担当教員の相澤です。今年度一回目の課外活動の報告です。
学期末も近づいた7月15日の夜に、ゼミ生8名ともに読売交響楽団の演奏会を鑑賞してきました。あいにくの雨天でしたが、会場のサントリーホールは賑わっていました。当日の演目は次の通りです。
指揮=シルヴァン・カンブルラン / ピアノ=リーズ・ドゥ・ラ・サール
バーンスタイン:「キャンディード」序曲
ガーシュイン:ピアノ協奏曲 ヘ調
バルトーク:ルーマニア民俗舞曲(弦楽合奏版)
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」
よく知られた曲から少々マイナーな曲まで楽しめるプログラムでした。以下に、参加学生の感想を紹介します。
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終演後に全員集合 |
CSさん:私は普段から音楽を聴いている。しかし、いずれもスマートフォンから流れるようなデジタルで出力したような音である。以前は私もそれで満足していた。オーケストラの生演奏を聴くまではそう思っていた。
今回オーケストラコンサートを聞いて、純粋に音を楽しむことを理解できた。それぞれ楽器から生まれる音に耳を傾けると、その音色が聞こえてくる。何か音で表現している感覚があって、強弱や抑揚から色や感情を伝えているようだった。その演奏は、時に安心感を与え緊張感を与える瞬間もあった。
私は音楽に精通している訳ではないが、ミュージックアプリで聞くような音楽とは全く違うことだけは理解できた。楽器から放たれる音色と音色同士の調和を経て一つの作品を作り出していると感じることができた。
FKさん:今回のコンサートでは、ピアノ、弦楽器、管楽器の3つが組み合わさった素晴らしい演奏を聴くことができました。前半ではピアノと弦楽器、管楽器の掛け合いや、バイオリンをギターのように弾くシーンがあり、楽器に注目して聴きました。後半では、プログラムに書いてある曲の解説文を見ながら、想像を膨らませて聴くことが出来ました。音楽だけでここまで表現出来るのかと驚いた演奏でした。最後のプロムナードでは、今までの演奏を締めくくるような、とても華やかな演奏で、多くの人が聴き入った瞬間だったのではないかと思います。
音楽は、ストーリーを想像させてくれるものだと実感することが出来たオーケストラコンサートでした。
Tさん:今回聴いた曲で最も印象的だったのは、ガーシュインのピアノ協奏曲だ。なぜならクラシックだと思い聴いていたら、いきなりジャズを聴かされたような感覚になったからだ。この曲について調べてみると、クラシックにジャズを取り入れたピアノ協奏曲として有名であり、また、ガーシュインもジャズとクラシックの両面において活躍した人と知った。人並みにクラシックを聴いてきたと思うが、クラシックとジャズが融合した曲は聴いたことがなかった。そうした曲を初めて聴く機会がまさかコンサートでの生演奏になるとは思わなかったので、非常に貴重な体験だった。
Rさん:今回で人生2回目のコンサートでした。前回は曲の内容や表現しているものを把握してから聞きましたが、今回は何も見ずに聞きました。前回と違ったのは、楽器の使い方に気付けたことでした。演奏者によって、同じ楽器でも体の使い方や動きの強弱が違っていて個性を感じました。また、リーズ・ドゥ・ラ・サールさんのピアノには驚きました。ピアノの強く激しい音や、優しく軽い音を使い分けていました。ピアノで聞きやすいなと感じたのは初めてでした。また機会があれば行きたいです。
EKさん:一年ぶりオーケストラ鑑賞でした。ジメジメした嫌な暑さも気にしなくなるほど聴き込んでいました。この形容し難い没頭感。暇な時はスマホをいじったり、アルバイトばかりしている私には、随分と久しく感じました。
ひとつ、後悔していることがあります。それは、冊子を読まずに聴き込んでいたことです。去年は手元に冊子を置いて、楽曲に関する説明を読みながら情景を浮かべていました。集中して聴き込むことが悪いことではないと思うのですが、同時に公式の見解のもと情景を浮かべて鑑賞したほうが記憶には残りやすいと思いました。
後半では「テレビで聴いたことあるなぁ」と、なんともミーハー感丸出しで聴いていました。耽美な雰囲気の下、ミーハー心で音楽に没頭できるのは、我々庶民の特権ではないでしょうか。
休憩時間。私はゼミ生S氏とお手洗いへ向かいました。そこで、私たち2人は驚きの光景を目の当たりにしました。夥しいほどの男性たちが長蛇の列を成していたのです。女性の長い列は想像に難くありません。それ故、男性でのあれほどまでの長蛇の列は初めて見ました。果てしなく続くこの人々の列に圧倒されながらも、前へ前へと進む私たち2人。この列は一体どこまで続くのだ、そして最後尾に着いたとして休憩時間内に用を足すことが出来るのだろうか。
「これが日本の『兵馬俑』か…。」
我々はそう言い残し、引き返しました。
これからオーケストラ鑑賞に足を運ぼうと考えている読者の皆様には、是非ともお手洗いに気をつけて頂きたい。オーケストラのマナーばかりに気を取られると、足元を掬われるかもしれませんよ…。そして、オーケストラの感想そっちのけでこんな番外編みたいなエピソードを書く羽目になるかもしれませんね…。
ISさん:ただ純粋に音楽を鑑賞するだけの時間をとるのは、本当に久しぶりでした。普段音楽を聴くときは、何かをしながら聞いています。最低でも移動はしています。椅子に座り、長時間の音楽を聞き、音楽は暇つぶしではなく、娯楽だということを思い出しました。
また、指揮者やピアニストの表現を観ることができるのも良かったです。
非日常であると同時に、とてもリラックスできる空間でもあり、個人的にもまた行きたいと感じました。
SYさん:生で聴くプロの演奏はとても迫力がありました。サントリーホールの大きな会場は年輪が多い一枚板の壁がズラリと並び、音の反響も良いのだと思います。しかしながら、自分はプロの演奏を聴くのが初めてだったので、正直なところ、音の違いは分かりませんでした。そこで、パンフレットの中の演奏曲の解説を読むことにしました。「キエフの門」を表した演奏では、まるで本当に顕れているかのように鐘が鳴り響いていました。文章ならば解釈で、絵画なら視覚で、音楽なら聴覚で、受けての感性で、作り手の表したいことを拾うことが芸術なのかもしれないと思いました。
IYさん:ナニコレ珍百景の音(キエフの大門というらしい)くらいしか知っている曲は無かったが生の演奏でしか味わうことの出来ない栄養みたいなものは得ることができた。
ただ、演奏ごとの拍手が長すぎる。3.4分の拍手が何回もあった。勝手な意見だが正直そんなに拍手する必要性あるのかなと思うので最初と最後だけでいいと思う。
このゼミに入らなければ行くことは無かったと思うので経験としてとてもいい機会だった。また行く機会があるなら是非行きたい。