2024年7月22日月曜日

相澤ゼミの本棚(2024年度1期)

 担当教員の相澤です。大学図書館で、展示「相澤ゼミの本棚」が始まりました。

相澤ゼミは、グループワークを通して読書の仕方を学び、自己表現能力(書く力・話す力)を高めることを目指すゼミです。毎週、全員が新書を必ず一冊読み、報告・ディスカッションを行なう「新書報告」という活動をメインに行なっています。

ゼミでは、1期に新書報告を9回行いました。つまり、ゼミ生はこの三ヶ月余りの間に9冊の新書をそれぞれ読んだことになります。7/17の1期最終回では、読んだ新書の中から自分の推しを選び、POPを作るワークを行いました。推したい気持ちを伝えるべく、文章やデザインを工夫しました。

そのPOPを使った展示がこの「相澤ゼミの本棚」です。想像以上の力作POPが揃ったのは、私にとって嬉しい驚きでした。

ゼミ生たちの気持ちがこもったPOPと推し本ラインナップです。ぜひ、図書館一階の本棚をのぞきに行ってみてください。

2024年7月10日水曜日

2024年度 前期第14回

 担当教員の相澤です。今日はC班の報告で、以下の五冊が取り上げられました。

kEさん:井戸まさえ『日本の無戸籍者』岩波新書、2017年

Iさん:阿岸祐幸『温泉と健康』岩波新書、2009年

Kさん:渋井哲也『ウェブ恋愛』、2006年

Sさん:香山リカ『「だましだまし生きる」のも悪くない』光文社新書、2011年

Tさん:土井隆義『友だち地獄———空気を読む世代のサバイバル』ちくま新書、2008年

今回は前期の新書報告最終回でした。学期を通して9回の新書報告を行いました。つまり、ゼミ生たちはこの3ヶ月の間に9冊の新書を読み、それぞれについて口頭報告ないし書き込み報告を行なったことになります。他の授業や課外活動もある中、読書の時間を捻出し、内容を理解し、言葉にまとめる作業はなかなか大変です。学生たちの頑張りを心から讃えたいと思います。

学生を見ていると、報告数をこなすことによって、読書のコツやまとめるコツ、そして報告のコツをつかんできたと感じました。学生自身も徐々に手応えを感じているようです。

来週は、前期の活動を振り返る個人面談を行います。面談を通じて、今学期の頑張りを次に繋げられればと思います。

2024年7月3日水曜日

2024年度 前期第13回

 こんにちは。現代法学部3年のSです。梅雨入り以降、雨・湿気・暑さの三重苦に悩まされています。今後はさらに気温が上昇すると予想されます。こまめな水分補給を心がけ、熱中症には十分ご注意ください。さて、今回はB班による新書報告です。

Cさん 稲垣栄洋『はずれ者が進化をつくる』ちくまプリマー新書、2020年

本書は、雑草生態学の専門家である著者が、生物の生存戦略を例に挙げながら、人間社会における個性・多様性の意義を論じています。

著者は大きなカテゴリーで勝者(No.1)を目指すのではなく、特定分野で唯一無二(Only 1)かつ最高(No.1)を目指すべきだと主張しています。この考えを裏付ける例として、ゾウリムシの生存競争が挙げられます。ゾウリムシとヒメゾウリムシを同じ水槽で飼育すると、餌の奪い合いでヒメゾウリムシのみが生き残ります。一方、ゾウリムシとミドリゾウリムシは、水底と水面という異なる場所の餌を食べることで共存できるそうです。著者はこの生物の戦略を人間社会に適用し、大きな市場での競争より、特定分野(ニッチ)での専門性発揮が重要だと説きます。

また、本書は多様性喪失のリスクについても警鐘を鳴らしています。例として、品種改良したジャガイモの栽培を挙げています。収量の多い単一品種のみを広く栽培した結果、その品種が特定の病気に弱く、病気の蔓延により壊滅的な被害を受けたそうです。この例は、生物多様性の重要性と、単一の「優れた」特性に頼ることの危険性を示しています。

生物の生存戦略から人間社会の多様性の意義を導き出す視点が、斬新で興味深いと感じました。「No.1」かつ「Only 1」という概念は、同調圧力や画一性が強いとされる日本社会に一石を投じる内容だと思います。

