2025年1月8日水曜日

2024年度 後期第13回

こんにちは、経営学部2年のMです。新年明けましておめでとうございます。今年も相澤ゼミブログをよろしくお願い致します。今回はF班の発表を紹介します。

Hさん 西岡壱誠『東大生と学ぶ語彙力』ちくまプリマー新書、2023年
 本書は、語彙力の意味とそれを身につけるために大切なこととは何かを論じています。
語彙力とは、日常生活の中での基礎であると著者はいいます。また、その学び方について、丸暗記ではなく自分で意味を理解した上で人に説明できるようにまでならなければならないとも語っています。そして、分からないことはすぐに調べるようにすべきだとも述べています。
 語彙を学ぶ中で、似たような漢字なのに意味が異なるものに出会う場合があります。
その例として「信用」と「信頼」が挙げられます。一見すると全く同じような意味に思えますが、実は全く異なるものだと筆者はいいます。「信用」は過去の客観的事実を信じることであり、「信頼」は未来の物事について信じることだと筆者は述べます。
 また、もうひとつの例として「偏在」と「遍在」が挙げられます。こちらは両方「へんざい」と読みますが、その意味は全く逆のことを示しています。「偏在」は偏って存在することであり、「遍在」は満遍なく存在することを意味しています。
 語彙をつけるためには、日常会話の中から言葉を学ぶことが大事だと筆者はいいます。私はHさんの発表を聞いて、日常の中で誤用してしまっている漢字があるかもしれないと改めて感じました。普段の生活から語彙を学ぶ姿勢を心がけたいと思います。

M 藤田政博『バイアスとは何か』ちくま新書、2021年
本書ではバイアスの定義、バイアスの例やその内容について詳しく書かれています。
 バイアスとは、認知のゆがみのことを指します。認知とは我々が五感を通して外界を認識することであり、それが我々の意識や感情によってゆがむことをバイアスといいます。
 著者によれば、バイアスの研究に大きく貢献した人が二人います。ダニエル・カーネマンとエイモス・トヴァースキーというイスラエルの心理学者です。私は彼らの研究から興味深いバイアスをふたつ紹介しました。ひとつが「プロスペクト理論」です。これは彼らの業績の中で特に有名な理論です。利益と損失から生じる感情の大きさについての研究です。例えば、今から1000円得られると思った時の喜びと、1000円失うと思った時の痛みの大きさを比べると、失う痛みの感情の方が大きくなると彼らの研究ではいいます。金銭の数値の変動は同じですが、私たち人間は既に持っているものを失うことにより大きく感情を動かすようにできています。
 もうひとつが、「代表性ヒューリスティックス」というバイアスです。私たちは合理的に適切な確率よりも、「それっぽさ」を重視してしまう傾向があります。ある事故を例にあげると、タクシー会社の車両が轢き逃げを起こしました。事故が起きた市内にはグリーンとブルーの二つの会社があり、グリーンが85%、ブルーが15%を占めています。目撃者情報によると車両はグリーンであるといい、目撃者の情報の正確性は80%だといいます。この場合多くの人は目撃者の情報を信じ、事故を起こした車両をブルーだと思ってしまいます。その前に基準となる市内のタクシー会社の占める割合を無視してしまうのです。
 バイアスを受けないようにすることは意識していてもとても難しいものですが、予めバイアスの知識を持っておくことでバイアスに惑わされにくくなるといいます。バイアスに関する知識を知ることも大切だと思いました。

今回は2人のみの発表となりましたが、生活に根ざしたジャンルが多く聞いていて興味深かったです。次回は相澤ゼミの本棚作りを行います。