

Eさんが紹介してくれたのは、私たちが普段当たり前のように食べている果物の“歴史”を掘り下げた一冊です。実は、私たちが身近に感じている果物の多くは、明治維新以降に日本へ伝わってきたもので、当時はとても貴重な存在でした。今で言えば「宝石」のような希少品だったというのは、驚きでした。

さらに、人間の舌は30度±5度の範囲で最も甘みを感じやすく、温度が低くなるほど甘みを感じにくくなるそうです。桃などは冷やさない方が甘さを感じやすく、逆にリンゴや梨、さくらんぼ、スイカといった、果実に含まれる単糖類の一種の果糖をあまり含まない果物は冷やした方が美味しく感じられるとのこと。

こうした知見をふまえることで、果物をより深く楽しんでもらいたいというのが著者の狙いです。Eさん自身も、「果物を見る目が変わった」と語り、非常に新鮮な読書体験だったようです。

報告を聞いて、私がこれから食べる果物はより甘く、歴史に思いを馳せて食べられそうです。


Kさん 野村浩子『女性リーダーが生まれるとき』光文社新書、2020年

Kさんが紹介した本は、日本の女性社長や幹部たちの成功体験を通して、女性がリーダーになることの難しさとその背景を明らかにした一冊です。本書の中では、なぜ女性がリーダーに向かないとされがちなのか、その理由として「リーダーらしさ=男性らしさ」という固定観念が指摘されています。

たとえば、リーダーに求められる「責任感」「行動力」「説得力」などの資質が、無意識のうちに男性的な特徴と結びつけられているそうです。そのため、女性が同じように振る舞っても“違和感”として捉えられることがあるといいます。著者は、今こそリーダー像の多様化が求められていると主張しています。

Kさんはこの本を読んで、「女性はリーダーになる能力が劣っているのではなく、社会の構造や思い込みがそれを妨げているだけだ」と気づき、大きく勇気づけられたと話していました。

報告を聞いて、女性のリーダーが少ない理由には目から鱗でした。男女で公平な社会が目指されている一方で、まだまだ整備が追いついていないことを実感しました。

どちらの本も、私たちが当然と思っている日常の中に潜む「前提」や「バイアス」を見つめ直すきっかけを与えてくれるものでした。読み終えたとき、自分の視界が少しだけ広がったように感じられる、そんな2冊でした。


私Sも報告しました。本の内容紹介は省略して、報告してみての感想を記したいと思います。今回報告してみて、やはり新書報告は難しいと感じました。限られた時間で本の内容や構成を伝えつつ、有用な情報と自分の感想を伝えなくてはいけません。そのためには、本をよく読むことももちろん、報告を見据えて準備する必要があります。新書報告は難しいですが、難しいからこそ普段の読書と一味も二味も違う味わい深い読書だと思いました。

2025年5月14日水曜日

2025年度 前期第6回

こんにちは、現代法学部3年のIです。今回、初めてゼミブログを担当させていただきます。人生で一度もブログを書いたことがなかったので、とても良い機会に巡り合えたと思っています。今回はC班の新書報告です。


Tさん 『発達障害児を育てるということ』光文社新書、2023年

本書は、自閉症を持つ子とその親の約15年間ほどの経験が語られています。自閉症とは、一般人より物事へのこだわりが高いこと、コミュニケーション能力が低いという特徴があります。こだわりについては、例えば、自分の遊びに関して気に入らないことがあれば必ず始めからやり直したり、朝はチョコを食べるなどという「偏食」があるそうです。

Tさんが特に言及していたのは、本書で登場する自閉症の子供は軽度の自閉症という点です。軽度の場合、周りに自閉症があることが気づかれにくいことがあるそうです。また、全く言葉が話せないような重度の場合よりも、受けられるサービスが少ないということでした。

報告を聞いて私は、これからは重度の自閉症だけでなく、軽度の自閉症も社会的に目が向けられていくといいなと思いました。


Iさん 小林武彦『生物はなぜ死ぬのか』講談社現代新書、2001年

本書は、地球史をロングスパンで振り返ることによって、有性生殖である生物の「死」のメカニズムを辿ろうとします。

簡単にまとめると、生物は環境に適応してきた個体が生き残ります。その他の(古い世代の)個体はいらないものとして考えられ、生物は多様性を生み出すために存在するということです。

多様性に関してIさんは「ポケモン」を使ってわかりやすく説明してくれました。通常ポケモンは成長すると進化するものです。しかし、地球上の生物には進化が起こりません。その個体はその個体のまま環境に適応していくことで地球上に存在し続けることができます。それぞれの生物がその個体なりに地球の環境に適応し、存在することこそ多様性であるそうです。

私が特に気になった点は、Iさんが無性生殖の生物が存在している理由に言及していた点です。有性生殖の生物は環境に適応して存在していることに対して、無性生殖はたまたまその環境に適合しているだけで実際には環境の変化に弱いということです。

