2020年5月27日水曜日

2020年度前期 第5回:新書報告

 こんにちは、ゼミ生の経営学部3年のIです。第5回のゼミを行いました。今回は今年度初めての新書報告を行いました。外出し本を選ぶのが難しいという状況を鑑みて電子書籍を駆使し発表をしましたが、様々なジャンルの本が紹介されました。

 まず始めに相澤先生が、圀府寺司『ユダヤ人と近代美術』(光文社新書、2016)と宮津大輔『現代アートを買おう』(集英社新書、2010)と高橋龍太郎『現代美術コレクター』(講談社現代新書、2016)の三冊を紹介されました。
 どれも美術、芸術関連の内容で、特に後半の二冊は似ておりアートの見方や買い方、またアートと一口に言っても、絵画や何かモノを創造していたり、空間を演出していたりと様々でそれらをどのように楽しむのかという具体的なアドバイスが書かれている本だそうです。このように同じテーマについての本を読み比べると、根本は同じ内容でもそれぞれの相違点や表現方法の違いなど見比べられるので面白そうだと思いました。

 2番目に僕が、今北純一『自分力を高める』(岩波ジュニア新書、2011)を紹介しました。この本は、筆者自らの激動の半生を振り返り、その経験をもとに今の若者へメッセージを送るという指南書です。筆者のメッセージとは、具体的には自立・個性・能力の三要素からなる「自分力」を大切にしようというものです。
 個人的に印象深かったのが、「リスクを取らないことが一番のリスク」という言葉です。実際リスクを承知の上でも自ら行動を起こしていかなければ、現状維持で新たな出会いや感動刺激もなく変化が起きないと思いました。また変化が起きなければ成長もないのではないでしょうか。

3番目にSさんが、田中一郎『ガリレオ裁判』(岩波新書、2015)を紹介されました。
この本は地動説を唱え二度の裁判で有罪を宣告されたガリレオが科学者として必死に闘った姿が描かれており、その背景には何があったのかを明らかにする内容だそうです。
その時代の裁判は宗教との絡みがあり裁判にかけられた時点でほぼ有罪になってしまうという実に理不尽なものだったそうです。有罪と判決を下していた裁判官側にもガリレオの地動説に賛同する者がいたと聞いて少しは救われるとも思ったものの、やはり自分の訴えが理不尽な制度により否定され続けるというのは甚だ虚しく悔しくやり切れない気持ちだったのだと想像しました。

 4番目にTさんが、眞淳平『世界の国1位と最下位(岩波ジュニア新書、2010)を紹介されました。この本は世界の国々を人口や面積など主に数字での観点から順位化し、上位の国と下位の国の違いを歴史や経済面から考えるという内容だそうです。
 今は昔と比べグローバル化の流れにより様々な国と接点が増え実際様々な国を耳にする機会が増えてきたのではと考えますが、意外と見えていないところもあるのだと思いました。その例として、発表のなかでも取り上げられていたのですが、ロシアはあんなにも国土が広いためさぞ人口も多いのかと思いきや、日本とほとんど同じなのだそうです。このようにちょっとした点でも、世界の各国を比較してみると新たな発見があり面白いものだと実感しました。

 5番目にTさんが、坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書、2015)を紹介されました。
この本はゼミ生の中でも読んでみたいという人が多く人気がありました。内容としては、経済学と政治学を擦り合わせた筆者独自の観点から多数決の問題点を問うというものだそうです。
 多数決は、票が割れてしまったが故に思わぬ案が通ってっしまうこともあるなど、必ずしも議会や話し合いの場での最善の策ではないか。筆者はこのような多数決の問題点を指摘した上で、そのような問題の解決策として「ボルダールール」や「最尤法」などを紹介しているそうです。しかし、現状では、そもそも多数決という決め方を変えるために多数決を用いなければいけないわけで、堂々巡りになってしまう気がします。話し合いにおける最善の策を考えることは、そう簡単なものではないのだと思いました。

 6番目にSさんが、南野忠晴『正しいパンツのたたみ方』(岩波ジュニア新書、2011)を紹介されました。非常にキャッチーなタイトルですが、これはある講演で筆者が問者から質問された内容だそうです。初の男性家庭科教師である著者が、学校で習う家庭科がどのようなところで活躍するのかを書いています。
著者は、家庭科の知識や技術を培っても直接的な見返りとしてお金にはならないけれど、自分自身の生活の質を向上させ、人間として生きていくうえで役にたつのだと言っています。
 自分は今一人暮らしではないですが、将来自立していく上で家庭科の知識や生活の知恵などが自分の生活の質、QOLを高めるのだと思いました。つまり、家庭科というのは生活力に直結してくるもので大切なのだと思いました。

 最後にAさんが、長沼毅、井田茂『地球外生命』(岩波新書、2014)を紹介されました。この本は、地球にどのようにしてどんな生物が誕生し、また何故生命が誕生したのが地球だったのか、他の惑星には生命の灯はあるのかを考察する内容だそうです。
 地球には元々酸素なく、また地球以外にも生命が生存していくには十分な環境が整った惑星はほかにもあるそうで、では何故地球に人間が生まれこのように発展、発達していったのかは偶然というしかないこと。ある意味でこの答えも面白いものだと思いました。
また、地球外生命は存在するのかという点ですが、仮に存在するにしてもバクテリアくらいで人間のような存在はいないのではないかと主張されていました。非常に興味深く面白い内容の本だと感じました。

 今回が初めての新書報告、しかも自分自身元々本を読む習慣がなかったため非常に不安でしたが、自分が選択した本は楽しく読むことができました。さらに、他のゼミ生が読んだ様々なジャンルの本の発表を聞き新たな発見や知識を得ることができた点で、非常に有意義だと思いました。そして発表者としては、簡潔でわかりやすくまた興味を持ってもらえるような話し方を心掛けたり聞き手としては、傾聴力という点で疑問点や気づきなどを整理しながら聞くとより実りがあると考えました。このように課題も多いので、今後意識していきたいと思いました。

 次週も今回と同じく新書報告をするので、上にあげたことに注意しながら取り組んでいきたいと思います。ゼミ生が次はどんな本を選び読んだのか、次回のブログで紹介されると思いますので引き続きお楽しみください。