2026年7月1日水曜日

2026年度 前期第11回

  経済学部2年のYです。先日コンビニバイトをしている時、レジでお客様から宗教勧誘を受けました。以前からこの手の誘いはよく来ていたのですが、バイト先でも遭遇するとは夢にも思いませんでした。それほど私は悩み事を多く抱えているように見えるのでしょうか。今度お祓いを受けることを真剣に検討してみようと思います。 

 それでは活動報告に移ります。今週はC班の新書報告です。

Kさん:阿部芳郎『縄文時代を解き明かす』岩波ジュニア新書、2024年

 本書は縄文時代の人がどのような道具を使い、何を食べ、どのように暮らしていたのかを解き明かしたものです。縄文文化を明らかにするにあたって動物学、植物学、人類学など様々な分野の知見を取り入れています。

 Kさんは縄文土器には2つの種類があることを取り上げていました。1つは精製土器と言います。我々のよく知る、縄の模様が特徴的な縄文土器がこれに当たります。この土器は祭事によく用いられていたと考えられています。もう一方は粗製土器というものです。こちらは模様がなく、食料の調理や貯蔵など日常的に使われていたようです。

 今まで縄文時代には縄文土器という1つの土器が使われていたと考えていた私にとって、2種類の土器が使われていたという事実は衝撃でした。

 我々の知る日本史より深い内容を取り扱い、教科書までに習った古代のイメージを変えてくれる著作でした。

Eさん:下倉バイオ『「選択肢」の選択史 ニトロプラスのライターはノベルゲームをどう作ってきたか』星海社新書、2025年  

 本書は数々の名作ノベルゲームを生み出してきた著者の、ゲームの常識を疑い、かつてないアイディアを実現するための問題解決の軌跡を追っていったものです。

 この本で著者は、ノベルゲームと小説を分ける要素である「分岐」の存在に目をつけ、ノベルゲームに分岐は必要かという問いを解こうとしました。

 解決にあたり、著者は、ゲームはコンプリートが前提であることを活かしました。タイムリープというゲーム内の設定を用いて、プレイヤーに様々なエンディングを集めさせます。すべてのエンディングが回収されて初めて、真のエンディングを見ることができるという手法を著者は取りました。

 個人的に、これはとても鮮やかな解決策だと感じました。ノベルゲームの分岐の必要性を説き、それでいて唯一無二のアイデアだと思います。名作を生み出すクリエイターの真髄に触れることのできた一冊でした。

Yさん: 印南敦史『現代人のための読書入門 本を読むとはどういうことか』光文社新書、2024年

本書は誰もが読書体験を通して、何かを学ぶことのできた事実を取り上げ、「読書の原点」を問い直したものです。

当書では、本に触れる際には、何か知識を得ようという確固たる意思は必要なく、読みたいという直感的な気持ちが大切であると述べられています。この主張は、ゼミを通して新書への向き合い方を改めようとし、この本を手に取ったYさんにとって目から鱗だったようです。とはいえ、あくまでこの主張は我々に対する提案であり、他の読み方があっても良いというのが著者のスタンスです。

この主張も踏まえて、私は、本に触れるハードルは自分が思うよりずっと低くても良いのだと感じました。読後、我々をより気軽に次の読書に向かわせてくれる著作だと思います。


今回の新書報告は、3冊とも分野は違いますが「当たり前だと思っていた考えを見直す」という共通点があるように感じました。来週は、どんな新たな視点を得られるのか楽しみです。