Mさん 山本芳美『イレズミと日本人』平凡社新書、2016年

本書は、文化人類学者である著者が、イレズミと日本社会との関係を考察しています。

イレズミは、1960-70年代の任侠映画の流行により、ヤクザの暴力的イメージと結びつけられました。このマイナスイメージから、銭湯や温泉施設での利用禁止が広まりました。しかし、著者はイレズミの多面的な側面に注目しています。鳶職では職人文化として、親方のイレズミを弟子が継承することがあるそうです。また、琉球王国時代の沖縄では、女性の指のイレズミが伝統的でした。しかし、本土との統合後、本土出身者からの差別を避けるために、イレズミを消して沖縄出身であることを隠していたそうです。

Mさんは、イレズミをしている人を単に外見で判断するのではなく、イレズミの歴史的・文化的側面を理解した上で、一人の個人として見ることが重要ではないかと話しました。また、このような理解が広まれば、日本のイレズミ文化がより良い方向に発展するかもしれないと語っています。

海外ではアートとして認知されつつあるイレズミですが、日本での受容にはまだ課題が多いように感じます。本書は、イレズミを通して多様性と偏見について見つめ直すきっかけを与えてくれる一冊だと思います。

Hさん 岩田慎平『北条義時』中公新書、2021年

本書は、2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で注目を集めた北条義時の生涯を描いた歴史評伝です。著者は日本中世史、特に鎌倉幕府と武士に関する専門家です。

著者は義時の人生を三段階に分けて考察しています。まず、生誕から源頼朝との出会いと挙兵までの時期です。ここでは、伊豆の田舎出身の北条家が、頼朝との邂逅を機に台頭していく過程が詳述されています。次に、頼朝が征夷大将軍に就任した後の権力闘争期が描かれます。頼朝は、謀反の疑いがある者は親族であっても容赦なく処罰していたそうです。例えば、頼朝の弟にあたる義経の自殺も頼朝の意向によるものと示唆されています。最後に、義時自身が実権を握った執権時代が記述されています。頼朝の死後、義時が実権を掌握し、承久の乱で勝利するまでの政治的展開が述べられています。興味深いことに、義時も実権を握ると、かつての頼朝のように謀反の疑いがある者を厳しく罰していったそうです。​​​​​​​​​​​​​​​​

著者は、頼朝や義時のような権力者が人を信用できなくなる心理を分析しています。彼らは常に権力争いに晒されているため、味方と敵を正確に判断する必要があります。誤った判断は自身の命に関わるため、疑心暗鬼に陥りやすいと著者は指摘します。

北条義時の生涯を通じて、権力者の心理と行動を分析する視点が興味深いと感じました。私利私欲に走り、時に残虐な決断を下す権力者の姿は、現代の政治にも通じるものがあると思います。本書は、歴史上の人物を通して権力の本質と人間性を垣間見れる一冊だと感じました。

今回も多種多様な新書報告が行われ、非常に充実した内容となりました。生物学、文化人類学、歴史学といった幅広い分野の書籍が紹介され、それぞれが私たちの日常生活や社会に関連する興味深いテーマを扱っていました。次回はC班による前期最後の新書報告です。締めくくりの寂しさはありますが、どのような本が紹介されるか楽しみに待ちたいと思います。​​​​​​​​​​​​​​​​


2024年6月28日金曜日

課外活動:読売交響楽団演奏会

 今年最初の課外活動として、6月28日の夜にサントリーホールで開催された読売交響楽団の演奏会に出かけました。あいにくの雨模様でしたが、ホール内は熱い空気にあふれていました。

プログラムは、ハイドン:交響曲第22番 変ホ長調「哲学者」、ヴィヴァルディ:「四季」から"春"(ギター独奏)、武満徹:「虹へ向かって、パルマ」、ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」です。

私自身にとっても二年ぶりの演奏会。生の音の迫力に圧倒された、大満足の二時間でした。以下は参加学生10名の感想です。

Cさん

コンサートを鑑賞した感想は、自分たちがいつも聴いている音楽とは違って、音そのものに滑らかさを感じることができた。また、様々な楽器から奏でられる音で人物像や感情、状況を表現している様子を感じることができた。

