こんにちは。経済学部2年のKです。初夏を感じる気温となってきました。私は、可愛い冬服とお別れするのがさみしいです。今回は、C班の発表ををご紹介します。
Tさん 山田昌弘『モテる構造』ちくま新書、2016年
本書は、社会学の観点から男女の生きづらさの違いについて明らかにするという内容となっています。著者は「モテる・モテないと生きずらさが結びついている」と論じています。それは、我々の社会は、女性か男性であるという、性のアイデンティティにより分類されているからです。女性か男性に属することで、社会の一員だと感じる仕組みになっていると著者は考えています。つまり、モテるとは、自身が異性として認識されているという実感に繋がると考えることができます。また、男性と女性では、モテ方の違いがあります。戦後、性別役割分業の思想が強く残る中で、男性は社会に出て稼ぎが求められ、女性は稼ぎが求められない代わりに、家事育児のような、家庭の仕事が求められています。つまり、男性は稼ぎがないとモテない、女性は稼ぎがあってもモテるわけではないという、それぞれの生きづらさがあるといいます。
男性と女性では、社会から求められていることが大きく異なります。求められていることに対して、いかに答えることができているかが「モテる」に繋がるという思想は、社会学の観点ならではだと感じました。現代の日本は、ジェンダーの考え方が注目されていますが、モテ方に変化はあるのでしょうか。
Kさん 岩月謙司『男は女のどこを見るべきか』ちくま新書、2004年
本書は、男性と女性の思考の違いから、男性はどのような女性を選ぶべきかを考察しています。男女の違いの一つとして、女性は感情で動くのに対して、男性は感情ではなく起こった事実を元に行動を起こすといいます。例えば、窃盗にあった時、女は窃盗に遭ったことを、男性は盗まれたものに重きを置くというような違いがみられるそうです。そして男性は、愛されている女性を選ぶべきだと論じています。具体的に、考え方がポジティブで、よく人を褒める人が当てはまります。つまり、女性が感情的に動くときに、その感情がプラスであることが、素敵な女性に当てはまると言えます。
女性に限らず、ポジティブ思考で明るい人は人間から好かれると感じます。人間が感情的になった時、本性が垣間見えると思うので、日々穏やかで、明るい気持ちでいることが大切ですね。
Iさん 粂 和彦『眠りの悩み相談室』ちくま新書、2007年
本書は睡眠専門の医者である著者が、睡眠について解説しています。良質な睡眠が、私たちの健康に大きく影響することは周知の事実です。それでは、どうすれば良質をとることができるのでしょうか。今回は4つのポイントをご紹介します。
1,日中は活動的に:日中の活動量が多いほど、夜の睡眠に対する要求が高まります。運動不足は眠気を誘発しません。また、仕事や勉強、読書など、脳を使う活動を日中にしっかりと行うことで、夜は自然と脳が疲労し眠気が訪れます。
2,適度な体温低下を心がける:人間は、体温が下がる際に、眠気が発生します。そのため、温活動後の入浴で体温が下がるのを意識すると良いそうです。
3,就寝前のストレスを排除する:昼間の過剰なストレスは、夜の睡眠を妨げます。自分のストレスをコントロールすることが、良質な睡眠に繋がります。
4,朝は同じ時間に起きる:睡眠リズムを整えるため、可能な限り同じ時間に起床することが大切です。早寝早起きがベストです。
また、アルコールは睡眠に大きな影響を与えます。睡眠前にアルコールを接種すると眠くなる現象は、自然な体の仕組みではないそうです。アルコールを接種すると、眠くなるなるのは、気絶と同じような現象だと論じています。
睡眠は人間にとって欠かせないものです。自分の睡眠とよく向き合って、より良い睡眠を実現させることはとても大切だと感じます。
Eさん 春増翔太『ルポ 歌舞伎町の路上売春』ちくま新書、2023年
本書は、毎日新聞記者である著者が、新宿歌舞伎町の路上売春を取材し、その実態に迫っています。最近話題となっている歌舞伎町にいる「立ちんぼ」という女性たちは、コロナ規制緩和後に急激に増えました。年齢層は若い傾向にあり、未成年が増えているといます。著者は、NPO法人を設立し、売春している女性の相談などをしている坂本さんに力を借り、売春の実態に迫ります。そこで、売春行為をしている女性のほとんどに共通しているのが、ホストの存在だと言います。ホストは依存性が高く、一度ハマってしまったら抜け出すことは難しいと言われています。そのため、売春から抜け出す事も容易ではありません。東京都ではそのような人を支援する取り組みがあり、資格や住居の援助を行う支援もあるそうです。しかし、すぐに売春に戻ってしまうのも現状です。売春している人が悪いという意見がありますが、著者は売春することによって、ギリギリ生活できているのも事実であり、仕方のない一面もあると言います。
近年話題となっている路上売春ですが、実態を知るほど事態の深刻さ、複雑さが見えてきます。路上売春を止めることは勿論、防ぐことにも力を入れる必要があります。特に、未成年の路上売春は深刻です。私たちは、この事態について、問題意識を持つことが大切です。
今回は、多種多様な新書報告でした。質問も多くされていて、充実した新書報告となりました。次回は、書評を読むグループワークを行います。