2024年5月8日水曜日

2024年度 前期第5回

 こんにちは。経営学部2年のMです。GWも過ぎ、夏の訪れのような暑さを感じる時期となりました。梅雨入りも間近のため、体調を崩さぬよう皆様お気をつけください。今回はB班の新書報告を紹介します。


Yさん 松原耕二『本質をつかむ聞く力』ちくまプリマー新書、2018年

本書は、TBSのニューヨーク市局長をしていた著者の経験を元に、デマやフェイクニュースを題材とした情報の受け取り方について論じたものです。

Yさんは、本書が指摘している「言い換えによる意識の方向性の決定」という問題を取り上げました。これは、メディアなどに情報が載る際、言葉の言い換えによって受信者の受け取り方が変化する事態を意味しています。

改善案:Yさんは、本書が指摘している「言い換えによる意識の方向性の決定」という問題を取り上げました。これは、メディアなどに情報が載る際、言葉の言い換えによって受信者の受け取り方が変化する事態を意味しています。

例えば、「戦闘」を「衝突」に言い換えたら、戦うまでには至ってないように映ってしまうかもしれません。言葉の裏に何があるかに注意すべきだと著者は述べています。

人々は得てして情報を受け取る際に、自分にとって都合のいいものばかりを取り入れてしまうと私は考えます。先入観を持たずに何が事実かを見極め、主体性を持って情報を受け取ることが重要だと思いました。


Hさん 源河亨『「美味しい」とは何か』中公新書、2022年

本書は、音楽や美術と同じく食も美学の一つして捉えることが出来るのでは無いか、と主張しています。

その裏付けとして二つの実験が紹介されました。一つ目は、二つのグループに分かれてポテチを食べる実験です。一つの班はそのまま食べるのですが、もう一方の班はマイクとイヤホンを設置して咀嚼音をより大きく聞こえるようにします。実験の結果、咀嚼音が大きく聞こえた班の方が美味しいと感じた人が多かったそうです。この実験により、味覚や嗅覚だけでなく聴覚も食に深く関連していることが分かります。

もう一つは、ワインの実験です。ワインに力を入れて学んでいる大学の生徒たちに、二つのワインを飲ませます。片方は白ワインで、もう片方は赤い着色料を混ぜた白ワインと、どちらも同じ味のワインになっています。しかし、生徒たちの多くはそのワインが同じ味だと見抜くことが出来なかったといいます。この実験により、飲食物の色や形といった視覚の情報も味に影響を与えていることが分かります。

食について美学の観点から解析する新しい視点に目から鱗でした。


Cさん 正高信男『天才はなぜ生まれるか』ちくま新書、2004年

本書は、数々の偉人たちが、各々の持つ知的障害とどのように向き合っていたかを解説しています。Cさんはその中からレオナルド・ダ・ヴィンチについて発表しました。

レオナルドは幼少の頃から記憶障害を持っており、覚えることが苦手だったそうです。掛け算の九九もままならず、日常生活にも支障がありました。しかし彼はそれに対処するべく、多くの事柄をメモしていたそうです。それも、左右反対の文字を書いてメモしていました。彼のこのメモこそが、ブレーンストーミングの先駆けになったそうです。そのようにして、彼は自分のやり方で知的障害と戦い人生を生き抜きました。

自身の弱点に嘆くのではなく、どのように向き合っていくかという指摘が印象に残りました。


Mさん 木曽崇『「夜遊び」の経済学』光文社新書、2017年

本書は、「ナイトタイムエコノミー」(夜17時以降に行われる経済活動)が生み出す経済効果について外国の例も混じえて論じたものです。

ロンドンでは、行政がナイトタイムエコノミーの活性化に取り組んでいるそうです。夜の街というのは危険なイメージがどうしてもついてくるものです。この負のイメージに対処するべく、行政が安全基準のようなものを作り、夜の街の安全を保証する仕組みを確立しました。また、ニューヨークの地下鉄は、線路を2本敷くことにより夜間に走る専用の電車を設置しているそうです。そうすることによって、終電の心配もなくいつでも帰ることが出来ます。このように、世界の主要都市ではナイトタイムエコノミーの振興を図っていることが分かります。

現在の日本では、夜の街にはネガティブなイメージを持つ人が多いと思います。しかしその認識を改め、都市部での楽しみ方のバリエーションを増やすことによって、より良い経済効果を生み出すという本書の主張に興味が湧きました。


今回は我々の生活に身近な分野の報告が多かったので、報告を聞いていてとても興味深かったです。次回のC班の新書報告も楽しみです。