その中でも、『虹へ向かって、パルマ』が非常に印象に残っている。この曲の良かったところが、音で哀しみを表現していて、聞いていて人物像が容易に想像できるところである。

自分はコンサートには滅多にいかないので、今回のような経験は知見を広げるにも非常に役に立った。次回もこのようなイベントがあれば是非参加したいと思う。

Eさん

私は恐らく初めてオーケストラに行きました。会場の雰囲気より先に、きらびやかな照明に息を呑みました。

私はつい最近、西洋音楽史という本を読んだので今回のオーケストラが楽しみでした。ストラヴィンスキーの『春の祭典』では、強音が11回連打される場面がありました。まさに、いけにえが選ばれる情景が浮かびました。強烈なリズムや打楽器の乱舞、静かな音色で以て、なんとなくですが、音楽による感情表現の一端に触れたような気がします。プロの演奏家や長くオーケストラに足を運ぶ方が、演奏のどのような場面で音楽による繊細な感情表現を味わっているのか、とても気になりました。また、豊かで繊細な感情表現を味わった先に、どのような気持ちが湧き上がるのだろうと疑問が生まれました。

驚いた事でいうと、長尺で行われる割れんばかりの鳴り止まない拍手や、演奏終了直後に聴衆が発した長友ばりのブラボーの声です。その場にいる全員が、演奏家たちに向けた拍手喝采は、言い表せない程に美しかったです。

MKさん

先日、サントリーホールで開催されたクラシック音楽コンサートに行ってきました。演奏されたのはハイドン、ヴィヴァルディ、武満徹、そしてストラヴィンスキーの作品でした。それぞれの演奏が本当に素晴らしく、印象に残るひとときでした。

まず、ハイドンの作品から始まりました。この曲は特にホルンとオーボエの掛け合いが素晴らしかったです。演奏者たちの繊細なアンサンブルが見事でした。次に演奏されたヴィヴァルディの作品は、ギター独奏という珍しい編成でした。軽やかで明るい旋律がギターの音色で表現され、華やかな演奏でした。私は吹奏楽でフルートをやっていたこともあり、その技術と表現力の凄さに圧巻されました。武満徹の作品では、現代音楽ならではの独特な響きが印象的でした。細やかな音色が素晴らしく、特に各楽器の掛け合いが絶妙で、作品全体の神秘的な雰囲気を一層高めていました。最後に演奏されたストラヴィンスキーの作品は、圧倒的な迫力と複雑なリズムで、圧倒されました。特にフルートの高速連符や不規則なリズムの中での正確な演奏は全体のダイナミックさを際立てていました。

今回のコンサートを通じて、普段では聞けないような多彩なクラシック音楽の世界に触れることができました。またクラシック音楽の幅広さと奥深さを再認識し、改めて音楽の素晴らしさを知る良い機会となりました。

KTさん

コンサートに参加するのが初めての経験だったので会場の雰囲気や拍手の量など感じる全てが新鮮だった。体験して特に驚いたのが指揮者の動きが思っていたよりも大きく全身を使って指揮を行っていたことだ。手だけでは無く身体を大きく使っていたのでコンサート初心者の人でも音の一体感を視覚的に感じ取ることができた。楽団の方だけでは無く聴いている観客にも一体感があった。拍手のタイミングや咳払いを音が止むまで耐えている観客を見て聴いている人もコンサートの一部となって作り上げていることがわかった。おそらく観客の方々は音だけでは無く指揮者の動きや会場の荘厳な雰囲気、観客の一体感を感じるために足を運んでいるのだと理解した。とても新鮮な経験をすることができた。

Kさん

オーケストラは初めて観ましたが、とても感動しました。今までなんとなく音楽を聴いて、これがなんの楽器なのか、意識したことはありませんでした。しかし、今回のオーケストラで一つ一つの音を注目して見ることが出来たので、とても楽しめることが出来ました。またの機会があれば行きたいと思います。

EMさん

初めてのオーケストラのコンサート、私は授業の関係で2部から参加しました。30分間の演奏はあっという間でした。繊細で大胆なオーケストラの迫力に、いつの間にか自分の心臓はドキドキ。特に指揮者の後ろ姿は、なんだかスポーツ観戦のような激しさを感じました。人生初のオーケストラで興奮体験を味わえて幸せでした。