とても難しい内容でしたが、本書は「死ぬ」ということより「存在すること」「繁栄すること」を重視していると感じました。


Sさん 齋藤孝『頭がよくなる要約力』ちくま新書、2022年

本書は、要約することの大切さや、著者なりの要約力の技術、トレーニングについて論じています

まず、著者の持論として要約力は生きていくことに直結していて、要約力は仕事にも関わっています。さらに要約が苦手なら不幸になるとも論じられています。

上手く要約するためには最初の説明を長くしすぎない、結論から書く、比較をすることなどが重要だと述べられています。

私が特に気になった点は、著者は読んだ本を30秒で簡潔に伝えるという「30秒トレーニング」を要約力向上の実践としてあげていたことです。相澤ゼミでは1人につき約5分間の新書報告時間が設けられますが、30秒で一冊を紹介することというのは、さらに要約力が必要になるなと感じて機会があれば実践してみたいと感じました。


Mさん 小川洋子『物語の役割』ちくまプリマー新書、2007年

本書では、小説家の小川洋子が、自らの小説がどのような過程を経て成立していくのか論じています。

小川によれば、物語を創り上げていく上で、意識しなくてはいけないことは物語には最初からテーマが存在しないということです。小川自身は、物語には「キーワード」が多数存在し、その「キーワード」をつなぎ合わせていきながら、自分で想像して創り上げられていくそうです。小川のイメージとして、まず「キーワード」が映像で浮かぶと論じられていて、「言葉」は遅れてやってくるそうです。

本当に悲しいことや辛いことがあった時に人間は嗚咽を漏らしたり無言になるため、そのことを言葉には表せません。そのような悲しみや辛さを1枚でなく何十枚もかけて「言葉」で表すことができるのが物語であると聞いて、私は物語の役割が少し理解できたような気がしました。

今回も多種多様な新書報告を聞くことができました。特に「要約力」や「本のキーワード」など今後の相澤ゼミの活動に生かせそうな話もあり、とても有意義な新書報告となりました。次回はA班の新書報告です。

2025年5月7日水曜日

2025年度 前期第5回

こんにちは。経済学部4年のEです。桜は立派に咲き誇る割には散るのがとても早いです。「季節の移ろいを感じますね」とか書きたかったのですが、それよりも書きたかったことはまた今回もわたしが代打でブログに登場したことです。代打の神様の称号くらい欲しいものです。

今回は、B班による新書報告です。 


Iさん 三瓶恵子『女も男も生きやすい国、スウェーデン』岩崎ジュニア新書、2017年

男女平等政策がここ30年で大きく進み、今も日々更新中のスウェーデン。本書では、保育園や学校、企業を例にどのように取り組んでいるのかを具体的に紹介しています。

なぜスウェーデンが男女平等だと言えるか、理由は大きく分けて2つあります。一つ目は労働市場への女性の参加が進んでいることです。スウェーデンでは、かつて女性の就業率が低かったものの、大規模な経済発展を背景に女性の正規雇用が増え、低賃金の問題も改善されました。これにより、女性が働きやすい環境が整えられてきたことが分かります。二つ目は、女性の政治参加が進んでいることです。スウェーデンでは議会における女性議員の割合が高く、政党の選挙リストを男女交互に並べるように工夫されています。これが女性の政治進出を後押ししています。また、スウェーデンでは結婚や離婚がしやすく、子どもがいても結婚しないカップルが見られます。男性も女性も、結婚に関係なく個人として経済的に自立することが社会的に奨励されています。これもまた男女平等の実現に貢献しているといえます。

Iさんは、この本を読んで「日本もスウェーデンから学べることがある」と感じたそうです。Iさんがおっしゃるように、スウェーデンから学んだことを実現できる時が来れば、いつか日本もジェンダー後進国と呼ばれる現状を打開できるかもしれません。


Hさん 中谷内一也『リスク心理学』ちくまプリマー新書、2021年

本書にはリスクと心理学の関係性が書かれています。リスクとは「これから先起こるだろう望ましくないこと」、簡単に言えば「起こってほしくないこと」です。リスクは二つの要素で構成されています。それは、「不確実性」と「深刻度」です。前者は望ましくないことが起きる確率や可能性、後者はそれ自体の望ましくなさを意味します。リスクの大きさを求める事をリスク評価といいます。リスク評価が正しかったとしても、特定個人の未来を断定することはできません。正解がないのです。本書では他に、感情と合理性の衝突やリスク評価の基準、最新の研究成果を紹介しています。

わたしはよく、新しいことを始めるときに悩みます。アルバイトや部活といった、既に成立した共同体の中に入ることが怖いからです。わたしにとって起こってほしくないことは、共同体の中で仲間外れになることです。この現象の深刻度を数値化すれば、わたしにとってかなり高い数字を弾き出すでしょう。しかし、よく考えてみると人間は結局1人なのです。集合や共同体もあくまで1人の人間のかたまり。分かり合っているようで全然分かり合えていなかったり、1人じゃないように振る舞っているだけだったり。そう考えると、意外とたいしたことはないです。(以前聴いたラジオの受け売りですが。)もしかしたら自分で勝手に悩みや心配事を深刻にしているだけかもしれません。皆さんにとっての「望ましくないこと」はなんですか?


