2024年10月23日水曜日

2024年度 後期第5回

こんにちは、経営学部4年のTです。朝晩は冷え込みますが、昼は日差しが暖かく洋服選びが難しい季節です。脱着のしやすい上着の出番ですね。後期第5回目は、先生が指定した本を読む特別編です。前半となる今回は、三宅香帆『「好き」を言語化する技術』でグループワークを行いました。

 最初のグループワークでは、『「好き」を言語化する技術』を読んで印象に残った部分や共感した部分を共有しました。同じ班になったSさんは、「普段は相手の意見に合わせがちだけど、自分の意見を持っていいんだと思った」といいます。人から否定されることを恐れて自分の「好き」を表に出さないSさんですが、本書の「推しと自分の間に、他人を介在させない」「みんなと違う意見だと分かったうえで書く」などの言葉を見て自分の意見を持っていいと感じたそうです。

私は本書の中で「相手との情報格差を埋める」という指摘に共感しました。他人の話を聞く時、知らない人物・単語・想像できない状況が出てきてしまうと、話についていくことができず退屈になってしまう場合があります。相手に楽しく話を聞いてもらうためには、必要な情報をコンパクトに伝える必要があると考えました。

 班替えをした後に臨んだ二回目のグループワークでは、先生が提示した二つのお題をもとに話し合いを行い、ゼミ生全員でシェアしました。一つ目のお題は、「好きを言語化する意義」です。私の班では、自己理解・自己肯定感につながる、人生の豊かさを再認識できる、などの意見が出ました。自分の「好き」を理解することが、趣向や性格を理解することに繋がるという考えです。他班では、「外に発信することで他とのつながりを得る」などの意見が出ていました。SNSで簡単にコミュニケーションが取れる時代、推しを語ることで生まれるコミュニティーは少なくありません。

 二つ目のお題は、「好きを言語化するための技術集」です。本書で挙げられていた好きを言語化するためのテクニックの中から、重要と考えるものを話し合いました。私達の班では好きの言語化を三段階に分けて考えました。

 第一段階...感情をメモする、問いで始める、伝える相手を決める。

 第二段階…とりあえず最後まで書ききる、自分の言葉で書く。

 第三段階...見直し、修正を行う。

他にも、感想を具体的に言語化する等の意見が出ました。これらの技術を取り入れ、好きを言語化していきたいです。


次回は、今回のグル―プワークを基に各々の「好き」を文章にして共有するワークを行います。どんな「好き」が出てくるのか楽しみです。

 

2024年10月16日水曜日

2024年度 後期第4回

 こんにちは。経済学部2年のKです。最近は秋が来たかと思えば、暖かい日が続いたりお洋服選びが大変です。早く可愛い長袖のお洋服が着たいですね。今回は、F班の発表をご紹介します。


Hさん 斎藤兆史『これが正しい!英語学習法』ちくまプリマー新書、2006年

本書では、英語教育の専門家である斎藤氏が、実践的な英語学習法を紹介しています。

英語教師としての経験も持つ著者は、受験英語に対して批判的な視点を示しつつ、効果的な英語学習の本質を探っています。 著者は英語学習には「大道」と「承継」があると言います。「短期間で英語をマスターできる」といった宣伝文句に惑わされることなく、基礎を着実に築くことの重要性を強調しています。 また、本書で紹介されている学習法は、継続性と実践が大切だと言います。そのため、毎日の学習習慣を確立し、音読や書き取りなど、実際に声を出したり手を動かしたりする活動を重視しています。これらの方法は、単に知識を蓄えるだけでなく、英語を実用的なスキルとして身につけることを目指しています。

報告を聞いて、受験勉強や、資格勉強においても大切なのは継続することだと感じました。


Sさん 中尾政之『失敗は予測できる』光文社新書、2007年

本書は、工学的観点から失敗のメカニズムと予防策を詳細に解説しています。工学部教授である著者は、ジェットコースターの部品など具体的な事例を用いて、実際に起きた事故や事件を分析しています。 著者の研究によると、失敗の96%は事前に防ぐことが可能であり、予測不可能なものはわずか4%に過ぎないとのことです。つまり、ほとんどの失敗は適切な予防策を講じることで回避できるのです。 本書で強調されているのは、失敗を防ぐために具体的な対策を事前に講じることの重要性です。著者は「第三構成要素」という概念を提唱しており、これは失敗する前に打開策を考える能力を指します。この能力を養うことが、失敗を回避するための重要なコツだと言います。