RMさん

演奏中観客は皆静かにしていたが、演奏が終わってから咳をしたりして配慮が感じられていい気持ちになりました。また演奏が終わったあとの拍手も長く、演者に感謝を伝える手段としてとても良い方法だなと思いました。私が特に気に入ったのは武満徹「虹へ向かって、パルマ」で、ギターの村治佳織さんの圧倒的な演奏に胸を打たれました。

Hさん

今までオーケストラのコンサートには行ったことがなかったのでとても貴重な経験になりました。クラシックの曲を沢山知ることができたのはもちろんのこと、指揮の特徴、自分の知らない楽器など普段知ることの出来ない学びを得ることが出来たと思います。

RSさん

今回は初めてのコンサートでした。普段はコンサートにいって演奏を聴くという機会がないので、いい経験になりました。いつもイヤホンで聴く音楽とは全く違う音質でした。遠い距離で演奏しているのに、音が近くに聞こえ立体感がありました。こんな貴重な体験はなかなかないのでまた行きたいと思いました。

STさん

初めてのクラシックコンサートで、ストラヴィンスキーの「春の祭典」に圧倒された。指揮者がタクトを持たず、踊るように指揮する姿に驚きつつ、音楽の迫力に引き込まれた。バレエ音楽のストーリーを知らずに聴いたことは心残りだが、音楽の魅力を十分に感じられた。次は作品背景も学んでから、より深く音楽を味わいたい。



2024年6月26日水曜日

2024年度 前期第12回

経済学部2年のIです。6月も最後の週になり1年の半分が終わろうとしています。本当にあっという間で怖いです。さて、今回はA班の新書報告です。

Kさん 長沼 毅 井田 茂 『地球外生命』岩波新書、2014年

本書は、地球外生命体がいるかどうかを、生物学者2人が生物学と天文学の観点から検討しています。生物学的には、人間のような知的生命は多細胞であり、大きなエネルギーを持っていなくてはならないので、知的生命が存在できる環境を地球外に見つけるのは難しい、と推察しています。天文学的には、宇宙は広いからどこかしらにはいるのではないか、という考察でした。2人が研究を始めた理由は、我々は人間以外でしかわかり合えない孤独な生命なのか、という疑問からなのだそうです。

地球外生命体は本当にいるのでしょうか。いたらいたでどういう生物なのか気になりますが、公表しないでほしい気持ちもあります。みんなが想像力を働かせて、地球外生命体について語る場も好きなので、複雑です。

Tさん 澁谷智子『ヤングケアラー 介護を担う子ども・若者の現実』 中公新書、2018年

本書はヤングケアラーの現実を解説しています。Tさんは、ヤングケアラーの問題点を4つ紹介してくれました。1つ目は、ヤングケアラーを知らない人が多いという問題です。2つ目は、介護は大人がやるものという誤解を持っている人がいることです。3つ目は、ヤングケアラーは学校に行けないことが多いということです。4つ目は、ヤングケアラー向けの制度がまだ整備されていないことです。本書は、イギリスのようなヤングケアラーの制度が整っている国を見習って、日本もヤングケアラーの問題を解決していくことを主張しています。

私は、ヤングケアラーは言葉自体は知っていましたが、問題がどういう現状なのかをあまり把握していませんでした。子供だけで親の介護をするのは時間的にも経済的にも大変だと思うので、介護職をもっと増やしてみたり給料をあげてみるのも一つの手なのかなと思いました。

Mさん 瀬田貞二『幼い子の文学』中公新書、1980年

本書は、東西のなぞなぞ、わらべ唄、民話、幼い子の言葉の技術について解説しているものです。筆者は、言葉の技術の積み重ねこそがなぞなぞやことわざに発展していったと主張しています。その一例として、子供が勝手に花に名付けすることを挙げています。彼岸花という花には別名でキツネの松明という名前があります。これは、子供が名付けたとされており、このような名付けが発展していって、なぞなぞになったと主張しています。