Cさん 小塩真司『性格とは何かーよりよく良く生きるための心理学』中公新書、2020年

本書の目的は、性格とは何なのかを知ることです。性格には類型論、特性論があります。類型論は、星座占いやMBTIなどいくつかの大きなカテゴリーに分けて特徴を把握しようとする手法です。それに対して特性論は、詳細な特徴を捉えていきます。

性格の特性を把握する特性論の代表的なものに、5種類の項目で構成されたビッグ・ファイブ分析があります。

①    「外向性」…外部との関連性を持つ程度を指す

②    「神経症傾向」…不安や怒り、抑うつや悲嘆などの否定的感情の感じやすさを示す

③    「開放性関心」…関心の広さや新しい経験への反応を示す

④    「協調性」…社会的な調和や共感力を示す

⑤    「勤勉性」…計画的に物事を進める度合いや誠実さを示す

参考 

https://www.bing.com/search?q=ビッグ・ファイブ分析&qs=n&form=QBRE&sp=-1&ghc=1&lq=0&pq=ビッグ・ファイブ分析&sc=9-10&sk=&cvid=B183453A2CCB41989E9E5555D1E01DE2

『嘘』を見抜いて自己分析! | ビッグファイブ性格診断【BIG5-BASIC】

本書ではこれらの分析を基に性格とは何なのかが述べられます。Cさんは、一人一人の性格を知る為にこの本は有益だとおっしゃっていました。

自分の性格を詳細に知っておくのは大事ですよね。わたしなんかは、「ああ、今こういう気持ちの沈み方しているからあれやって切り替えよう。」とか、「こういう人と関わるのは自分に向いていないから、距離感を保とう。」みたいに考え、性格を基に適切な判断を下せるよう心がけています。(年齢を重ねたから出来るようになったからというのもありますが。)

ちなみに、勤勉性とかは努力次第で変えられるみたいですよ。わたしが5種類の中で向上させたい項目は、外向性です。皆さんには向上させたい、もしくは低下させたい項目がありますか?


Sさん 佐藤眞一『ご老人は謎だらけ 老年行動学が解き明かす』光文社新書、2011年

本書では、老人の謎めいた行動を挙げて一つずつ解説しています。謎めいた行動の例として、「記憶は忘れるのに約束は覚えている。」が挙げられます。著者は本書で常に「老人は自尊心とプライドが物凄く高い」と伝えています。

Sさんが注目したのは、「老人はなぜキレやすいのか」です。人間には「主観年齢」があります。実年齢が30歳だとしても、心は常に18歳、ぴちぴちの高校生です!みたいなことです。老人は、主観年齢と実年齢の乖離を起こすのです。約30歳も若く見つもってしまうといいます。実年齢が70歳なら主観年齢は40歳だと思うのです。この点には、良い面と悪い面が存在します。主観年齢が若ければポジティブな気持ちで生活が出来ます。これは良い面だと言えます。反対に悪い面では、例として、車の運転が挙げられます。心が若々しくても実際は老いている。危機察知能力や反射神経も、老いた体では能力が衰えています。自分では普通に出来ているつもりなのに、事故を起こしてしまう。

これが老人の怒りっぽさにどう繋がるか。我々はご老人に対して適切な行動をします。電車なら席を譲ったり、介護施設であれば排泄の援助や口調を赤ちゃん言葉にしたり。老人からすれば、「自分は若いのに何でそういう対応をするのだ」と思うのです。老人の主観と、ご老人を外側から見る我々の間で生じるギャップが怒りを生むのです。

Sさんは、自身がどのような老人になるか気になったみたいです。

わたしは実年齢50歳で免許を返納するくらいには精神を老化させたいです。多少薄毛にでもなれば勝手に精神が老いていくのでしょうか。でも、見た目は若々しくあってほしいです。こう考えると、若作りする事が精神の健全な老化を阻害する要因とも考えられるかもしれません。年を取ると出来なくなることが多くなりますよね。それを受け入れるのってプライドが許さないのかもしれません。人間は、生まれた時に親や保護者の援助を必要とします。1人で生きる為には周りの支えを要します。元々、1人だけではなにも出来ないことを思い出してみるのも良いかもしれません。

 今回は、自分の感想の最後に質問を投げかける形式にしました。そういえば、このブログをゼミ生以外の人は読んでいるのでしょうか。OGやOBの方々が見ていたら、あらゆる手段を駆使して答えてきてほしいくらいです。 

次回は、C班による新書報告です。あっという間の1周です。ご自愛ください。