「第三構成要素」というワードを聞いて、失敗をマイナスに捉えすぎないことが大切だと感じます。失敗してからどう行動するか、どう次に生かすかがマイナスに捉えないコツだと思いました。


Mさん 上田一生『ペンギンの世界』岩波新書、2021年

本書では、ペンギンの生態について解説されています。中でも、ペンギンが羽を持ちながら飛べない理由について、興味深い説明がなされています。

著者によると、ペンギンは過去に飛ぶ能力を持っていました。

その証拠として、ペンギンの手の骨が丈夫であることや、しっぽが短いことが挙げられています。これらの特徴は空を飛ぶ能力と関連しているとのことです。

さらに、DNA分析の結果、ペンギンの遺伝子がアホウドリと非常に似ていることが明らかになっています。これも、ペンギンが飛ぶ鳥から進化したという説を裏付けています。

にもかかわらず、ペンギンが飛べなくなった理由は、その生息環境が関係しているとされています。ペンギンは主に南極という限られた環境に適応し、そこでは天敵が少なくなっていったため、飛ぶ必要性が徐々に失われていったと考えられています。

このように、本書はペンギンの進化の過程や、その特異な特徴がどのように形成されてきたかを解説していま

ペンギンの生態について調べたことはありませんでしたが、面白いですね。皆さんペンギンのおもしろ動画をよく見るそうで、盛り上がっていました。


Tさん 岩波明『精神医療の現実』角川新書、2023年

この本は、精神医療の現実と精神医療の歴史について記述されています。

その一つに女性医師の問題、医学部入試の女性差別の問題が取り上げられています。その背景には、女性が医師として働くことの難しさや医師不足があります。女性医師が増えない理由として、家事育児と常勤としての働き方の両立が困難であることが挙げられます。30代に入ると、女性医師は結婚しないか子供を持たない選択をすることが多いようです。 

また、本書では造語と誤用の問題も指摘されています。例として、PTSDという言葉の誤った認識が挙げられています。本来は死に直結するような出来事が結びつけられる言葉ですが、現代では些細なことでもPTSDと言われる傾向があるとのことです。 また、ゲーム脳の誤認も取り上げられています。ゲームは脳に悪影響があると広く認識されていますが、著者はなんでもやり過ぎは毒になると指摘しています。

本書で記述されていた通り、医療や社会全体の人材不足は深刻です。消費者が今までのサービスクオリティの見直しが必要になってくると感じました。


次回は三宅香帆さんの『「好き」を言語化する技術』の感想をみんなで共有していきます。

2024年10月9日水曜日

2024年度 後期第3回

こんにちは。経営学部2年のSです。ようやく秋の風を感じる季節となりました。寒暖差が激しく、体調を崩す人が多くなっています。体調に気を付けてお過ごしください。今回はE班の新書報告です。

Kさん 本川達雄 『ウマは走るヒトはコケる』中公新書、2024年

本書は、動物の歩行について論じています。Kさんは、動物の歩行を安定性の観点から「静的安定」と「動的安定」の二つにわけて説明していました。

ます、静的安定は、杖をついているような状態に例えられます。この状態は安定した姿勢を保つことができると述べていました。四足歩行の動物のほとんどがこの種の安定性を利用しています。

Kさんの解説に従って、実践。
また、動的安定は二足で立っている状態のことです。これは、動物は目や耳から感知する情報を活用し、継続的に動くことで安定を維持します。人間の歩行がこれに該当すると述べていました。

さらに、Kさんが歩き方について実践をしてくれました。人間は普段、「こけているような歩き方」をしていると述べていました。これは、歩行中の位置エネルギーと運動エネルギーの関係があると述べていました。

この発表を通して、散歩しながら自分の歩き方を確認したり、動物園で動物の歩き方を観察してみたいと思いました。普段している何気ない「歩く」と言う行動を、考えてみるのも良いなと感じます。


Eさん 本村凌二『競馬の世界史』中公新書、2016年

本書は、競馬の長い歴史と時代による変化を簡潔にまとめ論じています。紀元前の戦車競争から始まり、中世ヨーロッパでの発展、そして世界への伝播を説明しています。

Eさんは、昔と現代の競馬の違いについて述べていました。かつては年齢の高い馬が多く、長距離レースが主流でしたが、現代では若い馬による短距離レースが一般的になっています。これは、予測困難で面白いレース展開を求めるためです。