発表を聞いて、なぞなぞやことわざなどの文化が芽生えたのは、子供の言葉遊びから来ていると思うと、こどもの発想力はすごいなと感心してしまいます。

Kさん 翁邦雄 『人の心に働きかける経済政策』岩波新書、2022年

本書は行動経済学の入門書です。公共政策は、仮定に仮定を重ねた机上の空論であり、役に立たないことが多いので、心理学と経済学(行動経済学)で解決していこうというのが本書の構成です。行動経済学が応用できる場面として、Kさんは選挙を挙げていました。選挙では現在バイアスが現れてしまうらしいです。現在バイアスとは、長期的なことよりも現在に近い短期的な利益に目がいってしまうバイアスです。選挙では、長期的な戦略より短期的戦略の方がよく見えてしまうことがあります。また、Kさんはコンビニの商品の配置も行動経済学が使われていると述べ、行動経済学を学んで日常に潜んでいる行動経済学を自分でも見抜けるようにしておくことをお勧めしていました。

この発表を聞いて、行動経済学は企業や社会にも使われていることを知ったので、自分でも学んで騙されないようになりたいと思いました。


今回は、地球外生命体とヤングケアラー、文学、行動経済学と幅広い分野の発表がありました。次回もどんな本が紹介されるか楽しみです。

2024年6月19日水曜日

2024年度 前期第11回

 こんにちは、経営学部のKです。本格的に夏が到来し、学校生活もますます活気づいてきました。皆さんはこの夏をどのように過ごす予定でしょうか?私は旅行やインターンの計画を立てています。さて今回は岡村靖幸の「カルアミルク」の歌詞解釈グループワークを行いました。

事前に解釈をワークシートに記入して、
グループワークに臨みました。
まず、グループごとに、各個人が「カルアミルク」の歌詞について自分なりの解釈をシェアしました。この歌詞は一見シンプルながらも深い意味を含んでおり、個々の解釈が非常に多様でした。私のグループでは、あるメンバーが歌詞の中に出てくる深夜や六本木を舞台にしている点に注目し、都会の孤独や寂しさを描いていると解釈していました。また別のメンバーは、語り手の心理状態に焦点を当て、過去の恋愛を振り返ることで現在の状況と折り合いをつけようとしていると解釈しました。

私の意見として「仲直りしたいんだ もう一度カルアミルクで」という部分に着目しました。この歌詞からカルアミルクという存在は二人にとって思い出のお酒だったことがわかります。私自身も物や場所が思い出に結びつくことがあり、その一瞬で過去の感情や出来事が鮮明に蘇る経験があります。きっとこの二人にとってもカルアミルクは、そんな特別な存在なのだと想像しました。この歌に出てくる二人が本当にカルアミルクでもう一度仲直りできれば良いなと曲を聴きながら強く感じました。

ワーク盛り上がり中

その後、各グループ内で意見を統合し、グループ内の統一意見をまとめました。私たちのグループでは歌詞が持つ様々な意味に焦点を当て、恋愛の複雑さを描きつつも、相手に対する気持ちが共に変わっていく感情の移り変わりをこの曲では表現しているという見解に落ち着きました。また、「カルアミルク」という飲み物自体が甘さとほろ苦さを持つことから、恋愛の甘さと苦さを象徴していると考えました。

最後に、全体で各グループの意見をシェアしました。他のグループの解釈も非常に興味深く、グループによって人物の年代や性格、「僕」と「語りかけられている」の関係性の予測に様々な意見が出ました。あるグループは登場人物がどのような人物なのか推測し、その性格や背景に基づいて物語の展開や結末を予測していました。また別のグループでは、誕生日にお酒をプレゼントするのはどうなのだろうか?と疑問視する声も上がりました。「誕生日という特別な日に、お酒を選ぶことの意図は何だろうか?それはお酒そのものに深い意味があるのか、それとも単に過去の思い出を共有するための手段なのか?」という議論が展開されました。これに対して、別のグループは「カルアミルクが二人の関係を象徴しているからこそ、誕生日という特別な日に選ばれたのだ」という見解を示していました。

今回のワークを通じて、歌詞解釈の奥深さと、人によって全く異なる視点が生まれることを改めて実感しました。特に、他者の意見を聞くことで自分の見解が広がり、新たな発見がありました。これからもこのようなディスカッションを通じて、様々な視点を取り入れながら学びを深めていきたいと思います。

