経済学部2年のIです。6月も最後の週になり1年の半分が終わろうとしています。本当にあっという間で怖いです。さて、今回はA班の新書報告です。
Kさん 長沼 毅 井田 茂 『地球外生命』岩波新書、2014年
本書は、地球外生命体がいるかどうかを、生物学者2人が生物学と天文学の観点から検討しています。生物学的には、人間のような知的生命は多細胞であり、大きなエネルギーを持っていなくてはならないので、知的生命が存在できる環境を地球外に見つけるのは難しい、と推察しています。天文学的には、宇宙は広いからどこかしらにはいるのではないか、という考察でした。2人が研究を始めた理由は、我々は人間以外でしかわかり合えない孤独な生命なのか、という疑問からなのだそうです。
地球外生命体は本当にいるのでしょうか。いたらいたでどういう生物なのか気になりますが、公表しないでほしい気持ちもあります。みんなが想像力を働かせて、地球外生命体について語る場も好きなので、複雑です。
Tさん 澁谷智子『ヤングケアラー 介護を担う子ども・若者の現実』 中公新書、2018年
本書はヤングケアラーの現実を解説しています。Tさんは、ヤングケアラーの問題点を4つ紹介してくれました。1つ目は、ヤングケアラーを知らない人が多いという問題です。2つ目は、介護は大人がやるものという誤解を持っている人がいることです。3つ目は、ヤングケアラーは学校に行けないことが多いということです。4つ目は、ヤングケアラー向けの制度がまだ整備されていないことです。本書は、イギリスのようなヤングケアラーの制度が整っている国を見習って、日本もヤングケアラーの問題を解決していくことを主張しています。
私は、ヤングケアラーは言葉自体は知っていましたが、問題がどういう現状なのかをあまり把握していませんでした。子供だけで親の介護をするのは時間的にも経済的にも大変だと思うので、介護職をもっと増やしてみたり給料をあげてみるのも一つの手なのかなと思いました。
Mさん 瀬田貞二『幼い子の文学』中公新書、1980年
本書は、東西のなぞなぞ、わらべ唄、民話、幼い子の言葉の技術について解説しているものです。筆者は、言葉の技術の積み重ねこそがなぞなぞやことわざに発展していったと主張しています。その一例として、子供が勝手に花に名付けすることを挙げています。彼岸花という花には別名でキツネの松明という名前があります。これは、子供が名付けたとされており、このような名付けが発展していって、なぞなぞになったと主張しています。
発表を聞いて、なぞなぞやことわざなどの文化が芽生えたのは、子供の言葉遊びから来ていると思うと、こどもの発想力はすごいなと感心してしまいます。
Kさん 翁邦雄 『人の心に働きかける経済政策』岩波新書、2022年
本書は行動経済学の入門書です。公共政策は、仮定に仮定を重ねた机上の空論であり、役に立たないことが多いので、心理学と経済学(行動経済学)で解決していこうというのが本書の構成です。行動経済学が応用できる場面として、Kさんは選挙を挙げていました。選挙では現在バイアスが現れてしまうらしいです。現在バイアスとは、長期的なことよりも現在に近い短期的な利益に目がいってしまうバイアスです。選挙では、長期的な戦略より短期的戦略の方がよく見えてしまうことがあります。また、Kさんはコンビニの商品の配置も行動経済学が使われていると述べ、行動経済学を学んで日常に潜んでいる行動経済学を自分でも見抜けるようにしておくことをお勧めしていました。
この発表を聞いて、行動経済学は企業や社会にも使われていることを知ったので、自分でも学んで騙されないようになりたいと思いました。
今回は、地球外生命体とヤングケアラー、文学、行動経済学と幅広い分野の発表がありました。次回もどんな本が紹介されるか楽しみです。