また、サラブレッドの血統に関する情報も述べていました。現代の競走馬は、血統を辿ると3頭の馬に辿り着くことには驚きまし
た。そして、現代の競走馬に遺伝的な多様性がみられることがわかりました。

この発表は、競馬がスポーツとしてどのように進化してきたか、そして社会の変化とともにどのように形を変えてきたかを論じていました。

今では馴染みの深いものとなっている競馬も、その歴史を辿ると、今とは違った一面を見ることができました。また、血統を辿って競馬を観るという新しい視点にも気づくことができ、競馬への見方が大きく変わりました。


そして今日は発表者が2人欠席してしまったため、授業の後半では、簡単なグループワークを行いました。お題は「日本の文化を否定する異文化の人にどのように返答すればよいのか」というものでした。僕は、文化を否定するのではなく、文化を受け入れるしかないと思いました。自分のグループ、他のグループでは、僕と同じ意見もあれば違った意見もあり、自分の考えを深めることができました。このようなグループワークは、自分の新たな視点を見つけることができるいい機会になりました。

次回はF班の新書報告をご紹介します。


2024年10月2日水曜日

2024年度 後期第2回

 こんにちは。経済学部4年のKです。10月に入り猛暑続きだった今年の夏もようやく終わりを見せています。秋の風を外で感じながら読書をしてみるのも良いかもしれませんね。さて、後期第1回目の新書報告はD班です。

Kさん 山岡淳一郎 『ルポ 副反応疑い死』ちくま新書、2022年

本書は、新型コロナウイルスワクチンの副反応で亡くなった遺族に対して著者が取材を行い、ルポとしてまとめられたものです。本書によれば、ワクチンの副反応で亡くなった人数は公表されているだけでも1900人います。しかしその中の4人程度しか国から認められず、補償金も出されませんでした。補償金の高さや国の政策批判につながることが原因だろうと著者は述べています。


ワクチンの副反応で亡くなった方の中には若いプロのスポーツ選手もいると聞いてとても驚きました。その選手はいわゆるスポーツ心臓を患っていてワクチンにより症状が悪化しなくなってしまったようです。大きいメディアに踊らされるのではなく情報を吟味する審美眼を磨いていく必要があると、この発表を聞いて痛感しました。


Cさん 杉山尚子『行動分析学入門ーヒトの行動の思いがけない理由』集英社新書、2005年

本書は行動分析学について入門から応用まで幅広い内容が記されています。本書によれば、人の行動の要因は大きく分けて4つあるそうで、その一つをCさんは解説してくれました。それは人は行動の結果良い反応が得られたときにその行動を繰り返すということです。例えば、夫はいつも愚痴ばかり言うとしますそれに対して妻は毎回反応してしまいます。行動分析学的に言うと妻が反応しているから夫は良い反応を得たとして愚痴という行動を繰り返してしまうのです。つまり何も反応しなければいつかは夫は愚痴を吐き出さなくなるのです。

他人を変えることは難しい事です。他人をみるより、まず自分が変えられる範囲のことを変えていけば少しは良い方向に物事が進むのかもしれません。C産の出してくれた例で言うと、妻が夫の愚痴を無視していれば夫は愚痴を吐かなくなり、少しは家庭内を良い雰囲気にすることができるかもしれません。そんな本書の本筋とは少しずれたことを発表を聞いて感じ取りました。


Tさん 本田由紀『教育の職業的意義ー若者、学校、社会をつなぐ』ちくま新書、2009年


本書は、教育課程において職業的意義を説くことの重要性を論じています。

小、中、高と私たちが受けてきた教育課程では社会のことや仕事に関する教育が足りていないという主張です。そして本書によれば、最も教育の職業的意義を妨げているのがキャリア教育です。キャリア教育とはチーム力やコミュニケーション力などの会社で役に立つといわれている力をはぐくむ教育です。しかし「チーム力、コミュ力が大切だ」といわれても学生はピンときません。とても抽象的だからです。著者はそういったフワフワしたキャリア教育ではなく何か一つ専門性を学生に持たせることが重要であると主張しています。