次回はA班の新書報告をご紹介します。


2024年6月18日火曜日

2024年度 前期第10回

 こんにちは。経営学部3年のCです。6月に入り、東京では気温も30度近くまで急激に上がって、日差しの強い季節になりました。これから暑い日が続くと思いますので、皆さん熱中症にはくれぐれもお気をつけてお過ごしください。さて、今回はC班の新書報告です。


Iさん 辰濃和男『ぼんやりの時間』岩波新書、2010年

本書は、様々な作家の例を出しつつ「ぼんやりすること」を推奨しています。その中でも、Iさんは、例として「4時間労働の夢」を挙げていました。「4時間労働の夢」とはラッセルが書いた論文で、8時間労働は過重労働なので、4時間労働に減らすといった内容だそうです。4時間労働にすることで、残りの4時間で文化を豊かにする為に、各々で探究をすることが述べられていました。また、Iさんは発表の中で、現代に生きる人のアニメやSNSでの動画など受け身でぼんやりしていることにも言及していました。ぼんやりすることは、「目的を持つことなく周りを観察すること」で本書に定義付けられています。しかしここで注意してほしいことは、自分が受け身であると文化が豊かにならないので、五感で感じ取ることを大切にしつつも「ぼんやりすること」が重要だと述べていました。

現代人は情報社会と言われるほど、あらゆるところに脳を圧迫させる情報が転がっています。そんな時にこそ、自分の五感を大切にしてぼんやりすることが私たちに求められているのかもしれません。


Sさん 志村季世恵『大人のための幸せレッスン』集英社新書、2006年

本書は大人のための「幸せ」について論じています。まずSさんが挙げた最初の説明として、幸せには3つの種類があると述べています。

1つ目が、「プレゼントなどのギフト面においての幸せ」です。

2つ目が、「自分の頑張りによって得られる努力面においての幸せ」です。

3つ目が、「マイナスなことでも幸せに感じようとする思考面においての幸せ」です。

本書は、主に3つ目の幸せについて深掘りをする内容でした。そもそも、人間は考えながら物事を行い、マイナスの方向に思考が傾いてしまうそうです。そこで、コツとして、五感の幸せを感じながら物事を行うことが重要になります。例として挙げられていた、ご飯の話もご飯を食べている時にテストのことを考えるのではなく、食べているものの味や食感を感じることが幸せに繋がると述べていました。

私たちに備わっている五感は、幸せになるためには不可欠なものなのではないかと感じるようになりました。現代人は周りのことばかり気にしていて、自分のことに目を向けていない実状があると思います。そんな時こそ、振り返って自分自身を意識してみることが大切だと理解できました。


Tさん 四方田犬彦『「かわいい」論』ちくま新書、2006年

本書は「かわいい」についての概念の話や社会的な文化や思想に基づいて、「かわいい」を考察する内容です。その中で、Tさんが挙げてくれた2つの印象的な話を紹介します。1つ目は、「人間は未成熟なものを好む」です。例えば、小さいものや保護しないといけないものは未成熟といえます。また、学生が主人公となっているアニメも一人前ではない点で未成熟だと思います。人間はこの点で「かわいい」を感じるそうです。2つ目は、「かわいいに近しいのはグロテスク」です。これが何故なのかというと、ちいかわのような人間ではないキャラクターを例にあげると、それがこの三次元に等身大として登場したときにあまりのリアルさにグロを感じてしまうからです。しかし、実際にはそのキャラクターも「かわいい」と評価されています。このようにグロテスクなのにもかかわらずかわいいと思われる理由があります。それは、人間がそれを保護しているから、或いは加害しない・無防備な存在だから、だそうです。

また、Tさんはかわいいをポジティブな言葉と定義しました。しかし、かわいいは意味やニュアンスが多面的であるため、未熟や支配欲のようなマイナスの使われ方もあると言及していました。

「かわいい」には人それぞれ背景や感覚があることを学びました。ただ、未熟なものをかわいいと感じる点においては人間に共通しているのではないかと思います。しかし、なぜ未熟なものが好きなのかと質問された時に、「支配できるから」というマイナスな考えであったり、「小さいものを保護したい」というプラスな考えであったり、感じ方はその人によって変わるのではないかと感じました。

今回も興味深い新書報告で、私自身も知識を深めることができました。次回は、歌詞解釈の授業を行います。ゼミ生の色々な解釈を共有できるので、非常に楽しみにしています。