著者の主張に共感する部分が多くありました。発表を聞いて、学生の内に専門性を持つことで確固たる自分を形成することにもつながるのではないかと思いました。


Mさん 山口仲美 『千年たっても変わらない人間の本質」幻冬舎新書、2024年


本書は、日本語学者である著者が古典を紹介し、その古典から現代にも通じる人間の本質を記したものです。今昔物語集にあるお話では、乱暴者がお坊さんに合い説法を聞いたことをきっかけに心を入れ替え修行をし、最後には見事な死にざまで亡くなったという話があるそうです。このお話から、人はきっかけがあれば変わるという教訓を学ぶことができます。著者はそれに加えて、変わるきっかけだけではなくそのきっかけを受け入れる素養がない人は変われないと付け加えています。

Mさんの報告を聞いて古典から多くの教訓を得ることができると思いました。一方でMさんも触れていたことでしたが、特に恋愛観は当時と今ではかけ離れた慣習、状況があり、現代に当てはめることは無理があると感じた部分もありました。


今回はワクチンという流行のものから教育、人の行動、人の本質と昔から語られているようなテーマの新書もあり、興味が尽きない発表ばかりでした。次回以降もどんな新書発表が行われるのか楽しみです。


2024年9月25日水曜日

2024年度 後期第1回

 担当教員の相澤です。まだまだ暑い日が続きますが、大学は2期が始まりました。今日のゼミでは、2期の班決めやスケジュール確認をしました。

とことんアナログです。
班決めは、公平を重視して、あみだくじで行いました。引き続き新書報告を行いますが、この班をベースに行なっていきます。

後半は、夏休みの思い出報告と夏休みに読んだ本の報告を行いました。夏休みに読んだ本については、新書に限らなかったためか、多くの方が小説を紹介してくれま
した。偶然同じ作者の本を紹介するゼミ生たちもいて、知らなかったお互いの趣味が垣間見得たのではないでしょうか。

今学期は、新書報告に加えて、映画を読み解くグループワークなども織り交ぜる予定です。楽しく学ぶをモットーに、みんなでゼミを盛り上げていきたいと思います。

2024年9月5日木曜日

八ヶ岳で夏のゼミ合宿

 担当教員の相澤です。9/4から一泊二日、八ヶ岳で夏のゼミ合宿を行いました。経済学部の中村ゼミと合同という初の試みでしたが、両ゼミあわせて12名の学生が参加してくれました。

参加者はそれぞれの移動手段で現地に集合。初日の午後は、相澤ゼミで卒論を執筆予定のKさんとMさんによる構想発表と、中村ゼミ生によるゼミ論文構想発表を行いました。イノベーションをテーマにした中村ゼミと読書をテーマにした相澤ゼミではだいぶ趣が異なりますが、違う専門分野の学生が集まったからこそ、多様な観点から質疑応答を交わすことができ、充実したディスカッションになりました。

勉強会終了後は、卓球をしたり、散歩をしたり、思い思いにリラックス。全員で夕食を取った後は、懇親会をしつつ、星空を眺めたり、温泉を楽しんだり、八ヶ岳の夜を楽しみました。


相澤ゼミで合宿を行うのは数年ぶりでしたが、参加者同士が仲良くなる貴重な機会となりました。2期の活動がますます楽しみです。

2024年7月22日月曜日

相澤ゼミの本棚(2024年度1期)

 担当教員の相澤です。大学図書館で、展示「相澤ゼミの本棚」が始まりました。

相澤ゼミは、グループワークを通して読書の仕方を学び、自己表現能力(書く力・話す力)を高めることを目指すゼミです。毎週、全員が新書を必ず一冊読み、報告・ディスカッションを行なう「新書報告」という活動をメインに行なっています。

ゼミでは、1期に新書報告を9回行いました。つまり、ゼミ生はこの三ヶ月余りの間に9冊の新書をそれぞれ読んだことになります。7/17の1期最終回では、読んだ新書の中から自分の推しを選び、POPを作るワークを行いました。推したい気持ちを伝えるべく、文章やデザインを工夫しました。

そのPOPを使った展示がこの「相澤ゼミの本棚」です。想像以上の力作POPが揃ったのは、私にとって嬉しい驚きでした。

ゼミ生たちの気持ちがこもったPOPと推し本ラインナップです。ぜひ、図書館一階の本棚をのぞきに行ってみてください。